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1円まで請求する私を、友人たちは笑っていた。それでも5年間ノートをつけ続けた理由

  • 2026.10.15
ハウコレ

笑っている顔の絵文字が並ぶたび、画面を下へ送っていた時期がありました。それでも端数を打ち込み続けたのには、友人たちに話していない理由があります。

ノートの最後のページに30,000と書き、下に線を引きました。結婚する友人の分を除いて、5年分の端数を足すと29,618円。足りない382円を自分の財布から出したのが、会計を引き受けてから初めて数字を丸めた瞬間でした。

だいたいで済む会計が苦手だった

高校の部活では、会計はいつも「だいたいでいいよ」で済んでいました。最後に足りない分が出ても「あと100円だけ誰か出せる?」と言い出せず、毎回自分の財布から足していたのです。誘いを断る回数が増え、いつの間にかその輪から離れていました。

だから大学で今の4人になったとき、お金だけは1円まで合わせようと決めました。経理の仕事に就いたのは、そのずっとあとのことです。

表紙に積立と書いたノート

友人の1人は、よく多めに送ってきました。おつりはいらない、と添えて。

「153円多いよ。返すね」

黙って受け取るのも違う気がしていたところに、誰か結婚したときのお祝いに使って、と返ってきました。もう1人からも親指を立てたスタンプ。それならと小さなノートを1冊買い、表紙に「積立」と書いて、1人ずつ欄を分けて記録し始めました。私自身も、会計のたびに自分の分を端数まで計算し、切りのいい額との差を同じように自分の欄へ入れていました。

グループチャットに笑っている顔の絵文字が並ぶたび、画面を下へ送って見ないようにしていました。

1円足りなかったときも、同じ理由で個別に連絡しました。ノートの数字がずれると、誰の分がいくらなのか説明できなくなるからです。返ってきたのは、お腹を抱えて笑うキャラクターのスタンプでした。「笑わないでよ」と打っては消し、既読のまま画面を閉じました。

受付で差し出した封筒

4人のうちの1人の結婚式で、受付に立っていたのはその友人でした。ご祝儀とは別に、裏に3人の名前を書いた封筒を差し出し、あとで新婦に渡してほしいと頼んで、挙式会場の椅子に座りました。

お金を出していない、というメッセージが届いたのは少しあとです。5年分のおつりだと返し、表紙と最初のページの写真を2枚。お祝いに使ってと言ったのはそっちだと添えてから、続けて打ちました。

「預かったお金だから、1円でもずれたら返せないでしょ」

新婦の欄にあった分は、式のあとで本人に返すことにしていました。

そして...

やがて、ずっと笑っていたことを謝るメッセージが届きました。

高校の部活のことを長々と打っては、全部消しました。代わりに送ったのは、これだけです。

「知ってたよ。でも預かるって決めたのは私だから」

式のあと初めての集まりでも、いつものように金額を投稿しました。その友人から届いたのは、端数まで同じ額でした。

かばんからノートを出して開いても、その友人の欄に書き込む数字はありませんでした。線を引いたページの次は、白いまま。ノートを閉じて、またかばんに戻しました。

(20代女性・経理職)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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