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ドライブデート前、車内でよくしていた…昭和・平成では当たり前だった、令和の車から消えた“出発前の習慣”

  • 2026.10.26
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

海へドライブに行く前、持っていくカセットやCDを選んだことはありませんか。好きな音楽を車に積むのも、出発前の準備の一つでした。

今はスマートフォンで選曲し、普段使っている音楽サービスを車内でも楽しめます。テープを持参していた頃から、音楽を車に保存するようになり、現在では配信で聴くようになりました。それに伴い、出かける前の準備も変わってきています。

私にとって、その変化を思い出す場所は湘南です。父と母が二人で出かけていた海へ、家族の車で連れていってもらい、やがて自分で運転して向かうようになりました。車内の音楽を振り返ると、海へ向かう時間も一緒に浮かんできます。

父から聞いた、恋人同士で海へ向かった話

「母さんと付き合っていた頃、湘南へドライブに行ったんだよ」

父が話してくれた、私が生まれる前の思い出です。時期は1980年代前半。二人が海へ向かう車内では、カセットで音楽を聴いていたそうです。

父と母は、出かける前に持っていくテープを選んでいました。二人にとって、湘南へ行く用意には、その道中で聴く音楽も含まれていたのです。

当時のカセットは、A面とB面に曲が収められていました。途中の曲から聴こうとすれば、早送りや巻き戻しをすることもありました。曲名を選ぶだけで再生できる今とは違い、聴きたいところまでテープを送る動作が必要だったのです。

パイオニアの公式年表には、1982年や1983年の車載カセットデッキ発売が記録されています。ラジオで流れる番組に加え、自分で用意したテープも楽しめる時代でした。

私の記憶にある湘南は、家族みんなで出かけたときの父と母の姿です。けれど、私が生まれる前にも、二人は恋人同士として同じ海へ向かっていました。父の話を聞いていると、いつもの行き先にも、私の知らなかった二人の思い出が息づいていることに気づかされます。

家族の車では、CDをマガジンに

やがて私が生まれ、湘南は家族で出かける場所になりました。子どもの頃の車内で聴いていたのは、CDチェンジャーから流れる音楽です。

CDを複数枚収める専用ケース「マガジン」に聴きたいディスクを入れて本体へセットすれば、車内から聴くCDを自由に切り替えられました。一枚聴き終わるたびにディスクを入れ替える手間が省ける、当時としては画期的な装備でした。

カセットでは、曲の位置までテープを送ることがありました。CDは曲を選んで再生でき、チェンジャーなら複数のアルバムも用意できます。カセットからCDに変わり、持っていく音楽が形のある「ディスク」であることは同じでも、車内での曲の選び方は大きく変わりました。

製品の一例として、アルパインは1986年に12枚収納のCDチェンジャーを発売しています。同社の製品は、トランクに設置する大きさから、車内にも収まる小型のものへと変わっていきました。聴ける音楽を増やすだけでなく、車の限られた空間に収める工夫も進んでいたのです。

子どもの頃の私にとっては、オーディオ機器の進化よりも、家族と同じ音楽を聴きながら海へ向かう時間そのものが身近で大切なものでした。今でも「CDチェンジャー」という言葉を聞いて真っ先に思い出すのは、あの頃の家族の車です。

父から聞いた恋人同士の頃のドライブと、私自身の記憶にある家族のドライブ。車で海へ向かうワクワク感を、私はあの車内で覚えたのだと思います。

自分の車では、音楽も運転も自分で

私自身はMD(ミニディスク)を使った時期もあり、また、自分の車で湘南へ行く頃には、カーナビのHDD(ハードディスク)に保存した音楽を聴いていました。

先に曲を保存しておけば、出発のたびにCDを何枚も用意する必要がありません。パイオニアの2003年のHDDナビにも、CDから音楽を録音する機能がありました。曲を車の中にためて、そこから選ぶ仕組みです。

音楽を保存した機器を車につなぐ方法も広がりました。2004年にはAppleとBMWが米国でiPodの有線接続を発表しています。現在は、対応する機器でUSBやBluetoothを使い、スマホの音楽サービスを車内でも聴けます。

かつて家族の車で音楽を聴いていた私が、やがて自分で曲を選び、ハンドルを握って同じ湘南へ向かうようになりました。車載HDDやSDカードの時代を経て、現在ではスマートフォンのサブスクリプション(音楽配信)を楽しんでいます。

家で聴いていた音楽を、車に乗ってもそのまま同じアプリで楽しむ。湘南へ行く前にCDを何枚も選んで用意していた頃を振り返ると、出発前の準備もずいぶんと変わりました。

さらに、対応する車では契約や通信環境などの条件が整えば、車載システムで配信音楽を再生できます。CDの挿入口がない純正オーディオもあり、トヨタのRAV4のディスプレイオーディオもCD再生には対応していません。

父と母がカセットを持って二人で向かった湘南へ、私は家族の車で出かけていました。今はスマホで音楽を選び、自分で運転して同じ海へ向かっています。

テープもCDも用意しなくなりました。それでも、音楽を聴きながら湘南へ出かけたくなるところは、父と母に似たのかもしれません。


参考:
1980年~1989年の年代別事業年表 (パイオニア)
CDチェンジャーの進化 (アルパイン)
2003年HDDサイバーナビ (パイオニア)
米国でiPod Your BMWキャンペーンをスタート (Apple)
RAV4のディスプレイオーディオ対応メディア (トヨタ)


ライター:三枝 雄太
自動車アフターマーケットや自動車流通の分野で長年、販売・買取、店舗運営、接客、スタッフ育成などに携わる。カー用品や車のカスタムにも幅広く関わり、現場で培った経験をもとに、クルマに詳しくない人にも伝わりやすい言葉で、カーライフや懐かしい車文化を紹介している。


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