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誰にも聞けない!?尿もれのハナシ尿もれリスク度とタイプを知ろう

  • 2025.4.22

くしゃみや咳でうっかり、外出もままならない、寝ている間も不安、など尿もれで悩んでいる50代は珍しくありません。
原因と対策を知って改善していきましょう。

お話を伺った方
泌尿器科医師
佐藤亜耶先生
医学博士、日本泌尿器科学会認定医師。日本大学泌尿器科などを経て、2019年女性と子供に特化した自由が丘ウロケアクリニックを開院。女性に寄り添う泌尿器科として悩みの解消にあたる。

なぜ起こる? 骨盤底筋のゆるみが要因に

40代以上の2人に1人は経験あり!

ふとした動きでヒヤッとしたり、突然の尿意が我慢できずにトイレの前でもれてしまったり……。
気になるけれど、人に相談しにくい尿もれ。

「40代以上の女性の2人に1人が、尿もれを経験しているというデータもあります。特に、出産を経験している人、更年期を過ぎた人、体重が急に増えた人は尿もれしやすい傾向にあります」と、佐藤亜耶先生。

「読者世代で多い尿もれには、大きく二つのタイプがあります。ひとつは腹圧性尿失禁。骨盤底筋という骨盤の底にハンモックのような形をした筋肉群があります。骨盤底筋は臓器を支えるだけでなく、尿道や肛門、腟を締めたりゆるめたりして、排尿や排便のコントロールをしています。
その骨盤底筋がゆるんでくると、くしゃみや重いものを持った時にかかる腹圧に耐えられなくなり、尿道がゆるんで尿がもれてしまうのです」。

もうひとつは、切迫性尿失禁。膀胱が過敏になることで、尿が十分にたまっていなくても本人の意思と関係なく膀胱が収縮して急な尿意をもよおします(過活動膀胱)。
それで間に合わずにもれてしまったり、頻尿になるケースです。それぞれ別の症状ですが、年齢が高くなるとこの2つが混在する混合性尿失禁も増えていきます。

「泌尿器科への受診は、ハードルが高く感じるせいか、尿もれは我慢している人が多くいます。でも、そのせいで外出をためらってしまえば生活の質に影響します。予防や症状が軽いうちはセルフケア、治らない場合は、泌尿器科を受診するのがおすすめです」。

尿もれの原因
⚫︎ 妊娠・出産
⚫︎ 加齢による筋肉量の低下

こんな人は尿もれになりやすい!

骨盤底筋に圧がかかる人は要注意

□ 重いものを持ち上げるなどの力仕事
□ 肥満
□ 便秘がち
□ ランニングが習慣

骨盤底筋がゆるむとは?

骨盤底筋のゆるみはポッコリおなかの恐れも
骨盤底筋がゆるむと、子宮や直腸などの臓器を支えられず、内臓が下がってしまいます。
内臓が正しい位置にないと、下腹がぽっこり出て見えるように。
骨盤底筋を鍛えることで、ぽっこりおなかも解消できるかもしれません。

セルフチェックで今から予防! 尿もれリスク度とタイプを知ろう

あなたの尿もれリスクと尿もれタイプはどれ?
リストでセルフチェックしましょう。

あなたの尿もれリスク度は?

数が多いほど尿もれのリスク大

1  妊娠出産の経験は、骨盤底筋へのダメージが大。

2・3  ホルモンバランスが変化すると、骨盤底筋のしなやかさも失われれます。

4 ~6  肥満は骨盤底筋への負担が増加し、便秘は、膀胱が圧迫されて尿意をガマンしにくくなる原因に。

9・10  頻尿は切迫性尿失禁の原因になる、過活動膀胱の可能性が。

あなたの尿もれタイプは?

あなたは腹圧性? 切迫性? 混合性?

11 ~ 13 は、おなかの中の空間に対する圧力・腹圧がかかることで膀胱が押されたり尿道が開いてしまう腹圧性尿失禁です。

14・15 は、膀胱が過度に敏感になってしまう、過活動膀胱が原因の切迫性尿失禁です。

11 ~ 13 、14・15 の両方をチェックした場合は混合性尿失禁です。尿もれする女性のうち、約3割は混合性だといわれています。若いころは腹圧性、高齢になるほど、混合性の尿失禁が増えます。


11 ~ 13 が当てはまる・・・type 01

腹圧性尿失禁

骨盤底筋がゆるむことで、膀胱や尿道が支えられなくなり、くしゃみなどで腹圧がかかると尿道がぐらぐらして尿もれになります。
骨盤底筋を鍛えることで、症状を抑えられます。
更年期以降は、女性ホルモンが減って、筋肉などの組織に弾力がなくなるので、症状が出やすくなります。

