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毎晩22時40分の連絡が0時になった俺→「会って話したい」とだけ返した本当のわけ

  • 2026.11.8
ハウコレ

送別会の原稿は、最後の段落だけがどうしても書けませんでした。そこに出てくるのは先輩ではなく、毎晩「帰ったよ」を送っている相手だったからです。

ファミレスのドリンクバーで、俺はその夜4杯目のコーヒーを注いでいました。席に戻ると、スマホのメモには書いては消した文章が並んでいます。気がつけば、付き合って1年半の彼女にいつもの連絡を送る時刻を、大きく過ぎていました。

「22時には会社を出ろ」と言った人

入社以来お世話になった先輩が、春で地元に戻ることになりました。週末の送別会で、部署を代表して挨拶をしてほしいと頼まれたのです。

仕事を一から教えてくれた先輩でした。彼女と付き合い始めた頃、残業続きの俺にこう言った人でもあります。

「待ってる人がいるなら、22時には会社を出ろ。あとは任せろ」

それ以来、俺は22時に会社を出るようになりました。同じ電車に乗り、同じ道を歩けば、家に着くのは22時40分。彼女に送る「帰ったよ」の時刻は、先輩が作ってくれたものでした。

書いては消した夜

その日、俺は会社を出たあと、家ではなく駅前のファミレスに入りました。家に帰ると寝てしまいそうで、書き上げるまで席を立たないと決めていました。

先輩への感謝は山ほどあるのに、文章にするとどれも薄く見えます。何より、最後の段落が書けませんでした。

22時の約束のおかげで、今の彼女と続いていること。それを書けば、大勢の前で彼女の話をすることになります。

途中で、彼女から「今日遅い?」と届いたのが通知で見えました。開けば、返事を打つうちに全部話してしまいそうです。帰ってからきちんと返そうと、画面を伏せました。

原稿が形になったのは、終電の一本前でした。家に着いてすぐ「帰ったよ」、続けて「遅くなってごめん」と送りました。

「会って話したい」と送った理由

彼女からは、すぐに「おかえり。何かあった?」と返ってきました。

最後の段落を読むなら、先に彼女に聞いてもらい、いいと言ってもらってからにしたい。そう決めて、俺は返事を打ちました。

「明日、少しだけ時間もらえる?」
「ちょっと聞いてほしいことがあって」

彼女から「何の話?」と届きました。文面で説明すれば、最後の段落のことまで書くことになります。照れくささが勝って、俺は「会って話したい」とだけ返しました。

翌日、「仕事終わったら駅前のカフェでいい?」と送ると、彼女からは「わかった」だけが返ってきました。いつもなら何か一言添えてくれる人です。

その短さで、昨夜の文面がどう読めたのか、ようやく気づきました。

そして...

カフェの窓際で、彼女はアイスティーのグラスを前に座っていました。俺は向かいに座り、テーブルの上で手を組みました。背筋が伸びていたのは、最後の段落を読む緊張のせいです。

「あのさ。送別会のスピーチ、聞いてくれない?」

俺が読み終えると、彼女は「それならそうと書いてよ」と笑い、最後の段落はそのまま読んでいいと言ってくれました。

週末の送別会で、先輩はその段落のところで目元を押さえていました。毎晩22時40分の「帰ったよ」は、先輩が俺にくれた、彼女を待たせないための時刻だったのです。

(20代男性・会社員)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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