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累計発行部数140万部の原作がアニメ化、序盤から"散りばめられた伏線"のような描写…実写映画も控える注目作

  • 2025.4.28
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(C)眉月じゅん/集英社・「九龍ジェネリックロマンス」製作委員会

もし好意を寄せている先輩社員に、かつて自分とまったく同じ姿をした婚約者がいたと知ったら……。4月5日より放送がスタートしたTVアニメ『九龍ジェネリックロマンス』は、そんな不可解な“謎”とラブロマンスが入り混じった独特な空気感を放っている。ダブルメディア化が決定しており、今夏に公開される実写映画も注目の本作。続きが気になって仕方がなくなる物語の魅力に迫りたい。

夏祭りの夜を思い出す九龍城砦の“ノスタルジー”

『九龍ジェネリックロマンス』は、「週刊ヤングジャンプ」(集英社)にて連載中の眉月じゅんによる漫画を原作としており、累計発行部数は140万部を突破している人気作だ。懐かしさであふれる街・九龍城砦(くーろんじょうさい)の不動産屋で働く鯨井令子と工藤発(くどうはじめ)は、職場の先輩と後輩の関係のはずだった。しかし、ある日見つけた1枚の写真には、鯨井とそっくりの姿をした女性の姿が。過去の記憶がない鯨井は、自分と瓜二つの人物「鯨井B」の真実を追う。

本作の舞台である九龍城砦の街並みやグルメからは、どこかノスタルジーを感じる。金魚袋に入った赤い金魚が象徴するように、まるで子どものころに行った夏祭りのような雰囲気を醸し出しており、知らない街なのに懐かしいという気持ちにさせられるのだ。切れかけの電灯やかび臭い路地裏といった街を構成する一つひとつが、私たちの記憶に訴えかけてくる。懐かしさで胸がぎゅっと締めつけられる感覚が好きな人にとって、きっと九龍は魅力的な街に映るだろう。

そして、九龍から感じる感情は恋と同じだと話す工藤。鯨井は工藤に恋していることを自覚するが、工藤は彼女に対してなにか別の人物が頭について離れないような言動をする。工藤と一緒に写真に写っていた鯨井Bは何者で、なぜ鯨井は過去の記憶がないのか。工藤をはじめとしたキャラクターたちの意味深なセリフの真意を探りたくなるような、考察が楽しい作品になっている。

毎話ラストになにかが起こるかも……?次回が待ち遠しくなる“構成”

『九龍ジェネリックロマンス』はダブルメディアミックスが発表されており、8月には吉岡里帆と水上恒司がダブル主演を務める実写映画の公開が決定している。アニメと実写映画は同じチームでプロデュースしており、リンクさせることを前提に企画したとのこと。ちなみに、眉月の過去作である『恋は雨上がりのように』もTVアニメ化と実写映画化されていた。

アニメと実写映画の両方を手がけるバンダイナムコフィルムワークスの有澤亮哉プロデューサーは、TVアニメシリーズについて「海外ドラマのように次が気になる展開にすることを最初から決めていました」とインタビューにて語っている。実際に第1話のラストでは、突然工藤が鯨井に“ある行動”をして驚かせた。次回が待ち遠しくなるミステリーとサスペンスを軸にした構成は、最初から意識してつくられているようだ。

アニメと実写映画の共通点や異なる点を見つける面白さがあるのもダブルメディアミックスの醍醐味。すこし気が早いが、アニメは序盤から伏線のような描写がちりばめられているため、最終話の後に再び第1話から見返しても新しい発見があるにちがいない。『九龍ジェネリックロマンス』は、何通りも楽しめる作品として愛されそうだ。


九龍ジェネリックロマンス
ABEMAにて4月8日(火)夜11時30分よりWEB最速配信
以降、毎週火曜日夜11時30分より放送
[番組URL]https://abema.tv/video/title/420-73
放送後1週間、最新話を無料で視聴できる。
【(C)眉月じゅん/集英社・「九龍ジェネリックロマンス」製作委員会】

ライター:まわる まがり
主にアニメについての記事を書くライター。コラムやレビュー、映画の作品評を手がける。X(旧Twitter):@kaku_magari