1. トップ
  2. 【体験談】乳がんを3回経験した母…娘の私は何を注意すべき? 専門家とともに解説

【体験談】乳がんを3回経験した母…娘の私は何を注意すべき? 専門家とともに解説

  • 2026.10.5
Nattakorn Maneerat / Getty Images

10月は、乳がんの早期発見と予防を呼びかける「ピンクリボン月間」。自身の母の3度にわたる乳がん闘病をきっかけに、自らのリスクと本気で向き合い始めた英国人ライターのキャット・ハフトンが、専門家とともに辿りついた「今すぐできる6つの予防習慣」とは? 実際の体験談とともにお届けする。

2022年夏、キャット・ハフトンが母から「乳がんが3度目の再発をした」と告げられた瞬間を、今でも鮮明に覚えているそう。友人と、当時まだ生後数カ月だった息子と一緒に南ロンドンを散歩していたときに電話が鳴り、母の声のトーンから何かが起きたのだとすぐにわかったという。

新型コロナウイルス感染症のパンデミック中に起きた2度目の再発のショックからようやく立ち直った、わずか1年後のこと。こうした状況が“普通”になりつつあることに不安を感じながらもパニックに陥ることなく、頭の中ではどこか冷静にこう感じていたそう――私たちはこれを乗り越えたことがある、母はまた回復できると。

キャット・ハフトンの母は、51歳のときにしこりを発見し、エストロゲン受容体・プロゲステロン受容体・HER2のすべてが陰性のトリプルネガティブ乳がんと診断された。当時まだ23歳だったキャット・ハフトンにとって、それは打ちのめされるような経験だった。しかし、過酷な化学療法と放射線治療を経て母は回復したという。

その後、2021年に定期的なマンモグラフィ検査で、(前回とは別の)トリプルネガティブ乳がんと診断された。このときは、3年間にわたり6カ月ごとのビスホスホネート点滴(骨を強くし、がんの骨転移や再発を防ぐための点滴)を受けるように勧められたそう。

この予防治療と並行して厳密な経過観察も続けていたところ、その1年後、反対側の乳房にホルモン受容体陽性乳がんが見つかった。化学療法の効果は見込めないと告げられたが、幸いリンパ節には転移していなかった。このときの治療は、長期のホルモン療法と両側乳房切除術だった。

Galina Zhigalova / Getty Images

遺伝の可能性は?

3度目の診断後、キャット・ハフトンの母はBRCA遺伝子検査も受けた。結果が陰性とわかったとき、妹とともに、乳がんのリスクを受け継いでいないことに少しホッとしたのだそう。しかし母の経験を通じて、英国で依然として最も多いがんであり、年間約6万件の新規症例がある乳がんを自分自身が発症する可能性について、強く意識するきっかけにもなったという。

2度目と3度目の診断・治療の前後数年間、キャット・ハフトン自身が妊娠中だったり、新生児と幼児を育てている最中だったりで、あっという間に過ぎていったと話す。しかし彼女が40歳を迎えるにあたり、ようやく自分自身の健康について腰を据えて考える余裕が生まれた。

残念ながら予防できないケースも多いが、研究では乳がんの約30%は、食事の改善や飲酒量の調整、運動習慣の維持といったシンプルなライフスタイルの変化によって予防可能であることが示されている。もともとキャット・ハフトンは見た目やメンタルヘルスのためにジムに通ったり食事に気をつけたりしていたが、今やリスクを減らすことこそが、健康的な習慣を優先する最大の目標になっているのだとか。

Guido Mieth / Getty Images

正しい情報の見つけ方は?

彼女が乳がん予防の道のりで最初にぶつかった壁は、飲酒量を減らすこと、そしてワイヤー入りのブラや大豆食品、マンモグラフィさえも乳がんの原因になるといった誤情報を見分けることだった。SNS上で疑わしい情報を発信する“自称専門家”から、便乗型のブランドが売り込む“怪しいサプリ”まで、エビデンスに基づく主張を見極めるのはかなり大変だと感じることもあった。

過剰に気にしすぎてしまうか、あるいはまったく気にかけないか、そのどちらかに振れてしまいがちだが、ライフスタイルをひとつずつ見直し、かかりつけ医を含む信頼できる専門家に相談することで、キャトルセゾンは現時点で入手可能な最善の知識を着実に身につけてきた。

