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「舞台に花束を渡しに行ってもらえない?」ピアノ発表会で見知らぬ母親に頼まれた私。だが、開演前に先生が告げた一言

  • 2026.10.19

通路で見知らぬ母親に頼まれたこと

娘がまだ小学生だったころ、ピアノの発表会での出来事です。

その日は、いくつかの教室の生徒が集まる発表会でした。

客席には初めて顔を合わせる保護者も多く、私は娘を控えの部屋へ送り出したあと、座る場所を探していました。

すると、花束を抱えた見知らぬ女性が近づいてきました。

「あの、ちょっとお願いしてもいいかしら?」

「はい、何でしょう?」

「うちの娘が弾き終わったら、舞台に花束を渡しに行ってもらえない?」

「えっ、私がですか?」

思いがけない頼みに、私は驚いてしまいました。

初対面の私に、どうしてそんなことを頼むのだろうと思ったのです。

ところが、女性のお願いはそれだけではありませんでした。

「娘が弾き終わったら、ブラボーって立ち上がってね」

「えっ……。そういうことをする会ではないと思うんですが……」

「いいのよ。せっかくの晴れ舞台なんだから。盛り上がったほうが、先生だって喜ぶわよ。お願いね」

女性はにこにこしていますが、私は困ってしまいました。

自分の娘の演奏を応援したい気持ちは分かります。

しかし、初対面の人に立ち上がって声援を送るよう頼むのは、さすがに違うのではないでしょうか。

どう断ろうか迷っているうちに、女性は返事も待たずに歩いていきました。

そして、近くに座っているほかの保護者にも、次々と声をかけ始めたのです。

「いえ、うちはちょっと…」

後ろの列にいた男性も、困ったように手を振っていました。

周囲の保護者たちも、戸惑った表情で女性の話を聞いています。せっかくの発表会なのに、開演前から気まずい空気になっていました。

開演前、先生が客席に伝えたこと

やがて開演の時間が近づき、主催の先生が舞台の前に出てきました。

さっきの女性は、通路側の席で花束をひざにのせています。

「皆さま、本日はお越しいただき、ありがとうございます」

先生は客席を見渡し、穏やかな口調で挨拶をしました。

そして、こんな案内を続けたのです。

「拍手や声援は、どうぞそれぞれのお気持ちでお願いします。ただ、ほかの方に何かをお願いして回ることは、お控えください。子どもたちが落ち着いて演奏できるよう、ご協力をお願いします」

私は思わず、先ほどの女性のほうを見ました。

誰かが先生に相談したのでしょうか。事情は分かりませんが、まるで先ほどの出来事を知っているかのような案内でした。

すると、女性の表情が変わりました。

さっきまでの笑顔が消え、周囲の視線を気にするように目を動かしています。

何か言いかけたようでしたが、結局何も言わず、花束を抱えたままうつむいてしまいました。

後ろの列の男性も、女性のほうを見て小さくうなずいていました。

その後、発表会は予定どおり始まりました。

女性の娘さんの演奏が終わると、客席からは自然と温かい拍手が起こりました。誰かに頼まれなくても、十分に気持ちの伝わる拍手でした。

私の娘も最後まで落ち着いて演奏を終え、私も心から拍手を送りました。

結局、あの女性が持っていた花束は、終演までひざの上に置かれたままでした。

わが子の晴れ舞台を盛り上げたい気持ちは、きっとどの親も同じです。でも、その気持ちをほかの保護者にまで押しつける必要はないのだと感じた出来事でした。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた50代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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