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【大阪・関西万博】赤い糸が結ぶ日本との〝愛〟 フランスパビリオンはまるで美術館!

  • 2025.4.30

フランスパビリオンで「もののけ姫」の巨大タペストリーに出会う旅へ

こんにちは!シティリビングWeb編集部のなおkです。「フランス」と聞いて思い浮かぶのは、美しい芸術、香り高いワイン、本格的な美食、洗練されたファッション…。そんな“憧れのフランス”を、たっぷりと感じられるのが大阪・関西万博のフランスパビリオンです。先日開催された「オービュッソン 宮﨑駿を織る – 日仏をつなぐ奇跡の糸」という講演会を取材。実際にパビリオン内を見学して感じた魅力を紹介します。

フランスパビリオンとは? 五感で感じる美の世界

フランスパビリオンのテーマは「愛の讃歌」。互いの小指が見えない魔法の糸で結ばれているという「赤い糸の伝説」がありますが、この赤い糸をモチーフに、「自分への愛」、「他者への愛」、「自然への愛」といったさまざまな「愛」を、多彩なアプローチで表現しています。

出典:シティリビングWeb

まずこの外観のエレガントなたたずまいに、引き込まれてしまいました。建物自体が、まるで柔らかい布に包まれた劇場のようです。縦書きの「フランス」は、「Made in ピエール・エルメ」カタカナロゴのようでオシャレですね。

内部は、地上から屋上まで、一本のらせんのスロープで繋がっていて、来場者はその道を歩きながら、展示空間を体験していく構成になっています。「歩く」という行為自体が、パビリオンのメッセージを感じ取るプロセスになるように設計されているのだとか。歩みを進めるごとに、展示の意味や空気が少しずつ変わってい…。「見る」だけじゃなく、五感で「感じる」ことができるパビリオンでした。

スタジオジブリ「もののけ姫」の巨大タペストリー

パビリオンに入って、まず最初に出迎えてくれるのが縦5m、横4.6mの巨大な織物「タペストリー」。「もののけ姫」の1シーン「呪いの傷を癒やすアシタカ」を織り上げた作品で、ユネスコの無形文化遺産にも登録されたフランス中央部の街・オービュッソンの伝統織物です。

出典:シティリビングWeb

制作した「国際タピスリーセンター」は、スタジオジブリと協力して宮崎駿監督作品のシーンを編むプロジェクトに取り組んでいて、こちらのもののけ姫の作品は2022年に完成しました。こうしたアニメ映画を題材にとらえることはすごくレアで、かつチャレンジングな取り組みとのこと。

注目してほしいポイントとしては、深い緑の森に光が差し込む場面が、シルクやリネンなどさまざまな素材を織り合わせて表現されている部分。色だけではなく、空気や森の気配まで織り込まれているような、不思議な存在感を放つ作品でした。

出典:シティリビングWeb

講演会に出席されたスタジオジブリの西岡純一さんが「人の手仕事の力が宿っている」と語っていましたが、まさに作り手の魂を感じるタペストリー。これを実際に見られるだけでも、フランスパビリオンを訪れる価値は十分にあると思います。

タペストリーの手前に飾られているのは、ノートルダム大聖堂の火災で焼け残ったキマイラの像。もののけ姫のタペストリーと合わせて自然遺産と文化遺産の保護と回復力を表現しているのだそう。しょっぱなから強いメッセージ性をもった展示に、圧倒されます。

ルイ・ヴィトンやセリーヌの常設展示、レストランやベーカリーも要チェック

すでに話題になっていますが、こちらのパビリオンでは、「ルイヴィトン」「ディオール」「セリーヌ」などラグジュアリーブランドの展示が楽しめます。それだけではなく、随所で、日本人のアーティスト、建築家、デザイナーなどとのコラボレーションによる空間づくりが行われていて、「日本への愛」も感じさせてくれるところが、なんとも心憎い演出です。

出典:シティリビングWeb

LVMHを象徴するルイ・ヴィトンのトランクがズラリと展示されています。「日本への愛」と「クラフツマンシップへの愛」がテーマ。

こちらはそのヴィトンのトランクをモチーフにしたインスタレーション。

出典:シティリビングWeb

トランクで作った球体「トランクのスフィア」が回転し、アーティスト・真鍋大度によるプロジェクションマッピングが投影され、幻想的な世界観に浸れます。また、音の演出も素晴らしかったです。空間に響くのは、IRCAM(フランス国立音響音楽研究所)による繊細なサウンド。「拍動」をテーマにしていて、自分の歩くリズムに合わせて、音が少しずつ変化していくのを感じて、空間が一緒に呼吸しているかのような錯覚に陥りました。

ディオールは、職人技や手仕事へのオマージュとして、歴代のさまざまなアイコンを展示しています。ディオールのエレガンスを象徴するブルー、ホワイト、レッド3色の伝統的な「バー」スーツをはじめ、シルエットのスケッチを立体的に表現した約400点の白いトワル(試作品)が飾られています。ここにも「手仕事」への愛、職人技への敬意が表現されています。

出典:シティリビングWeb
出典:シティリビングWeb

展示の一番最後は、「グランフィナーレの部屋」。ここには3つの島があり、フランスと日本を対比させながら、さまざまなメッセージを伝えています。

出典:シティリビングWeb

最初の島にはノートルダム寺院と、沖縄の首里城が。どちらも2019年に火災にあった建物。この島の上には炎の3Dアニメーションが映し出されます。世界遺産を襲った心が痛む出来事を思い出すと同時に、それに屈せず立ち上がる人々の力強さみたいなものも感じられ、とても心を打たれました。

出典:シティリビングWeb

こちらはモンサンミッシェルと宮島の厳島神社。海に浮かぶ世界遺産つながりですね。

出典:シティリビングWeb

期間限定の特別展示にもぜひ注目を。5/11(日)まではセリーヌ。石川県輪島市の漆器ブランド「彦十蒔絵」が今回のために特別に制作した、セリーヌのアイコン「トリオンフ」を再解釈した漆アートピースシリーズは必見です。

出典:シティリビングWeb

展示の終わりには光が差しこむ庭

パビリオンを見学してきて、最後にたどり着くのは、屋上に広がる「奇跡の庭園」。静けさに包まれた空間の中心には、わざわざフランスから運ばれてきた樹齢1000年のオリーブの木。さわると長寿のご利益があるそうなのでぜひ触れてみて。圧倒的な職人技やファッション、アートの連続を見てきた最後に広がるのが、自然を感じる開放的な空間…。そのギャップに、すごく感情を揺さぶられました。

出典:シティリビングWeb

いったんパビリオンを出て、外側の入り口から入ることができるギフトショップ。こちらにもフランスのエスプリを感じるステキなアイテムがいっぱいありましたよ。

出典:シティリビングWeb
出典:シティリビングWeb
出典:シティリビングWeb

また、フードが充実しているのも美食の国フランスならでは。私は体験できませんでしたが、シャンパン、コース料理やアラカルトが楽しめるビストロ「Le Bistrot」、メゾンカイザー監修のブーランジェリーもあります。

美しさをただ“見る”だけではなく、その美しさが自分の中にある感情を呼び起こしてくれるような、これまで味わったことのない体験ができるフランスパビリオン。私自身、見ているときは気づかなかったのですが、あとで調べてみて「そういう意味だったのか…」と驚かされる展示や仕掛けがたくさんありました。個人的には、必ずもう一度訪れてじっくりと見てみたいと思っています。

大阪・関西万博公式Webサイト

https://www.expo2025.or.jp/

フランスパビリオン 公式サイト

https://www.franceosaka2025.fr/ja

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