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「どうせタダなんだから」温泉旅館で飲み物を持ち去ろうとした客。だが、浴衣の袖から落ちたもの

  • 2026.10.10

浴衣の袖へ、次々と入れていく男性

社会人2年目の冬、ひとりで温泉旅館に泊まったときのことです。

夜、大浴場から上がった私は、すぐ横にある休憩所のソファで涼んでいました。

休憩所にはアイスや小さなボトルの乳酸菌飲料が用意され、湯上がりの客がその場で自由に楽しめるようになっていました。

ただ、壁には「お部屋へのお持ち帰りはご遠慮ください」という貼り紙があります。

そこへ浴衣姿の20代くらいの男性がやって来ました。男性は周囲を気にする様子もなく、ボトルを次々と浴衣の両袖へ入れていきます。

あっという間に飲み物がなくなり、あとから来た小学生くらいの男の子が空になった場所をのぞき込み、残念そうに母親の袖を引きました。

見かねた私は、ソファから声をかけました。

「あの、お部屋には持っていけないみたいですよ」

男性は振り返ると、気にする様子もなく言いました。

「飲み放題なんだから、部屋で飲もうが自由だろ」

「でも、そこに貼り紙がありますよ」

「どうせタダなんだから、取ったもん勝ちだって」

さらに男性はアイスを2本取り、両手に1本ずつ持ちました。

休憩所にいた4人ほどの客も、その様子を見ています。

視線に気づいた男性は、少しいら立ったように声を上げました。

「何だよ。文句があるなら旅館に言えばいいだろ」

私は、それ以上言い返せませんでした。

おじぎをした瞬間、袖から落ちた6本

そのとき、旅館の制服を着た40代くらいの女性スタッフが通りかかりました。

空になった飲み物の場所と、男性のふくらんだ袖に目を向けると、そばまで来て声をかけました。

「お客様、恐れ入ります。こちらは休憩所でお召し上がりいただくものですので、お部屋へのお持ち帰りはご遠慮ください」

男性は両手のアイスを見せながら言いました。

「持ってるのは、このアイス2本だけだけど」

スタッフは責めるような口調にはならず、もう一度静かに伝えました。

「こちらでお楽しみいただければと思います。ご協力をお願いいたします」

男性はしばらく黙っていましたが、「分かったよ」と短く返しました。

スタッフが頭を下げると、男性もばつが悪そうに軽くおじぎをしました。

その瞬間です。

浴衣の両袖から、小さなボトルがころころと床へ転がり落ちました。

数えると6本。何本かは休憩所にいた客の足もとまで転がっていきました。

ソファの端にいた年配の男性が、思わず吹き出します。

女性スタッフは何も言わずにボトルを拾い集めると、最後にもう一度だけ伝えました。

「こちらは、この休憩所でお召し上がりいただくためのものなんです」

男性は耳まで真っ赤になり、何も言い返しませんでした。手にしていたアイスも戻すと、そのまま早足で廊下へ出ていきました。

そのあと、先ほどの男の子が飲み物を1本取り、うれしそうに母親へ見せていました。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた20代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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