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他人を優先してきた女性が、がん宣告によって見つめ直す、自分を大切にする生き方とは? 『おはよう、おやすみ、また明日。』第4巻で完結へ【書評】

  • 2026.9.30

【漫画】本編を読む

『おはよう、おやすみ、また明日。』(御前モカ/秋田書店)は、突然、がんを宣告された女性が、病気をきっかけに「自分を大切にする生き方」を見つめ直していくヒューマンドラマである。著者・御前モカ氏自身の闘病体験をもとに描かれた本作は、「がん闘病記」でありながら、限りある人生をどう生きるのかを読み手に問いかけてくる物語だ。

主人公は、独身ひとり暮らしの秋山紅葉。これまで他人を優先し、自分のことはいつも後回しにして生きてきた。そんな紅葉の日常は、突然のがん告知によって一変する。不安や恐怖に向き合いながら治療を始める一方で、「本当に自分がやりたかったことは何だろう」「自分のために生きるとはどういうことなのだろう」と、少しずつ人生そのものを見つめ直していく。

本作は、病気であることを決して「かわいそうな出来事」として描いていない。もちろん治療は苦しく、思いどおりにいかない現実がある。しかし、そんな状況でも紅葉は、人との出会いや日々の小さな幸せを積み重ねながら、自分らしい生き方を探していくのだ。がんという病気の重さとともに、「今日を大切に生きること」の意味を自然と考えさせられることだろう。

また、自身の体験を通して描かれる、あたたかな視点も魅力だ。闘病生活をどこかドラマチックに見せるのではなく、何気ない会話や日常が描かれているため、登場人物たちの感情がより身近に伝わってくるはずだ。そして「自分を大切にするとはどういうことか」という、簡単そうでいて難しい問いの答えを、紅葉と一緒に探していくような読書体験が味わえる。

2026年9月15日にはシリーズ完結となる第4巻が刊行に。自身の経験から生まれた物語がどのような結末を迎えるのか、ぜひ手に取って見届けてほしい。本作は、病に向き合う人だけでなく、毎日を忙しく過ごし、自分のことを後回しにしてしまいがちなすべての人の心にも寄り添う作品だ。

文=富野安彦

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