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過激すぎて難しいと言われていた話題作が“まさかのアニメ化”「信じられない」「無理だろ」表現の“落とし所”に注目集まる

  • 2025.9.10
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Google Geminiにて作成(イメージ)

漫画『忍者と極道』をご存じだろうか。近藤信輔氏が手がけ、漫画アプリ『コミックDAYS』で2020年に連載がスタートしたアクション作品だ。2025年9月時点で単行本は15巻まで刊行されており、そのインパクトの強さと独自性で熱心な支持を集めてきた。

舞台は現代の東京。タイトルが示す通り、社会の暗部で“忍者”と“極道”が死闘を繰り広げる。中心となるのは、忍者の多仲忍者(たなか しのは)と極道の輝村極道(きむら きわみ)の二人。友情を土台に始まった物語は、互いの正体が明かされた瞬間、抗えない宿命の対立へと転じる。忍者としての使命と、極道としての信念。そのどちらも引くことができない二人の生き様が、やがて都市全体を巻き込む壮大な闘争へと発展していく。

残虐描写とパロディ――“難しい作品”とされた理由

『忍者と極道』を語る上で欠かせないのが、青年漫画ならではの徹底した残虐描写だ。スプラッタ表現は日常茶飯事で、生首が宙を舞うシーンはむしろ“お約束”として扱われる。それをただの惨さで終わらせず、時に笑い飛ばすほど軽妙に、時に人間の狂気を抉るように描く。残酷さとユーモア、そしてシリアスな人間模様の三層構造こそが、本作の大きな魅力である。

さらにもう一つの特徴が、数々のパロディ要素だ。小ネタに留まらず、主要キャラクターの造形や言動にまで踏み込む徹底ぶりだ。だがその独自性ゆえに、「この作風をアニメでどう表現するのか」という疑問が常につきまとってきた。過激なバイオレンスはテレビ放送に適さないのではないか。パロディは権利関係を含めて再現が難しいのではないか。こうした理由から、回を重ねるごとにファンの間では長らく「アニメ化は無理だろう」と囁かれていたのだ。

それでもアニメ化へ――映像化がもたらす可能性

そんな中で発表された、2025年10月からの日本テレビでのアニメ放送決定。このニュースは驚きとともに大きな期待を呼び起こした。実写ではなくアニメーションを選んだことも大きい。表現の幅を確保しながら、原作の過激さとユーモアをどう昇華するのか。そこには制作陣の技量と解釈が問われるだろう。

SNSでも、「マジで信じられない」「色々大丈夫?」「よくアニメ化できたな」「無理だろ」「いいの?」という心配の声も届いた一方、「生きる希望になっている」「楽しみすぎる」「始まったら見てみよ」という期待の声も多く届いている。

支持され続けた5年間の重み

連載開始から5年、単なる過激さやパロディの面白さだけではなく、信念を背負った忍者と極道の姿が読者を惹きつけ続けた。その積み重ねが、今回のアニメ化という形で結実したのだろう。東京というリアルな舞台で、二つの異形が激突する物語は、アニメーションという新たな表現の場を得ることで、さらに広い層へと届いていくはずだ。

2025年秋。テレビの前で我々が目にするのは、規制をすり抜けた“柔軟さ”か、それとも原作同様に牙をむく“過激さ”か。その答えを確かめる日が、いまから待ち遠しい。


ライター:柚原みり。シナリオライター、小説家、編集者として多岐にわたり活動中。ゲームと漫画は日々のライフワーク。ドラマ・アニメなどに関する執筆や、編集業務など、ジャンルを横断した形で“物語”に携わっている。(X:@Yuzuhara_Miri