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加湿器の湯こぼれと発火 記録に残る4つのNG

  • 2026.10.8

暖房と一緒に加湿器を出す季節に。NITEに通知された品名が加湿器の事故の記録209件を原因で分けると、118件は製品の不具合の側で、うち48件は同じヒーターの外れでした。お湯や蒸気のやけど25件のうち11件は、ふたが開いた・開けたときの記録です。公的な注意と重なる4つのNGを紹介します。

ストーブやファンヒーターを出すころ、加湿器も押し入れから出てきます。水をわかして湯気を出すタイプ、超音波で細かい霧にするタイプ、ぬれたフィルターに風を当てるタイプ、それらを組み合わせたタイプと、しくみはいろいろです。
毎日のように長時間動かす家電なので、置き場所や手入れのちょっとした油断が、やけどや発火につながることがあります。製品事故の記録を検索できるNITE(製品評価技術基盤機構)のSAFE-Liteで、品名が加湿器の記録209件を集め、原因の結論まで1件ずつ読みました。使い始める日の手入れや水の替え方は関連記事「加湿器を出す日のNG5つ」にまとめているので、この記事は事故の記録を軸にしています。

品名が加湿器の記録209件 118件は製品の不具合の側

亡くなった方の記録が2件、重傷が14件、軽傷が14件。火災が56件、製品のほかに床や家具などにも被害が及んだ拡大被害が77件あります(死亡と火災が併記された1件は死亡に数えています)。
原因の結論で1件1つに分けると、製品の不具合とみられる記録が118件で最も多く、原因不明、または製品以外とみられる記録が57件(うち52件は、結論で原因を特定できなかったとされたもの)、使い方が原因とみられる記録が33件、長く使ううちの劣化とみられる記録が1件です。
NITEが「製品起因であるが、その原因が不明」とした14件と、「製品自体に問題があり、使い方も影響」とした1件は製品の側に、業者などの修理・改造に問題があったとされた1件は原因不明・製品以外の側に入れました。NITEの区分が付いていない53件は結論の文から振り分け、製品の側13件、使い方の側6件、原因不明の側34件としています。
品名に書かれた方式では、スチーム式(スチームファン式・ヒーター加熱式を含む)が71件、超音波式が29件、ハイブリッド式が5件。気化式と書かれた記録はなく、方式の記載がないものが104件でした。
数えたのは、品名が「加湿器」「加湿機」で始まる記録(加湿機能付きの空気清浄機などは除く、発生1997年3月〜2025年2月と発生日不明1件)で、NITEに届いた記録の数です。

48件は同じ原因 ヒーターが外れた古い製品の記録

製品の側の118件には、同じ原因がくり返し書かれた記録がまとまって入っています。
最も多いのは、水を加熱する皿(蒸発皿)に取り付けたヒーターの固定が不十分で、ヒーターが外れて底の樹脂を溶かした、という記録で48件。発生は1999年1月から2013年2月までで、多くは1999年から2004年に集中しています。47件の記録には、安全装置が付いていたものの、ヒーターが皿から外れたために作動しなかったと書かれています。措置の欄には、新聞の社告やチラシで回収を続けてきたことが記されています。
この中には、2013年2月に長崎県で起きた火災の記録もあります。記録の通知内容には4名が死亡、2名が重傷、6名が負傷とあり、NITEの2014年1月の注意喚起は、この火災の人的被害を死亡5人、重傷1人、軽傷6人としています。
ほかにも、漏れた水と水垢が本体のマグネット式プラグの受け口に付いて火花が出た製品の記録が11件、硬い電源コードが混ざって組み込まれ、プラグの付け根で線が切れた製品の記録が6件ありました。3つを合わせた65件は、いずれも製品の側の記録です。

NITEは2022年の注意喚起で、リコール対象製品による事故も起きているとして、手持ちの製品がリコール対象かどうかの確認を求めています。何年も前の加湿器を出すときは、製品名や型番で一度調べておきましょう。

やけど25件 11件はふたが開いた・開けたとき

209件のうち、お湯や蒸気でやけどをした記録は25件でした。ふたがどう関わったかで1件1つに分けています。
運転中や運転直後にふたを開けた(開けようとした)記録が6件、倒れたり運んでいて落ちたりした拍子にふたが開いた・外れた記録が5件で、合わせて11件はふたのところから湯がかかっています。
ふたが開いたとは書かれていない、こぼれた・あふれた湯のやけどは8件。吹出口の蒸気に触れた記録が6件で、いずれも乳児・幼児の手や指のやけどでした。蒸気の吹出口と子どもの距離の話は関連記事「加湿器を出す日のNG5つ」に譲り、ここでは置き場所と給水のNGを取り上げます。

