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「なんで?今じゃだめなの?」と聞かれた俺→郵便受けに届いていた1通の封筒と、ノートの30問

  • 2026.11.7
ハウコレ

「今日はもう眠いかも」。その返事を見て、無理をさせていると分かっていました。それでも質問をやめるわけにはいかない事情が、俺の手元にはあったのです。
郵便受けに、アパートの更新案内が届いていました。期限は2か月後です。封筒を手にしたまま思い浮かべたのは、付き合って2か月になる彼女の顔でした。更新するかどうかを、1人では決められない気がしたのです。

更新案内と30の質問

一緒に住もうと言うには、まだ早いと分かっていました。けれど更新すれば、あと2年は今の部屋に住むことになります。それに俺は、彼女のことをほとんど知りません。苦手な食べ物も休みの日の過ごし方も知らないまま、暮らしの話はできないと思いました。
そこでノートに、聞きたいことを30個書き出しました。好きな季節やあだ名に混ぜて、部屋の明かりは暖色と白のどっちが好きか、洗濯物は外に干したいか、といった質問も入れています。最後の1問だけは、書く前から決めていました。
一度に送れば重くなるので、1日3問、10日に分けることにしました。
「寝る前に3つ質問していい?」
答えが届くたびに、ノートへ写していきました。セロリ、カフェ巡り、秋。「メモした」と返したのは、本当にノートに書いていたからです。

「じゃあ1問だけ」と送った日

7日目、彼女から「今日はもう眠いかも」と届きました。
毎日のように質問を送られて、疲れないはずがありません。俺はさすがに迷いました。それでも更新の期限までに、ノートを埋めておきたかったのです。
「じゃあ1問だけ」
送ってから、自分勝手だと思いました。翌日には「昨日の残り2問も、いい?」と送り、彼女は5問に答えてくれました。眠そうな短い答えも、俺は一つ残らずノートに写しました。

会って聞くと決めた最後の1問

10日目、俺は「今日で最後。28問目と29問目」と送りました。29問目は、俺に直してほしいところです。届いた答えは「質問が多いところ」でした。思わず笑いながら、それもノートに写しました。
いつもの「おやすみ」を送れずにいると、彼女から「あと1問は?」と届きました。
けれど、この質問だけは文面で送りたくありませんでした。
「30問目は、会って聞きたい」
「なんで?今じゃだめなの?」
「土曜、駅前のカフェで」
それ以上書けば、全部言ってしまいそうでした。

そして...

土曜日、駅前のカフェで、俺は鞄からノートを取り出しました。何度も開いたせいで、表紙の角はよれています。最後のページを彼女に向け、そこに書いた質問を読み上げました。
「30、俺と一緒に住むなら、どんな部屋がいい?」
その下には、29問の答えから書き出したメモが並んでいます。明かりは暖色、洗濯物を外に干せるベランダ、冷蔵庫にセロリは入れない。「質問が多いところ」の横には、「30問目で終わり」と書き添えていました。
彼女はメモを指でたどり、セロリの行で少し笑いました。それから、目から涙がこぼれました。
「眠いのに、真面目に答えてよかった」
彼女が返してくれた30問目の答えは、「日当たりのいい部屋」でした。
彼女が眠い目をこすりながら答えた29問は、全部、2人で住む部屋の下書きだったのです。
(20代男性・会社員)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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