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「今なにしてる?」を15回目の既読スルーにした俺が、文具店の棚の前でうさぎを探していたわけ

  • 2026.11.8
ハウコレ

「今なにしてる?」文具店の棚の前でその通知を見た俺は、返事を打たずにスマホをしまいました。ガラス戸の向こうに彼女がいるとは、知らないまま。

白いうさぎが首をかしげたスタンプが、また画面に届きました。付き合って5か月になる彼女から、これで何回目だろうと指を折って数えました。返したい気持ちはあるのに、俺にはそのうさぎを送り返す方法がありませんでした。

返せなかったうさぎ

「このうさぎ可愛くない?」

彼女が初めてそのうさぎを送ってきたとき、俺は同じスタンプで返そうと思いました。ところが調べてみると、雑貨ブランドが配っていた無料のスタンプで、配布期間はもう終わっていたのです。

スタンプなんて、ほとんど使ったことがありません。ほかのうさぎで返すのは違う気がしますし、「可愛いね」と打つだけでは味気ないと思いました。

迷っているうちに、返事をしないまま次の話題に流れていきました。

その代わり、うさぎが届くたびに、スマホのメモに一行ずつ書きためていきました。彼女に言いたかったことを、うさぎ1匹につき一行ずつ。

14回分の答えを探して

そのあとも、うさぎは届き続けました。「おはよう」のうさぎ、「おつかれさま」のうさぎ。メモの行は、14行になりました。

ある日、ブランドのサイトで、同じうさぎの便箋が文具店で売られているのを見つけました。来月は付き合って半年です。その日に、このメモを便箋に書き写して渡そう。そう決めました。

ところが人気の柄らしく、近くの店はどこも売り切れでした。文具店に入ったこともなかった俺が、週末のたびに店を回ることになりました。

彼女からのうさぎが届かなくなったことには、気づいていました。けれど理由を聞けば、手紙のことを話してしまいそうで、俺は聞けずにいたのです。

棚の前で届いた通知

その週末も、彼女からの誘いには「その日は用事がある」とだけ返して、商店街の小さな文具店に入りました。奥の棚にしゃがみこみ、便箋を一つずつ手に取って確かめていきました。

そこへ、彼女からメッセージが届きました。

「今なにしてる?」

本当のことを書けば、手紙のことが分かってしまいます。かといって、うそはつきたくありませんでした。結局、俺は返事を打たずにスマホをポケットに戻しました。

棚のいちばん下の段に、あの白いうさぎを見つけたのは、その直後です。

そして...

最後の1冊を手に立ち上がったとき、ガラス戸が開いて彼女が入ってきました。

「これで15回目なんだけど」

画面を突き出す彼女の前で、俺はうさぎの便箋を掲げてみせることしかできませんでした。彼女は便箋と俺の顔を見比べて、吹き出しました。

手紙は、まだ渡せていません。14回の既読スルーは、彼女に書く14行の返事が1つずつ増えていった数でした。

(20代男性・会社員)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

彼からの「お前のメッセージ、重いんだけど」に、スタンプ1個で返しつづけた→1週間後、長文が届いた

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