1. トップ
  2. 暮らし
  3. 「塗装を直せば済む」と思っていたのに…少し車をぶつけただけのはずが、修理見積もりに“大きなギャップ”が生まれるワケ

「塗装を直せば済む」と思っていたのに…少し車をぶつけただけのはずが、修理見積もりに“大きなギャップ”が生まれるワケ

  • 2026.10.26
undefined
出典:photoAC(※画像はイメージです)

車を少しぶつけて傷がついたとき、「塗装を直せば済む」と考える人もいるでしょう。しかし、修理に必要な作業は、目に見える傷の大きさだけでは決まりません。部品の取り外しや交換、車の装備によってはセンサーの調整も必要になります。

筆者は大手自動車メーカーの生産技術職として、新車の塗装工程に携わっていました。今回は、塗装以外にどのような作業が発生するのか、修理費の内訳を見る際のポイントを解説します。

傷を塗り直す前にも、必要な作業がある

例えばバンパーの修理では、傷の状態を確認し、補修で対応できるか、交換が必要かを判断します。塗装面の傷と、部品自体の割れや変形では、必要な対応が異なります。

作業内容によっては、バンパーを車体から取り外し、修理後に取り付け直す必要もあります。この取り外しと取り付けを「脱着」と呼びます。部品を再使用できても、脱着には作業の手間がかかります。

事故車の修理に関する作業時間の目安を作成する自研センターも、部品の脱着・交換と、補修塗装を別の作業として扱っています。さらに、車体の変形を直す作業や、運転支援システムの再設定・調整も区別しています。修理は「傷に色を塗る」という一つの作業ではないのです。

交換が必要なら部品代が加わり、再使用できる場合でも脱着や補修の費用がかかります。見える傷が小さくても、作業全体が小規模になるとは限りません。

センサーは、取り付け直すだけで終わらない場合も

塗装以外の作業として知っておきたいのが、車の周囲を認識するセンサーやカメラの調整です。これらは、衝突被害軽減ブレーキなど、運転を支援する機能に使われています。

車種や装備によっては、バンパーの脱着に伴い、こうしたセンサーも取り外すことになります。国土交通省の資料でも、バンパー脱着の例として、運転支援システムのセンサーなどを脱着する際に、エーミング等が必要になる場合を示しています。

「エーミング」とは、センサーやカメラが周囲を正しく認識できるよう、向きや検知の基準を調整する作業です。部品を元の場所に戻すだけでなく、車種ごとの手順に沿った調整が必要になることがあります。

つまり、センサーそのものが壊れていなくても、修理に伴って調整作業が発生する場合があるのです。塗装がきれいに仕上がったことと、運転支援機能が適切に働く状態に戻ったことは、別々に確認する必要があります。

見積もりは、総額と一緒に作業の理由も確認する

修理の見積もりを受け取ったら、総額だけでなく、塗装、部品、脱着、調整などの内訳にも目を向けたいところです。

例えば、部品交換が含まれていれば、補修では対応できない理由を確認できます。調整費用があれば、どの装置に、どの作業が必要なのかを聞くと、修理内容を理解しやすくなります。

専門用語が並んでいて分からない場合は、普段の言葉で説明してもらいましょう。「この傷を直すために、なぜこの作業が必要なのか」という聞き方でも十分です。

小さな傷でも必ず高額になるわけではありません。ただ、傷の大きさだけで費用を想像すると、実際に必要な作業との間にギャップが生まれます。外観を直す作業に加え、部品や機能を元の状態に戻すための作業まで含めて、見積もりを確認することが大切です。


参考:
自研センターニュース2026年3月号(株式会社自研センター)
OBD検査における検査合理化の適用判断に関する参考資料(国土交通省)


筆者:jaco

大手自動車メーカーで、自動車の塗装ラインの構築に携わった。車体の塗装面に色むらや異物がないか、品質検査を行った経験もある。現在はITエンジニア兼Webライターとして、ものづくりの現場で得た経験を生かして執筆している。趣味はキャンプ、登山、旅行。フリーランス時代には年間50泊ほどのキャンプを楽しみながら、アウトドアやIT系の記事を執筆していた。


【エピソード募集】運転中、駐車場で…「えっ!」と思った体験、TRILLでシェアしませんか?【2分で完了・匿名】

の記事をもっとみる

注目コンテンツ