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台風シーズンの備蓄見直し 家族4人で水は42本

  • 2026.9.20

9月と10月は、台風が日本に上陸しやすい時期です。とはいえ、防災グッズを新しく買い足す前にできることがあります。家にある食品や日用品を「置き場所ごと」に見直すだけで、備蓄はかなり整います。水は家族4人の1週間分で2Lペットボトル42本。1か所には入りきらないので、キッチン・押し入れ・玄関・寝室に分けて置きます。今日からできる備蓄の見直しを、置き場所別にまとめました。

台風の季節になると、防災グッズを買い足したくなります。でも、その前に家の中を見てみてください。レトルトのカレー、缶詰、カップ麺、ペットボトルの水、カセットボンベ。すでに家にあるものを数えて、置き場所を決め直すだけで、備蓄はかなり整います。
ふだん食べているものを少し多めに買って、古いものから使い、使った分を買い足す。この回し方が「ローリングストック」です。特別な非常食だけでなく、ふだん食べているものも合わせて備える、というのが農林水産省の考え方です。
今回は、台風シーズンに合わせた備蓄の見直しを、キッチン・押し入れ・玄関・寝室など置き場所ごとに整理しました。まずは、どこに何を置くかの全体像から見ていきます。

出典 www.maff.go.jp

台風が日本に上陸するのは、9月がいちばん多い

気象庁が出している台風の平年値(1991〜2020年の30年平均)を見ると、台風の発生がいちばん多いのは8月(5.7個)です。ところが、日本に上陸する数でみると、最多は9月の1.0回。次いで8月の0.9回、10月の0.3回と続きます。
年間の上陸数の平年値は3.0回なので、9月と10月の2か月で年間の約43.3%。上陸が集中するのは8月から10月にかけてで、8月と9月の2か月では約63.3%になります(いずれも気象庁の平年値からwebooが計算)。夏が終わったから備えを片づける、というには少し早い時期です。
なお、気象庁の統計では「接近」と「上陸」は別物です。接近は台風の中心が国内の気象官署から300km以内に入ったとき、上陸は台風の中心が北海道・本州・四国・九州の海岸線に達したときを指します。小さい島や半島を横切ってすぐ海に出る場合は「通過」で、沖縄・奄美は「上陸」には数えられません。「今年は上陸が少ない」と感じても、接近の回数は別、というわけです。

先に決めるのは「何日分」 3日か、1週間か

量を決めないと、置き場所も決まりません。農林水産省は家庭での備蓄について、最低3日分、できれば1週間分を人数分としています。高齢の家族や小さな子ども、持病のある家族がいる場合は、最低2週間分が目安です。
「1週間分」と聞くと多く感じますが、理由があります。内閣府の災害対応事例集によると、2019年(令和元年)の台風第15号では、9月9日の明け方に千葉市付近へ上陸したあと、最大で約934,900戸が停電し、電気が戻ったのは9月27日(一部の復旧が難しかった場所を除く)。上陸から数えると18日です。水道の復旧は9月25日で、16日かかりました。
もちろん、すべての台風でこうなるわけではありません。ただ、3日で元どおりにならないことがあるから、国の目安が「できれば1週間」になっている、と考えると納得しやすいはずです。
まずは3日分から。すでに3日分あるなら、1週間分に届いているかを確かめる。この順番で進めます。

水は「本数」と「箱数」で数えると、置き場所が決まる

飲み水と調理に使う水は、1人1日およそ3Lが目安です(農林水産省)。食器や食品を洗う水、湯せんに使う水はこれに含まれないので、別に考えます。
この3Lを、そのまま買い物と収納の単位に置き換えます。2Lのペットボトルなら何本、6本入りの箱なら何箱になるかを計算したのが次の図です。端数は切り上げました。
・1人の3日分=9L=2L×5本=1箱
・1人の1週間分=21L=2L×11本=2箱
・2人の1週間分=42L=2L×21本=4箱
・3人の1週間分=63L=2L×32本=6箱
・4人の1週間分=84L=2L×42本=7箱
家族4人の1週間分は、2Lペットボトルで42本、6本入りの箱で7箱です。3日分なら18本=3箱まで下がります。
この計算のしかたは、政府広報オンラインが示している「大人2人・1週間分=2L×6本×4箱」という例と一致します。同じ数え方で人数と日数を動かしただけなので、自分の家の人数に当てはめて使えます。
そして大事なのは、7箱は、ふつうの家の1か所には入らないということです。だから次は、置き場所の話になります。

出典 www.maff.go.jp

置き場所ごとに見直す 1か所にまとめようとしない

農林水産省の「災害時に備えた食品ストックガイド」には、はっきりこう書かれています。水は分散して収納するのがコツ。1か所に入らない分は、キッチン、押し入れ、リビング、寝室のクローゼットなど、家の中の隙間スペースを見つけて分けて置く、という考え方です。
分けて置くと、片方の部屋が使えなくなっても、もう片方が残ります。収納の面でも、重い箱を1か所に積み上げずに済みます。置き場所ごとに、何を置くかを決めていきましょう。

