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陶芸家フランチェスカ・アンフォッシが家族とつくり上げた、テラゾーが輝くロンドンのキッチン

  • 2026.10.1
AIKO YANAGIDA

イタリア出身のセラミックアーティスト、フランチェスカ・アンフォッシのキッチンは、実用性とモダニズムの大胆な色彩感覚が共存した、自然と人が集まる家のセンターステージだ。『エル・デコ』2026年10月号より。

AIKO YANAGIDA

キッチンは料理だけでなく、経験を分かち合う場所

ロンドン北部に位置するカムデンエリアの閑静な住宅街に佇む一軒家。イギリス人建築家のピーター・ベルが1984年に手掛けたこの建物は、日本建築の影響が色濃く表れた、地域でもひときわ目を引くユニークな住まいだ。陶芸作家のフランチェスカ・アンフォッシは夫のエリック、2人の10代の息子と共に、数年前からこの家で暮らしている。

「カムデンエリアには15年以上住んでいますが、4年前にずっと憧れを抱いていたこの家が売りに出されたんです。迷うことなく、すぐに購入を決めました」

<写真>オープンフロアでキッチンとダイニングにつながるリビングルーム。赤、青、イエローの三原色に合わせた家具選びで大胆かつ印象的なカラースキームでまとめられている。

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鉄の釘を使わない伝統的な木組み技術で建てられたこの家は、1階は部屋に仕切りのないオープンフロア構造が特徴。キッチンからダイニング、リビングへと、家族が集まるスペースがひと続きになった開放的な間取りになっている。

「引っ越した当時、年頃だった息子たちは新しい家をなかなか受け入れられずにいました。そこで、キッチンを家族全員でつくることにしたんです」

<写真>シンクには自作の陶器のソープホルダーが。テラゾーに埋め込んだスプーンやアブストラクトな形のモチーフは、子どもたちと楽しみながら自由な発想でデザインしたものだ。

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家族みんなで手作業でつくったプレイフルなモチーフを、この家が建てられた1980年代を想起させるテラゾーに埋め込んだ。さらに、建築にもともと組み込まれていた赤と青のガラス窓の色合いに着目。それらの色を生かしつつ、イタリアのデザイン集団「メンフィス」を思わせる大胆でポップな世界観へと落とし込み、世界にひとつだけのオリジナルのキッチンワークトップが完成した。

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イタリア人で2児の母であるアンフォッシにとって「料理は人生」。常に家族や友人が訪れるこの家では、多くの時間をこのキッチンで過ごす。

<写真>ピエロ・リッソーニの大理石テーブルとマルセル・ブロイヤーのチェアでまとめたダイニング。個性的なランプやアート作品、こけしなどでアクセントを添えている。

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「料理が大好きなので、キッチンが家の中心になるようにレイアウトを変更し広く設計しました。奥行きのあるカウンターは実用的なだけでなく、私が料理をしている隣に子どもたちが腰をかけてくる、かけがえのないスポットになりました」。今ではこのキッチンが子どもたちの一番のお気に入りの場所になっている。

<写真>アンフォッシのお気に入りのコーナーには、本人と息子たちによる手作りの陶器と、クラフトマンシップを感じさせる木製のキッチン用品がずらり。柱の木栓も有効活用している。

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キッチンに限らず、空間やアイテムの随所にも、彼女の陶芸作品にも通じる配色の妙とユーモアが光る。「私の作品は食器やキッチン用品、テーブルなどの実用的なものが多いんです。人が集まる場に必要なものをつくりたい、という思いから制作を始めることが多いですね。何事もシェアするのが好きなんです」

<写真>ブックシェルフには本やオブジェをディスプレイ。アンフォッシが敬愛するメンフィスの照明“スーパーランプ”がひときわ目を引く。

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独特の色彩デザインと遊び心がちりばめられたアンフォッシの住まい。こだわりが凝縮されたキッチンを最大のポイントに、日々の暮らしを自然と分かち合える、温かみに満ちた家だ。

<写真>階段下には、家族皆が使えるデスクエリアを設置。「マジス」のチェア“アビバ”に合わせて、テーブルは自身でカスタムメイドした。

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偏愛オブジェ&ツールを拝見!

光を受けて輝く鮮やかなタンブラー

窓際にずらりと並べられた、グラスタンブラー。手作りのものからベネチアのムラーノガラスまで、とにかくカラフルでユニークなものをコレクションしている。

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オリジナルの陶器製エッグホルダー

自身でデザインしたブラウンの陶器製エッグホルダー。家族で飼っているニワトリがさまざまなサイズの卵を産むため、どれも収まるように工夫したという。

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毎日の料理で使用する自慢のナイフ

「日本の包丁が一番」と語り、普段から愛用しているというアンフォッシ。右のミニナイフはアメリカ人のナイフ職人、エヴェレット・ノエルによるもの。

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食卓を彩るカラフルなプレート

引き出しの中には自身の作品を収納。色や形を重ね合わせたり、手びねりを使用することで、手作業のぬくもりが醸し出されたプレートが食卓を華やかにしてくれる。

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若手ガラス作家のジャグをコレクション

窓辺に並べられたカラフルなガラス製のジャグは、ロンドンで活動する気鋭のガラス作家ヨッヘン・ホルツによる作品。ひとつひとつ異なる、愛らしいフォルムが魅力だ。

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ユニークな陶器が遊び心をプラス

中央は自作のクレソンホルダー。その両サイドには顔の模様がユニークなペルーで見つけたアンティークの花瓶や、日本人作家のヒロミ・フキコシの作品を並べて飾っている。

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Francesca Anfossi(フランチェスカ・アンフォッシ)
陶芸を主軸に、工芸の伝統を出発点として制作や協働を行うアーティスト兼エデュケーター。2016年にはロンドンの共同スタジオ「ロチェスター・スクエア」のディレクターに就任した。

Photo & Text:AIKO YANAGIDA

Hearst Owned

『エル・デコ』2026年10月号

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