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「韓国文化通信」Vol.47 〈IAAC Crafts〉主宰、陶芸家・Jeon Hyunji

  • 2026.10.26

今、最も“要注意”すべき韓国カルチャーを牽引するキーパーソンにインタビューし、その変化を定点観測していく本連載。第47回は、陶器を軸にライフスタイル全般をキュレーションするデザインスタジオ〈IAAC Crafts〉を主宰するチョン・ヒョンジさん。もの作りへのこだわりや時代を超えた作品作りについて伺った。

text: Keiko Kamijo / translation & coordination: Hyojeong Choi(KACHI MEDIA)

「韓国文化通信」Vol.47 〈IAAC Crafts〉主宰、陶芸家・Jeon Hyunji
BRUTUS

ライフスタイルに寄り添う陶器を提案

──ヒョンジさんが陶芸に興味を持ったきっかけを教えてください。

最初から陶芸一本だったわけではなく、美術や芸術、工芸だけではなく、ファッションなどにも興味がありました。美術大学では工芸学部というところで、美術と繊維を学んでいたのですが、途中で陶芸が面白くなってきたので、そちらに集中していきました。

──大学卒業後は、そのまま作家として活動されていたのでしょうか?

在学中、卒業後の進路に関しては、かなり悩みましたね(笑)。美術作品として一点ものを販売するのではなく、大量生産品としての安く売られてしまう陶器でもないもの作りをしたかったんです。今でこそ、韓国国内でも日常に使う器にこだわるライフスタイルというものがありますが、当時はそんなものはありませんでした。アートセラピーにも興味があったのでアメリカに留学しようかなと指導教授に相談したり、勉強を進めたりしたんですが、結局留学はせずに国内の大学院で陶芸を学び続けました。そして、家具やプロダクトのデザインスタジオはあるけど、なんで陶器のはないんだろうと思い、大学院の修了後に、自分でブランドとデザインスタジオを立ち上げました。2013年のことです。

──なるほど、ご自身が陶芸の作家として作品を販売するだけではなく、デザインスタジオとして活動するのは面白いですね。

陶芸家というと、伝統的な作品を作って販売する人が多かったんです。私が考えたのは、空間やコンセプトからインテリアを考えるように、その空間にふさわしい陶器をデザインすることはできないだろうか、ということです。もちろん個人の作家としても活動はしていますが、〈IAAC Crafts〉としては、陶器を使い、新しいライフスタイルの提案をしたいと思っています。

──シンプルだけれども存在感があって、韓国料理でも西洋の料理でも、和食でも、どんな食事を入れても自然と合う。デザインをする際にこだわっていることを教えてください。

ありがとうございます。〈IAAC Crafts〉のセラミック全般はこういうスタイルの人に使ってほしいということは考えていなくて。むしろ、私が追究するデザインをみなさんに使ってほしい。デザインに対して思うのは、一言で言うと「タイムレスなデザイン」。コレクションごとに違いますが、土の表情や質感を生かすときもあれば、形を生かすときもある。気に入ってくださっている方には、モダンかつシンプルで洗練されたデザインという評価をいただいています。また、陶器は飾るものではなく、ぜひ使っていただきたいと思っています。器一つでもプレート一枚でもいいので、使い心地がいいと言われるのが嬉しいですね。

漢南洞のショールームでは実物に触れられる。/ソウル特別市龍山区漢南大路42ギル15

──〈IAAC Crafts〉と個人の作品では考え方が違うのでしょうか?

もちろんそうですね。個人の作品としては、土の本質を追究した実験的な作品になることが多いです。土を手でこねて、そこから自然にできる形に出来上がるまで作るのが作品になります。

──作品のアイデアはどんなところから得るのでしょうか?

日常の様々な観察からインスピレーションを受けていますが、それは日々変わっています。昔は、様々な国の人たちの生活様式をリサーチしたり、都会の建築などからも影響を受けていました。ですが、今は自然に関心があります。人間の手では作り出せない自然のものを自らの手で作ることに興味があります。また、私が生まれ育った国「韓国」の要素をいかに現代的な視覚言語に置き換えていくかは、常に意識しています。例えば、食器のサイズ一つをとっても、食習慣の変化で変わってきます。少し前の韓国ではテーブルの上に何皿ものおかずを並べていましたが、今は一皿で食べることも増えました。そうした時代の変化に合わせた器を作り、好評を得ました。旅をするのも好きで、自分が慣れていない町で、その空間や人の反応を見る。そうしたすべてのことが作品のインスピレーション源となります。

Jeon Hyunjiが選ぶ、今の韓国を知る人

キム・ミンジェ  ニューヨークを拠点に活動する空間・家具デザイナー。アートとデザインの境界線を揺るがす活動は世界から注目を集める。「コロナ禍に建築からデザインにシフトした異色の経歴を持つ作家です。伝統文化を独自に解釈したデザインが面白い」。Instagram:@mnjaekim

profile

チョン・ヒョンジ

大学、大学院と陶芸を専攻し、修了後の2013年に陶器・デザインスタジオ〈IAAC Crafts〉を設立。“Makes Life. Make it better.”を掲げ、日常に寄り添う実用性と、現代デザインにおけるアートとクラフツマンシップを追求している。
Instagram:@iaac_crafts

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