BRCA遺伝子を持たない彼女の乳がんリスクは、一般的な女性と同程度。ここからは、生活のなかで改善の余地がある6つの重要な予防習慣について解説する。

今すぐできる6つのこと

【1】適正体重を維持する

Olha Danylenko / Getty Images

研究によると、過体重や肥満は乳がんリスクを大幅に高める可能性があることが示されている。体脂肪が多いと、血中のエストロゲン濃度が高くなるためだ。

「脂肪が少なければ少ないほど、つくられるエストロゲンも少なくなります。そのため、体重管理はとても重要です」と、乳がん治療を専門とする腫瘍内科医のヒューゴ・デ・ラ・ペーニャ氏は説明する。「がんは非常に巧妙で、エストロゲンをエサとして巧みに利用してしまうのです」

キャット・ハフトンは2人の息子を体外受精で授かり、2度目の妊娠中には約25キログラムも体重が増えたという。運動とヘルシーな食事でいくらかは産後の体重を落とせたものの、途中で停滞してしまい、エネルギー不足やモチベーションの低下、身長に対して推奨範囲外のBMIに悩んでいた。

そこで専門家の力を借りるため、数百ポンド(数万円)ほどで複数回栄養士に相談できるセッションに申し込むことに。詳細な食事日記を記入すると、脂質の少ない肉や豆類などのタンパク質、穀物や根菜類などの複合炭水化物、葉物野菜をより積極的にとるように勧められた。

また、午後の甘いおやつを、ゆで卵とナッツ、アボカドなどの塩味の軽食に置き換えることも提案された。カロリーを適度に抑えることと合わせて、この新たなアプローチのおかげで余分な体重を徐々に落とすことができたのだそう。

【2】食事を見直す

Kilito Chan / Getty Images

適正体重を維持するために、栄養価の高い食事をとるだけでなく、食卓に並ぶ食材が乳がんリスクの低減にも役立っているかどうかを意識することも大切。

「可能な限り、農薬を含む食品を避けましょう」と、デ・ラ・ペーニャ氏。食事をとおして特定の農薬を口にすることが、乳がんのリスクを高めるかもしれないことを示す研究結果もあるとのこと。

ファストフードや超加工食品(UPF)の摂取を制限することも重要だ。2025年に発表された研究では、これらを多く摂取する女性は乳がんリスクが25%上昇することが明らかになっている。これについてはさらなる研究が必要だが、こうした食品にはカロリーや糖分、不健康な脂質がより多く含まれていることが多く、体重増加の一因になり得る。

無農薬表記の食品や、加工食品に頼らない食事は、料理をする手間やコストにおいて簡単に取り入れられるものではないかもしれない。しかし、私にとっては料理の楽しさを再発見するきっかけになり、テイクアウトなどの出費を抑えることで長期的なコスト削減にもつながる結果となった。

【3】飲酒量を減らす

Alexander Spatari / Getty Images

彼女が子育てに疲弊していた日々のなかで、毎晩のワイン1杯は心の支えになっていた。しかし、アルコール摂取は乳がんリスクの上昇と強く関連していると知り、数年前から飲酒量を減らすことに。今では何カ月間もひと口も飲まずに過ごせるようになり、ごくたまに楽しむ程度になった。体調がずっと良くなったことを実感できるので、取り入れてよかったと考えている。

研究によると、アルコールは体内で分解されると、発がん物質であるアセトアルデヒドに変化する。アセトアルデヒドの大半は肝臓でつくられるが、乳腺組織でも生成される可能性があり、そこで細胞のDNAを傷つけてがん化のリスクを高める場合があるのだ。また、飲酒はエストロゲンなどのホルモン濃度を上昇させ、摂取量が過剰な場合、がんの促進を招く可能性も。さらに、デ・ラ・ペーニャ氏によれば、アルコールは体重増加の一因にもなるという。

デ・ラ・ペーニャ氏に、安全と見なされる飲酒量があるのか、それとも完全にやめるのが最善かを尋ねたところ、研究によれば、女性の飲酒量が増えるほどリスクは高まり、安全とされる飲酒量の上限や基準はないとのこと。

「ときどきワインを1杯飲むくらいなら、問題ありません」と、デ・ラ・ペーニャ氏は説明する。「危険なのは、毎日の飲酒や、明らかな暴飲です」

また、乳がん研究財団(Breast Cancer Research Foundation)によると、1日にたった1杯飲むだけでも、飲酒しない人と比べてリスクが7〜10%上昇するという。