こんなときに
□ 咳やくしゃみ、笑ったときに
□ 重いものを持ち上げたときに
□ 走ったり、跳んだりしたときに
□ ふとした動きで

14・15 が当てはまる・・・type 02

切迫性尿失禁

突然、強い尿意が起きて、膀胱に尿をためておけなくなり、あわててトイレに駆け込んだり、間に合わなくてもれてしまう状態です。
膀胱が敏感になってしまう「過活動膀胱」が大きな原因。
昼間の頻尿や、夜寝ている間も何度もトイレに起きる夜間頻尿を伴うこともあります。

こんなときに
□ 急にトイレに行きたくなり、我慢するのが難しい
□ 冷たい水を触ったときに
□ 寒いときに
□ 夜寝ている間に尿意で1回以上起きる

11 ~ 13 、14・15 の両方をチェックした場合

type 01 + type 02の

混合性尿失禁

腹圧性と切迫性の両方の症状が当てはまるのが、混合性尿失禁。両方の症状がある場合は、腹圧性、切迫性それぞれ同時に治療します。

日常の習慣で改善! 自分でできる尿もれ対策

最も効果的なのは、膀胱や尿道を支えている骨盤底筋を鍛えること。いつでもどこでもトレーニングしましょう。

尿道や膀胱を支える筋肉を鍛え、尿もれを防ぐ

尿もれに悩む人はもちろん、予防したい人にぜひ行ってほしいのは、骨盤底筋を鍛えること。骨盤底筋は、目で見て場所を確認したり触ることはできません。

肛門や腟を締めたり開いたりするときに動く筋肉と考えるとわかりやすいでしょう。
骨盤底筋を鍛えれば、腹圧性尿失禁の症状を抑えるのはもちろん、切迫性尿失禁の人も尿もれを我慢しやすくなります。
尿もれがない人の予防にもおすすめ。

「効果は早ければ1か月くらいで現れます。寝ても座っていてもできるので、いつでも気づいたときに、きゅっと骨盤底筋を締めるように意識してみましょう。動かしにくければ、締めるときは息を吐くようにするのがおすすめです」。

予防から症状のある人まで これがいちばん効く!骨盤底筋トレーニング

背筋を伸ばして立ち、お尻や肩の力を抜きます。
息を吐きながら、お尻の穴をきゅっと上に引っ張るイメージで3秒間締め付け、息を吸いながら3秒間緩めます。
「締めて緩める」の10回を1セットとし、1日に5~10セット続けるのが効果的です。

骨盤底筋はインナーマッスルなので目には見えません。
締められているか心配な人は、お風呂のなかで腟に指を入れて締めてみて。
締めることができていたら、OKです。

座って行う場合

立って行うときと同様に、背筋を伸ばして座り、おなかに力を入れないように気をつけ
ながら、肛門と腟を締める、緩めるを繰り返します。
テレビを見ながら、電車の中など気づいたときに行いましょう。

夕方に足上げでむくみ解消

切迫性尿失禁の人に多い夜間頻尿は、足のむくみでたまった水分が、横になったときに心臓から腎臓に送られ、尿になるのがひとつの原因。
夕方ごろ、30分ほど横になって足をあげると、むくみが解消されて、夜にトイレの回数が減るかもしれません。

カイロを尾てい骨の上に貼る

冷えは切迫性尿失禁の症状の原因になるので、おなかを温めることが大切。
腹巻や毛糸のパンツもいいですが、おすすめはカイロを腰よりも少し下の尾てい骨の上あたりや恥骨の上に貼ること。
膀胱まわりが暖かくなり症状を抑えるのに役立ちます。

吸水シートは心配なときだけ

不安だからと常に吸水シートを使っていると、体がそれに慣れてしまい、尿がもれやすくなる場合もあります。
旅行や長距離の移動など、外出時に不安があるときに上手に活用して。

水は一気に飲まない

水分のとりすぎは、切迫性尿失禁の症状を加速させる原因に。
脳梗塞の予防として寝る前に水を大量に飲む人がいますが、夜間頻尿による睡眠の質の低下や、転倒のほうが心配です。
水分は、適切な量を少しずつ飲んで。

漢方を活用する

切迫性尿失禁に多い頻尿には、漢方薬でケアできます。
八味地黄丸(はちみじおうがん)や牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)は膀胱機能の改善に。
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)は、しまりをよくするので、腹圧性尿失禁におすすめです。

気になったら医療機関へ! 泌尿器科で分かることとは?

まず問診と尿検査治療法には選択肢が

尿もれで泌尿器科を受診した場合は。まず問診と尿検査をします。
問診では尿もれの症状や病歴、飲んでいる薬などを聞かれます。トイレに行く頻度や尿もれの回数をメモしておくといいでしょう。

尿検査で膀胱炎などの尿路感染症、尿路結石など、ほかの病気の可能性がわかります。

腹圧性尿失禁と診断されれば、骨盤底筋トレーニングのほか、症状が重ければ手術が可能です。切迫性尿失禁は薬での治療が可能です。


イラスト/くらちなつき 文/田中絵真
 
大人のおしゃれ手帖2025年4月号より抜粋
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください

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