1. トップ
  2. エピソード
  3. 「ひとりにしないでください」40分以上、公園に残された男の子。だが、戻ってきた母親にスタッフが伝えた言葉

「ひとりにしないでください」40分以上、公園に残された男の子。だが、戻ってきた母親にスタッフが伝えた言葉

  • 2026.10.19

公園にひとり残された男の子

晴れた日の昼、私は近所の大きな公園で、広場のベンチに腰かけていました。

広場の端には管理事務所があり、砂場の周りでは、母親たちが小さな子どもを遊ばせていました。

そんなとき、3歳くらいの男の子を連れた母親が、砂場の横で声をかけたのです。

「ちょっとコンビニに行ってくるから、ここで待っててね」

私は思わず母親のほうを見ました。まさか、こんなに小さな子をひとりで待たせるのでしょうか。

しかし、母親は周囲の誰にも見守りを頼まず、そのまま公園の出口へ歩いていきました。

男の子は砂場の縁に座り、母親の背中をじっと見送っていました。

すぐに戻ってくるのだろうと思っていましたが、なかなか母親の姿は見えません。

男の子は何度も出口を見つめ、やがて顔をくしゃくしゃにして泣き出してしまいました。

「どうしたの?ママがいなくて寂しいね」

私が駆け寄ると、周囲にいた母親たちも集まってきました。

「大丈夫だよ。一緒にママを待とうね」

「これで遊んでみる?」

若い母親がおもちゃの車を差し出すと、男の子は泣きながら受け取りました。それでも、何度も出口を振り返ります。

私たちは男の子のそばで母親を待ちました。しかし、40分以上が過ぎても戻ってくる気配がありません。

さすがに、このまま待ち続けるわけにはいかないと思いました。

私たちは男の子を連れて管理事務所へ向かい、作業着姿の年配のスタッフに事情を説明しました。

スタッフは話を聞くと、安全のために男の子を事務所で預かってくれました。

戻ってきた母親にスタッフが伝えた言葉

広場に戻ってしばらくすると、コンビニの袋を下げた母親が戻ってきました。

ところが、砂場に男の子の姿がないことに気づくと、慌てた様子で辺りを見回し始めたのです。

「えっ、あれ?どこ? どこ行ったの?」

母親は砂場の周りを見回し、必死に男の子を探しています。

その様子を見て、私は母親に近づきました。

「あの、さっきここにいた男の子のお母さんですか?」

「そうです!うちの子、見ませんでした?」

「ひとりで泣いていたので、管理事務所で預かってもらっていますよ」

そう伝えると、母親は驚いた顔をしました。

「えっ、事務所に?あ、ごめんなさい。コンビニが混んでて…」

私たちもずっと待っていたことを伝えると、母親は少し気まずそうな顔をして、管理事務所へ向かいました。

私たちも少し離れて後を追いました。

事務所の前では、先ほどのスタッフが母親に対応しました。ガラス戸の向こうには、泣きやんだ男の子の姿が見えます。

「ああ、よかった……。すみません、お世話になりました。公園だし、ちょっとくらい大丈夫かと思って……」

ほっとした様子で説明する母親に、スタッフは落ち着いた声で答えました。

「お子さんがひとりで泣いていたので、こちらでお預かりしています。まず、お名前とご連絡先をお願いします」

母親は少し戸惑ったように、スタッフの顔を見ました。

すると、スタッフは続けました。

「それから、小さなお子さんを、ひとりにしないでください」

その言葉に、母親は何か言いかけましたが、結局何も言わずにうなずきました。

周囲の母親たちも、黙ってその様子を見守っていました。

やがて母親はスタッフに案内され、事務所の中へ入っていきました。

しばらくすると、男の子が母親と手をつないで出てきました。

母親は私たちに目を向けず、足早に出口へ向かいます。

けれど男の子だけは、途中で振り返り、小さく手を振ってくれました。

私も手を振り返し、ようやくほっとしました。

無事に母親と帰れて本当によかったです。ただ、何度も出口を見つめながら泣いていた男の子の姿は、今でも忘れられません。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