キッチン|毎日使うものだけを、少し多めに

キッチンに置くのは、ふだんから毎日のように使う食品です。レトルト、缶詰、乾麺、インスタントのみそ汁。ここがローリングストックの本体になります。
コツは、古いものを奥に補充して、手前から使うこと。補充するときに後ろへ回せば、自然に古いものから減っていきます。取り出しやすいケースや箱にまとめて、何があるか見てわかるようにしておくと、同じ食品を大量に買っていた、ということも防げます。
カセットコンロとボンベは、同じ場所にまとめて。しかも、落ちてきてけがをしないよう、低い位置の棚にしまいます。ボンベは立てて入れると場所をとりません。

押し入れ・クローゼット|たまにしか使わないもの

たまにしか使わない食品や、キッチンに入りきらない水の箱は、押し入れやクローゼットへ。重いものや液体は下の段、紙皿や割りばし、乾物のような軽くて期限のないものは上の段に分けます。重いものを下にするだけで、地震のときに物が落ちてくるリスクを減らせます。
奥にしまい込むと存在を忘れるので、天袋や収納庫のいちばん奥は避けます。腰の高さくらいの、少し奥まった位置が探しやすい場所です。
箱の側面に賞味期限を書いておくと、しゃがんだまま期限を確認できます。農林水産省は、1日分の食品をひとまとめにして7セット作る方法も紹介しています。こうしておくと、家族と連絡が取れない状況でも、誰が何を食べればいいかがすぐわかります。

玄関のそば|持ち出す1日分だけ

避難することになったとき、抱えて出られる量はわずかです。農林水産省は、発災当日の備えとして水1Lと、調理しなくても食べられる非常食3食を挙げています。この1日分を非常用持ち出し袋に入れて、玄関の近くに置いておきます。
懐中電灯も同じ場所に。暗い中で探し回らずに済みます。玄関のほかに、廊下の収納やクローゼットの隙間にもう1か所つくっておくと、片方の部屋に入れなくなったときにもしのげます。

寝室|水を少しと明かり。ただし重い箱は置かない

寝ているあいだに停電することもあるので、寝室にも水を少しと懐中電灯を置いておくと安心です。ただし、ここには収納記事ならではの落とし穴があります。
東京消防庁は、寝る場所・座る場所には家具をできるだけ置かないよう呼びかけています。置く場合は背の低い家具にするか、配置を工夫する。台風の備えで増やした水の箱を、寝室の棚の上に積み上げてしまうと、地震のときに落ちてくる危険物になります。
答えはシンプルで、寝室に置くなら、床置きか低い位置に。ベッドの下も使えます。

リビング・別の階|入りきらない分を分ける

それでも入りきらない水は、リビングのテレビ台の脇やソファの下など、家の中の隙間に分けます。2階建てなら、階を分けて置くと、片方の階が使えないときに残ります。
まとめ買いがきついなら、買い物のついでに1本ずつ増やす方法もあります。2Lのペットボトルなら、5回の買い物で1人の3日分(9L)に届きます。

車|持ち出し袋は置ける。ただし置きっぱなしにしないもの

車があるなら、持ち出し袋をもう1セット積んでおくのも手です。ただし、車内は夏に高温になります。モバイルバッテリーを入れっぱなしにするのは避けましょう。リチウムイオン電池を使った製品は、高温や強い衝撃で発火することがあります。
膨らんだり熱を持ったりしたモバイルバッテリーを、備蓄箱にしまい込んだままにするのもやめておきます。見直しのついでに処分しましょう。

主食・カセットボンベ・携帯トイレも、人数×日数で数える

水と同じように、ほかのものも「人数×日数」で数えると足りているかがわかります。
主食は、政府広報オンラインが示す大人2人・1週間分の例(米2kg×2袋など)を1人あたりに割り戻すと、1人1週間で米2kg。4人家族なら8kgです。5kg袋を切らさないように買い足していけば、それだけで1週間分に近づきます。おかずは1人1週間で缶詰9缶とレトルトの主菜9個ほど。4人なら36缶と36個です。
カセットボンベは、農林水産省が1人1週間あたり約6本としています。4人の1週間分なら24本、3日分なら11本。ライフラインのなかで復旧にいちばん時間がかかるのはガスなので、ここは多めでも困りません。ボンベは使用期限がおよそ7年、カセットコンロは約10年が目安です。何年も前のものは、期限を確かめてください。
携帯トイレは、数え方の前提を先に書いておきます。内閣府が自治体向けに、避難所のトイレを計画するときの目安として示しているのが「1人1日5回」という数字です。家庭向けに出された基準ではありませんが、回数の見当をつけるには使えます。この5回で数えると、4人家族の3日分は60回分、1週間分なら140回分。同じガイドラインは「まずは3日分を目標に」ともしているので、3日分から用意するのが現実的です。水が流せないと在宅避難はいちばん苦しくなるところなので、置き場所はトイレの棚か、その近くに決めておきます。

