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「暇なの?笑」と笑った私→いつもより3本早い電車で、彼より先に時計台の下に立ってみた

  • 2026.10.9
ハウコレ

彼を驚かせるだけのつもりで、ふだんより早い電車に乗った日。待つ側に立ってみて初めて、彼の「まあね」が少し違って聞こえ始めました。

駅の東口にある大きな時計台の下で、改札から出てくる人の顔をひとりずつ目で追っていました。約束の時間までは、まだ25分あります。付き合ってから、この場所に先に立っているのはずっと彼のほうでした。

先に立っているのはいつも彼

付き合って1年になる彼は、待ち合わせに毎回15分ほど早く着きます。約束の時間ちょうどに改札を出ると、時計台の下からこちらへ手を上げる。それが私たちのお決まりでした。

この前もやはり彼が先で、つい笑ってしまいました。

「暇なの?笑」

彼は「まあね」と笑っただけで、それ以上は何も言いません。からかったつもりだったのに、あっさりした返事に少し物足りなさが残りました。

それなら一度くらい、彼より先に着いて驚かせてみたい。次の約束の日、ふだんより3本早い電車に乗りました。

待たせるつもりで来た時計台の下

改札を抜けて時計台の下を見ると、彼の姿はありません。先に着けたことがうれしくて、柱の横に立って改札のほうを向きました。

ところが、5分もしないうちに落ち着かなくなってきます。電車が着くたびに人がまとまって出てきて、そのたびに顔を確かめてしまう。似たコートの人が見えると背伸びをして、別人だと分かるとスマホに目を戻す。その繰り返しでした。

メッセージを開き、「東口の時計台の下ね」という彼の文面を読み返します。西口にも時計台があった気がして、改札がよく見える位置まで移っては、また柱の横へ戻りました。

余裕で彼を迎えるつもりだったのに、そわそわしているのはこちらのほうです。

隣に並んだ彼の横顔

何度目かに文面を読み返していたとき、すぐそばで声がしました。

「え、もう着いてたの?」

顔を上げると、目の前に彼が立っていました。約束の15分前、普段どおりの時間です。

「暇だったから」

この前の彼をまねて答えると、彼は少し間を置いてから笑い、私の隣に並びました。その横顔を見ながら、さっきまでの落ち着かなさを思い返していました。彼は毎回、私が来るまでこうして改札を見ていたのかもしれない。そう思うと、あの日の軽口が急に引っかかりました。

「この前、暇なのって言ってごめんね」

「いいよ。実際ちょっと暇だし」

本当かどうかは分かりません。それでも、もう一度からかう気にはなれませんでした。

そして...

それ以来、彼は到着すると「時計台の下にいるよ」と送ってくるようになりました。改札を出る前にその文面を見れば、人の顔を探さずに済みます。

私も少しだけ早い電車に乗るようになりました。彼が改札を見ながら待つ時間を、少しでも短くしたいからです。

(20代女性・事務職)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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