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母親の遺言に従い母親の友人を巡る海外旅行へ。行く先々で知る家族の真実と向き合い、成長していく青年を描いた旅物語『グッドナイト、アイラブユー』【書評】

  • 2026.9.25

【漫画】本編を読む

『グッドナイト、アイラブユー』(たらちねジョン/秋田書店)は、亡き母の遺した言葉をきっかけにヨーロッパを巡ることになった大学生が、旅先でさまざまな人と出会いながら、知らなかった母と家族の姿に触れていくヒューマンドラマである。異国を旅する楽しさと、簡単には受け入れられない家族の真実。その両方を通して、少しずつ青年が成長していく姿が胸を打つ物語だ。

大学生の大空(おおぞら)は、母の遺言で各国の母の友人たちにその死を伝えるため、ヨーロッパを巡る旅へ出ることになる。初めて訪れる異国の街で出会うのは、母がかつて親しくしていた人々と、彼らの口から語られる自分の知らない母の姿だった。彼女は自分にとって「母」である前に、ひとりの人間として人生を歩んできたことを知り、旅を続けていくほど、大空が抱いていた母のイメージが少しずつ変わっていく。

旅の途中で大空は、母のことで知りたくなかった事実や、幼い頃に家を出ていった兄が抱えていた秘密、さらに、死んだと思っていた父が生きていることを知っていく。戸惑いながらも、母の足跡を追う旅はいつしか、大空自身が「家族とは何なのか」を知る旅へと変わっていくのだった。

2026年7月に発売された第3巻では、イタリアが物語の舞台となる。ベネチアで出会った少女に勇気づけられた大空は、母と父にとって大切な場所であるフィレンツェへと向かう。そしてついに、長い間、死んだと思っていた父との再会を果たすことになる。亡き母を追いかける旅が、生きている家族と向き合う時間となり、大空が父との再会で何を知り、何を感じるのかが大きな見どころだ。そして2026年8月に発売された完結巻となる第4巻では、帰国した大空のもとに母からの手紙が届き、スコットランド・エディンバラへの最後の旅が描かれる。

家族だからといって、親やきょうだいのすべてを知ることはできないだろう。近すぎるから見えないことの方が多いかもしれない。旅先の美しい風景とともに描かれる大空が経験する出会いと別れ、そして成長が、家族とは何かということを問いかけてくるヒューマンドラマである。

文=宇田 勉

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