出典 www.maff.go.jp

停電したら、まず冷蔵庫を開けない

台風の被害で多いのが停電です。停電したとき、最初にやることは「冷蔵庫を開けないこと」。
農林水産省によると、扉を閉めたままなら冷蔵庫で約4時間、冷凍庫で約1〜2日は低温を保てます。開け閉めするたびに、この時間は短くなります。
そのうえで、食べる順番です。農林水産省は「まず冷蔵庫、次にストック食品」としています。冷凍庫は冷蔵庫より長くもつので、その間に置くと使い切りやすくなります(ここはwebooの補足です)。つまり冷蔵庫 → 冷凍庫 → ストック食品の順。傷みやすいものから先に使い、買い置きのレトルトや缶詰は後に回します。せっかく1週間分をそろえても、順番を逆にすると冷蔵庫の中身を捨てることになります。
長引きそうなときは、冷凍庫のものを冷蔵室の上の段に移すと、その冷気で下の段を冷やせます(警視庁)。溶けた水で庫内が濡れるので、新聞紙を敷いておきましょう。ただし、完全に溶けてしまった冷凍食品を、もう一度凍らせるのは避けます。目安の時間を過ぎた肉や魚、惣菜は思い切って処分してください。断水していて手が洗えないときは、ウェットティッシュやアルコールで代えます。
ふだんの冷蔵庫の詰め方を見直しておくと、停電したときの持ちも変わります。常温で置ける野菜を切らさないようにしておくのも、立派な備蓄です。

停電中と、電気が戻ったときに気をつけること

停電中の明かりに、ろうそくを使うのはやめておきます。消防や自治体は、屋内で裸火を極力使わないよう呼びかけています。懐中電灯の上に、水を入れたペットボトルを乗せると、光が乱反射してランタンのように部屋を照らせます(警視庁)。買い足さずに、家にあるもので足ります。
発電機やポータブル電源を使うときは、屋内・車内・テント内では絶対に使わないこと。一酸化炭素中毒の危険があります。屋外でも、排気が窓から入るような置き方はしません。
そして、意外と知られていないのが電気が戻ったときの火災(通電火災)です。停電する直前まで使っていた電化製品に、復旧と同時に電気が流れて出火することがあります。電気ストーブや電気こんろのような熱を出す家電は、停電のあいだにプラグを抜いておきます。家を離れて避難するときは、ブレーカーを切ってから出ましょう。
ここで注意したいのが、感震ブレーカーは揺れを感知して働く装置なので、台風による停電では作動しないということ。地震用に付けていても、台風のときは自分の手でブレーカーを落とす必要があります。
もうひとつ、台風ならではの注意点があります。雨漏りや浸水で水がかかった家電は、外から乾いて見えても使わないこと。内部に水や泥、塩分が残っていると、使い始めたときに火災につながることがあります。電気が戻ったあとは、家電のプラグを1台ずつ差して、様子を見ながら使い始めてください。

見直す日を、先にカレンダーに書いておく

ローリングストックがうまくいかない理由のほとんどは、忘れることです。東京都は11月19日を「備蓄の日」と決めていて、「1年に1度はびち(1)く(9)の確認」という語呂で、定期的に中身を見ることを呼びかけています。
公的に示されているのはこの「1年に1度」です。そのうえでwebooのおすすめは、台風シーズンに入る9月と、年度が替わる3月の年2回にしておくこと。半年ごとに区切ると間隔が空きすぎず、期限切れも見つけやすくなります。
見直しの日にやることは3つだけ。①箱の側面に書いた賞味期限を確認する ②期限が近いものを手前に出して、その週の献立に入れる ③使った分を次の買い物で足す。これだけで、備蓄は勝手に新しくなっていきます。
季節の変わり目は、食べものの傷み方も変わります。作り置きや弁当の扱いを見直すタイミングとしても、ちょうどいい時期です。

まとめ:買い足す前に、数えて、分けて置く

台風シーズンの備蓄見直しをおさらいします。
1. 日本への台風の上陸は9月が最多。9月と10月で年間の約43.3%(気象庁の平年値から計算)
2. まず「何日分」を決める。最低3日分、できれば1週間分
3. 水は1人1日3L。家族4人の1週間分は84L=2L×42本=7箱
4. 1か所に入らないので、キッチン・押し入れ・玄関・寝室に分けて置く
5. ボンベは1人1週間で約6本。携帯トイレは1人1日5回で数えて、まずは3日分
6. 停電したら冷蔵庫を開けない。まず冷蔵庫、次にストック食品(間に冷凍庫を挟むと使い切りやすい)
7. 避難するときはブレーカーを切る。感震ブレーカーは台風の停電では作動しない
8. 見直す日を決めて、カレンダーに書いておく
買い物に行く前に、まず家の中を数えてみてください。思っていたより足りているかもしれませんし、足りないものがはっきりすれば、買うものも絞れます。

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