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安楽死を支えるプランナー女性の夫が、自ら「死」を願ったら…死にたい彼と、生きてほしい妻が向き合う「幸せな最期」とは?【書評】

  • 2026.9.28

【漫画】本編を読む

『終末パートナー』(北村みなみ/KADOKAWA)は、不治の疾患によって耐え難い苦痛を抱える人が安楽死を選択できるようになった近未来の日本を舞台に、「自分の死を選ぶこと」と「愛する人の死を受け入れること」を描いたヒューマンドラマである。死にたい人と、生きてほしいと願う人。どちらの思いも否定することなく、「幸せな最期とは何か」を問いかける作品だ。

主人公・小桜要は、安楽死を希望する人がよりよい最期を迎えられるようサポートするプランナーをしている女性。顧客の希望に耳を傾け、できるだけ満たされた気持ちで人生を終えられるように、誰よりも真摯に仕事と向き合っている。そんな彼女に、難病を患う夫・纏が長年申請を続けた末についに安楽死を選択する権利を得る。

他人の「死にたい」という意思を尊重し、その最期を支えてきた要だったが、それが愛する夫となれば話は違う。仕事では冷静に向き合えていたはずの安楽死を、妻として簡単に受け入れることなどできないのだ。「死にたい」と願う夫と、「生きてほしい」と願う妻。互いを大切に思っているためにふたりの願いはどうしても相反し、すれ違ってしまう。

耐え難い苦痛から解放されたいという思いも、大切な人に一日でも長く生きていてほしいという願いも、どちらかが間違ってはいない。さらに、要が仕事で出会う人々が望む最期もそれぞれ異なる。人生がひとりひとり違うように、「いい最期」の形も当然ながらひとつではない。

そして物語が進むにつれ、夫が抱えている秘密も明らかになっていく。誰よりも近くにいる夫婦だからといって、相手の苦しみや本心をすべて理解できるとは限らない。安楽死というテーマを通して描かれるのは、人と人が理解し合うことの難しさでもある。

もし、自分の人生の終わり方を選べるとしたら、そして、愛する人が自ら死ぬ日を決めたとしたら、その決断を尊重することはできるだろうか。上下巻を通して、「死にたい」と「生きてほしい」の間にある埋められない距離を見つめた本作は、生きること、死ぬこと、そして大切な人を愛することについて読み手に問いかけてくる。

文=益田聖良

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