NG1|湯をわかすタイプを、足が当たる床や子どもの枕元に置く

床に置けば落ちる心配はない。寝ている子のそばなら、のどの乾燥にもよさそう。そう考えて置き場所を決めてしまう場面です。
倒れた本体の湯でやけどをした記録9件のうち、床に置いた加湿器に人の足が当たって倒れた記録が2件あります。大勢がいる部屋で1人の足がぶつかって倒れ、近くにいた子どもの足首に熱湯がかかった例、床の加湿器を足に当てて倒し、ふたが外れて湯がかかった例です。
寝ている乳幼児の枕元や近くで使っていて倒れた記録も2件。就寝中の枕元に置いた加湿器が寝返りなどで倒れたと推定された例と、畳で寝ている1歳の子の近くで使っていて、朝、倒れた加湿器の湯で足をやけどしていた例です。ほかに、子どもが電源コードに触れたり引っかかったりして本体が落ちた・倒れた記録が2件あり、コードの引っかけは関連記事「ケトル・電気ポットのNG5つ」でも取り上げています。

見直すなら:子どもを近づけず、倒れにくい安定した場所へ。
NITEは、スチーム式や一部のハイブリッド式は内部に湯がたまっていて、倒れると湯がこぼれ出てやけどをするおそれがあると説明しています。そのうえで「また、ぐらつきのある台、傾斜のある所、毛足の長い絨毯の上など、不安定な場所に製品を置かないで下さい。」と呼びかけています。
消費者庁は「床に置くタイプの暖房器具や加湿器は、子どもの手が届かない場所に設置するか、安全柵などで囲みましょう。」としています。東京都も、加温して蒸気を出すタイプは本体の蒸気噴出口や中のお湯も熱くなっているとして、周囲に柵を設置するなどの対策を挙げ、「また、コードは、引っ掛けたりすることがないように注意しましょう。」と続けています。

NG2|満水ラインの上まで水を入れて、そのまま運転する

給水の回数を減らしたくて、タンクや容器の口いっぱいまで水を入れてしまう。
満水の表示を超えて水を入れていたと書かれた記録は2件で、どちらもふたを開けたときに湯がかかったやけどです。満水量より多く水を入れていて、使用中に異音がしたのでふたのつまみを上げたところ、湯が吹きこぼれたと推定された例、満水表示以上の水で使い、蒸気の通り道がふさがって内圧が上がり、ふたを開けたときに湯が噴き出したと推定された例です。ふたを開けた6件のうち3件は、異音や大きな沸騰音がしたあとにふたを開けた(開けようとした)記録でした。
この2件には界面活性剤や木のチップも入っていて、水道水以外のものが書かれた記録は全部で4件。水道水以外を入れない理由は関連記事「加湿器を出す日のNG5つ」でも説明しています。

見直すなら:水は満水ラインまで。指定以外の薬剤も入れない。
NITEは気をつけるポイントとして「給水タンクには水道水を入れ、指定以外の薬剤などは入れない。満水ラインを超えて水を入れない。」を挙げ、「また、満水ラインの指示がある場合、満水ラインを超えて水を入れると中身が溢れる原因となります。」と説明しています。
東京都も「満水ラインより上に水を入れたり、水道水以外のものを入れると、ふきこぼれてやけどの原因になることがあります。」としています。

NG3|加熱皿やフィルターの水あかを、落とさずに使い続ける

白く固まった水あかは、こすっても落ちにくい。加湿はできているから、と手入れを先延ばしにしてしまう場面です。
手入れの不足や、水あかの堆積・固着が事故の経過として書かれた記録は10件で、9件は火災の記録です(原因の文に水垢が出てくる22件のうち、製品の不具合で漏れた水の水垢が付いたとされた12件は除いています)。
目を引くのは、加熱槽の手入れが12年間一度も行われていなかった記録です。水あかがたまって加熱槽とパッキンの間から水が漏れ、ヒーターの線が傷んで出火したとされています。使い方の側の6件のうち3件は、すき間から漏れた水がマグネット式プラグの付近に入り、そこから火が出た記録でした。取扱説明書では月に1、2回とされていたフィルターの清掃をしないまま長く使っていた例も、その1件です。
一方、3件は、水あかが固着するとサーモスタットが頻繁に作動する構造だったなど、製品の側にも原因があったとされています。本体ごと水をかけて洗った、マグネット式プラグの受け口に液体が付いたという使い方で発火した記録も2件ありました。

見直すなら:水あかは定期的に手入れ。プラグを抜き、丸洗いはしない。
NITEは「水あかは定期的にお手入れする。機器全体を丸洗いしない。」を気をつけるポイントに挙げ、お手入れは電源プラグを抜いて、マグネットプラグやUSB端子などの電源接続部に水がかからないように、と呼びかけています。

NG4|電源コードを本体の下敷きにし、根元で折り曲げて使う

棚と壁のすき間にコードを押し込む。プラグを抜くときは、コードをつかんで引く。毎日のことなので、扱いが雑になりがちです。
電源コードやプラグに外から力が加わったことが原因とされ、使い方の側に入った記録は5件です。家具との接触などでコードに力がくり返し加わり、途中で半断線して火花が出た例、本体の下敷きになったコードが傷んで発熱し、本体に燃え移った例、ACアダプターのコードがプラグの付け根で鋭角に折り曲げられたまま使われていた例、電源プラグの刃に強い力が加わって折れ、火花が出た例などです。
原因の区分が「原因不明」や区分なしの記録にも、コードの断線・半断線から出火した可能性が書かれながら、原因の特定には至らなかったものが5件あります。一方で、硬いコードが混ざっていた、コードの柔らかさが足りなかったなど、製品の側の原因でコードが切れた記録も8件あり、使う人の扱いだけで起きているわけではありません。

