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「誰と会ってたか言う義務ない」と返した俺→本当は20分間、別の返事を打っていました

  • 2026.10.25
ハウコレ

事務所のドアを閉める直前、先輩に「彼女さんには話したのか」と聞かれました。答えを避け、俺は会釈だけして駅へ向かいました。彼女からのメッセージが届いたのは、その帰りの電車の中でした。

決まるまでは言わないと決めていた

前の会社の先輩から、自分の事務所に来ないかと誘われたのは3か月ほど前のことです。付き合って2年になる彼女には、まだ何も伝えていませんでした。

俺は新卒で入った会社を1年で辞めています。そのとき家族から「お前は続かない」と言われたのが、ずっと頭に残っていました。

話を聞きに行くだけの段階で打ち明けて、結局やめたら、また同じ目で見られる気がしたのです。だから週末の誘いには「ごめん、その日は用事ある」とだけ返していました。

答えたくない質問にして逃げた

電車の中で開くと、2通並んでいました。「最近、用事ばっかりだね」「今日の用事って、誰と会ってたの?」

責められているとは感じませんでした。先輩に答えられなかった質問を、今度は彼女から聞かれた気がしたのです。

「前の会社の先輩と会ってた。ちゃんと決まったら話すから、少し待ってほしい」

そう打っては消しました。

そこまで書けば、どうして3か月も黙っていたのかも説明しなければならない気がしました。前の会社を辞めたときのことまで話すことになるかもしれない。それが嫌で、別の言い方を打っては、また消しました。

駅を5つ過ぎるころには20分近くたっていました。言えない理由を説明するより、答えなくていい質問にしてしまえば逃げられる。そんな考えで最後に送ったのが、一番冷たい言葉でした。「誰と会ってたか言う義務ない」返ってきたのは、「そっか、ごめん」でした。

「違う」と打ちかけました。でも、何が違うのかを書けば、結局すべて説明することになります。送信しないままアプリを閉じました。

彼女との約束と、10日後の説明

数日後、先輩から連絡が来ました。

「土曜、条件の話を詰めたいんだけど来られる?」

その日は彼女と夕飯を食べる約束をしていました。

断ろうか迷いました。でも、給料や休み、仕事の内容までまとめて聞けるのはその日しかありません。俺は先輩に行くと返してから、彼女へ送りました。

「土曜なんだけど、ごめん。用事入った」

返ってきたのは、「わかった」だけでした。

いつもなら何の用事か聞いてくることもありました。その日は何も聞かれませんでした。

自分が送った「義務ない」の言葉が、彼女から質問することまで奪ったのだと、その短い返事で初めて気づきました。

それでも、その時はまだ本当のことを言えませんでした。

先輩の事務所へ行き、条件を聞きました。給料は最初下がり、休みも今より減ります。それでも、やってみたい仕事でした。数日考えて、行くと決めました。先輩に返事をしたその足で駅のベンチに座り、スマホのメモ帳に書きためていた文章を開きました。先輩と会っていたこと。この前もその人だったこと。転職を考えていたこと。最後に、「決まる前に言うのが怖かった。ごめん」を足して送りました。返ってきたのは、「話してくれてありがとう。でも、あの返事はまだちょっと痛い」でした。続けて、「その日も、誰とって聞けなかった」と届きました。あの日の「わかった」を思い出しました。「ごめん。聞けなくしたのは俺だと思う」「次からは、聞かれる前に言う」そう返しました。

そして...

事務所に移って2か月がたちました。出かける前には、「今から事務所行ってくる」と送るようにしています。彼女からは、スタンプが返ってくる日もあれば、「今日は遅くなる?」と聞かれる日もあります。

あの日、電車の中で打っては消した文章のことは、まだ彼女に話していません。「義務ない」と送る前、本当は何を書いていたのか。次にあの日の話になったら、今度は消さずに、自分の口で話すつもりです。

(20代男性・会社員)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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