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「専業主婦になれ」と送ってきた婚約者に、私が返した1文

  • 2026.10.6
ハウコレ

「それは、私のため?それとも、あなたのため?」。返信までの間が長くなるほど、聞きたくなかったはずの答えを待っていました。「俺のため」。その続きに書かれた理由を、何度も読み返しています。

会社の照明を落として、駅のホームで彼にメッセージを送りました。「今日も終電。来月も同じらしい」。式の日取りを決めてから、こんな報告ばかりの1ヶ月でした。しかし返ってきたのは、私が待っていたどの言葉でもありませんでした。

届いたのは、短い命令形でした

「専業主婦になれ」。

電車の到着を告げる音の中で、その短い命令形を読みました。「は?」と打って、送る前に消します。乗り込んでも、画面から目を離せません。ねぎらいでも、体を気遣う言葉でもない。「おつかれ」の一言があれば、それで足りたのに。仕事の内容を彼に話した記憶が、思い返してもほとんどありませんでした。それなのに、辞める辞めないを決める側に、いつの間にか彼が立っている。既読だけを残して、そのまま家まで帰りました。

私が返したのは、質問でした

玄関の鍵をテーブルに置いて、靴も脱がないまま打ちました。

「それは、私のため?それとも、あなたのため?」

送ってから、化粧を落とし、部屋着に着替えます。通知は鳴りません。どちらの答えが来ても嫌だと思っていたはずなのに、間が空くほど、答えを聞きたくなっていきました。冷蔵庫を開けて、何も取らずに閉めます。

「俺のため」

「倒れるまで働くのを、隣で見てられない」

隣。この1ヶ月、彼と会っていません。私が疲れていることを、画面の中でしか知らないはずの人が、そう書いてきました。だから、そのまま返しました。

「なれ、って命令されると、心配してるんじゃなくて、私の仕事を軽く見てるように聞こえた」

消していた言葉のほうが長かった

「ごめん。本当は、俺の給料だけで生活できるようにしてあるから、無理して働かなくていい、って打ってた。消して、あれを送った」

消した言葉のほうが、届いた言葉より長かったのだと知りました。命令だと思っていたものは、言いたいことを削って削って、最後に残った芯だけだったのです。私の知らないところで、彼は式のあとの暮らしを計算していました。

「そうだったの?」

「そんなの、全然分からなかった」

「言葉が足りなかった。今度会って、ちゃんと話す」

そのやりとりを最後に、私は充電器にスマホを挿しました。

そして...

翌週の休み、彼は会いに来て、消したはずの言葉を今度は削らずに口で言いました。会社は辞めていません。残業も減っていません。ただ、あの画面の「専業主婦になれ」は、消さずに残してあります。その下に並んだ言葉ごと、まとめて消したくないからです。

(20代女性・営業事務)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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