見直すなら:引っ張らず、折り曲げず、プラグを持って抜く。
NITEは2022年の注意喚起で「電源コードを引っ張ったり、折り曲げたり、きつく巻き付けたりしない。」を挙げ、電源プラグを差し込んだまま本体を動かしたり、机の足で踏んだりするような使い方をしないこと、プラグを抜くときはプラグを持って抜くこと、保管の際にコードを本体へ強く巻かないことを呼びかけています。
2014年の注意喚起でも「コードを傷つけたり、上から重いもので踏みつけたり、ドアなどに挟み込んだりしないでください。」「電源プラグを抜くときはコードを引っ張らず、必ずプラグ本体を持ってください。」としていました。

においや水漏れは止めどき やけどと異変への公的な備え

記録には、異変に気づいたあとも使い続けた、または電源につないだままにしていたと書かれたものが17件ありました。焦げたにおいがしたのに加湿器だと思わずに使い続けた、水漏れが続いているのに使っていた、エラー表示が出たまま修理しなかった、動かなくなった本体のプラグを差したままにしていた、などです。ただし、うち11件は同じ原因が続いた製品(ヒーターの外れ、マグネット式プラグの受け口)の記録で、原因は製品の側とされています。
NITEは2014年の注意喚起で、コードについて「電源コードを動かすと接続している製品の電源が入ったり、消えたりする、または、コード自体が部分的に熱くなる等の現象がある場合は使用を中止し、製造事業者や販売店に修理等を依頼してください。」としています。2022年の注意喚起では、リコール対象と分かった製品は、まだ不具合が出ていなくても使用を中止し、買った店や製造・輸入事業者へ相談するよう求めています。
やけどをしたときの手当てについて、消費者庁は子どものやけどの注意喚起の中で「やけどをしてしまったら、すぐに10分以上冷やしましょう。」とし、「服の上から熱湯などがかかった場合は、脱がさずに服の上から冷やしてください。」と案内しています。範囲が広いときは救急車を呼ぶことも挙げています。
製品の扱いや事業者とのやりとりに困ったら、消費者庁の「消費者ホットライン」188に相談できます。地方公共団体が設置している身近な消費生活センターや消費生活相談窓口を案内してくれます。

加湿器の記録で確かめた3つの疑問

運転中にふたを開けるとどうなる?

運転中や運転直後にふたを開けて湯がかかった記録は6件で、NG2の満水超えの2件も含まれます。運転開始から約15分後に大きな沸騰音がして、ふたのロックレバーを動かそうとしたら湯が噴き出した例や、運転を止めた直後にふたを開けて湯を捨てに運ぶ途中でつまずいた例もありました。このうち2件の記録には、取扱説明書や本体に、使用中・運転中や直後にふたを開けないよう求める表示があったと書かれています。NITEは2014年の注意喚起で、タンクに水が入った状態で移動させるときは、製品の持ち運び用の取っ手などを持って慎重に行うよう求めています。

USB電源の小さな加湿器でも火が出る?

品名・事故の内容・原因の文に、USB電源・USBケーブル・内蔵電池の充電が出てくる記録は7件で、いずれも超音波式または方式の記載がない記録でした。製品の側の不具合とされたもののほか、他社製のUSBケーブルの端子が発熱したもので製品に起因しないと推定された記録や、内蔵の電池が充電中に発熱したものの原因の特定に至らなかった記録があります。

加湿器でレジオネラ肺炎になった例は?

2007年に、加湿器を使っていた人がレジオネラ肺炎で亡くなった記録が1件あります。製品と本人から同じ菌が見つかったものの、使用状況との関係が不明で、原因は特定されなかったと結論づけられています。タンクの水の替え方は、関連記事「加湿器を出す日のNG5つ」で取り上げています。

まとめ 記録の多くは製品の側、使う側はふたと手入れに

出典 www.nite.go.jp

加湿器の記録209件の半分以上は製品の側の不具合で、同じ原因のヒーターの外れだけで48件にのぼりました。使う側の記録では、湯をわかすタイプのやけどの多くがふたの開け閉めや倒れ方と結びつき、発火では水あかとコードの傷みが何度も出てきます。
床と枕元を避けた置き場所、満水ラインまでの給水、プラグを抜いての水あか落とし、コードの扱いの4つは、どれも出したその日から見直せることです。焦げたにおいや水漏れは、使い続けずに止めて相談する合図になります。

※件数はweboo編集部が2026年10月7日時点のSAFE-Liteの記録から数えたもので、給水や手入れのきまりは、お使いの機種の取扱説明書が優先です。

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