【4】ストレス軽減を目指す

Yoshiyoshi Hirokawa / Getty Images

忙しく働く人なら誰でもそうだが、高いストレスレベルへの対処は不可欠。歯ぎしりによる痛みや緊張型頭痛といった症状として現れるだけでなく、最近の研究では、過去1年間に経験したストレスレベルが高いほど、乳がんリスクの上昇に関連する可能性があることが判明している。特に閉経前の女性に顕著だという。

デ・ラ・ペーニャ氏は、ある程度のストレスは必要だが、それが慢性化すると体に悪影響を及ぼしかねないと指摘する。主な原因は、ストレスが免疫システムに与えるネガティブな影響だ。

「私たちは、人間関係やお金、仕事、家族など、さまざまな理由でストレスを感じています。ストレスを完全になくすことは不可能です」と、デ・ラ・ペーニャ氏。「大切なのはストレスをうまくマネジメントし、解消することでしょう」

解消法は人それぞれだが、キャット・ハフトン自身はヨガにもっと時間を割くようになった。以前はたまにやる程度だったが、今では週に少なくとも2回はスケジュールに組み込むようにしているのだそう。もちろん、瞑想やセラピーのほうが心の整理に合っているという人もいるだろう。デ・ラ・ペーニャ氏によると、ストレスを解放するために、毎日1時間は自分だけの時間を確保することが重要だという。

【5】筋肉量を増やす

Artem Varnitsin / Getty Images

体組成(脂肪や筋肉の割合)もまた、乳がんのリスクに影響を及ぼすことがわかっている。『ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・キャンサー』誌の研究によると、体脂肪が5%増えるごとに、閉経後の乳がんリスクが15%高まるというのだ。

だからこそ、彼女もここ数年は筋肉量を維持するための筋力トレーニングに本格的に取り組んできた。現在は週2〜3回ほどリフォーマーピラティスを行うほか、自重エクササイズとウエイトリフティングも取り入れている。以前はこうした筋力トレーニングを少し退屈で単調に感じていたが、今ではすっかり好きになったと話す。とはいえ、もちろん他の運動を取り入れることも十分効果があるという。

「すべての運動は、がん予防に良い影響があります。体重をコントロールし、免疫システムを強化してくれるからです」と、デ・ラ・ペーニャ氏は語る。

研究によると、週に150〜300分の中程度の運動(激しい運動なら、その半分の75〜150分相当)を筋力強化エクササイズと組み合わせることで、乳がんリスクを20%低減できるという。

【6】定期健診を忘れずに

yacobchuk / Getty Images

キャット・ハフトンは現在41歳だが、イギリスの国民保健サービス(NHS)のガイドラインでは、無料の定期集団検診でマンモグラフィ検査が受けられるのは50歳からとされている(日本では40歳以上を対象に、市区町村の住民検診として無料〜数千円程度の自己負担額で受診できる場合が多い)。

かかりつけ医に相談したところ、家族歴があるため多少早めに案内される可能性はあるが、大幅に前倒しにはならないとのことだった。毎年約300ポンド(約6万円)を支払って検査を受けるべきかどうか検討したが、安心のためにも投資する価値があると判断した。

デ・ラ・ペーニャ氏は、すべての女性にとって最も大切なのは、「自分自身の乳房をよく知っておくこと」だと説明し、「週に一度、たとえばシャワー中などにしこりや異常がないか確認すること」を推奨している。乳房全体と脇の下をまんべんなくチェックし、乳首から皮膚まで何か変化がないかを感じ取り、観察することで、もし何か気になることがあれば、マンモグラフィと超音波検査で精査するなど、次のアクションが取りやすくなる。

「ただし、乳房のしこりのほとんどは、がんではありません」とデ・ラ・ペーニャ氏は強調。「悪性でないしこりであっても、放置するよりも検査を受けるほうがいいのです」

不安に振り回されるのではなく、自分を守るための正しい知識を身につけ、前向きに健康を優先していく。結局のところ、良い健康習慣を積み重ねることは、がんリスクを減らすだけでなく、子どもたちにとって「最高の母親」であり続けることにもつながる。

※この記事は、海外のサイトで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。

Translation: Yu Mochizuki From Women's Health UK

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