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【「ガクテンソク奥田の 喋る!鎌倉時代」発売直前連載】/最終回「鎌倉時代と同じ大失敗を、オリジナル顔で繰り返すな」【奥田修二インタビュー】

  • 2026.9.18

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ガクテンソクの奥田修二氏が、自身初となる歴史本『ガクテンソク奥田の 喋る!鎌倉時代』を9月24日に上梓する。「日本史の語り手」としても動画がバズりまくっている奥田氏だが、並々ならぬ情熱を傾けて書き上げた今作は392ページという大ボリューム。全4回の本連載の最終回は、ダサい大失敗を避けるために、私たちが歴史から学ぶべきことについて語ってもらった。

鎌倉の御家人たちの関係は「現代の会社組織」そのもの

――鎌倉幕府成立以前から滅亡まで、ずっと事件が起こり続けるじゃないですか。奥田さんにとって、最も印象的な出来事を一つ選んで紹介していただけますか?

奥田修二(以下、奥田):一つとなるとなかなか難しいですね……。頼朝が平家打倒に向けて挙兵した「石橋山の戦い」もいいんですよね。平家との第2戦目で、完全に詰みかける(笑)。「絶対にこれ、もうアカンやん!」っていう絶体絶命のどん底から、どうやって生き延びて鎌倉入りまで持っていったのか。始まる前のドタバタも含めて、物語として最高に面白い。でも、あえての「霜月騒動」ですね。

――元寇の爪痕というか、幕府の終わりを感じさせる、めちゃくちゃ嫌な感じの騒動ですね。

奥田:御家人(ごけにん)と御内人(みうちびと)による権力争いですね。御家人は将軍と主従関係にある武士たちで、御内人は最有力御家人である北条得宗家に仕える家臣たちですね。簡単に言うと「将軍の家来」と「将軍の家来の家来」の対立という、わけのわからない争いなんですが、それだけ北条得宗家の権力がでかかったから、成立しちゃったんです。

――背景には、元寇では新たな土地を獲得できなかったから、戦った御家人や地方武士たちに褒賞を与えられず、不満が渦巻いていた、ということがあるんですよね。

奥田:はい。結局、御内人が安達氏を筆頭とする御家人を滅ぼして、彼らから没収した領地を褒美として配る、ということをやっているんです。「味方をやっつけて、その土地を配って揉め事を収めるって、何をしてんねん!」と突っ込みたくなりますが、そのまともじゃないドタバタ劇が非常に人間臭くて面白い。

――なんだか、組織のポスト争いに置き換えられそうな話ですよね。

奥田:当時の武士たちの争いって、すごく「現代の会社組織」に似ているんですよ。安達氏など有力御家人は、いわば「子会社の社長」。その下にいる家人たちは「社員」です。「うちの社長に本社(幕府)で偉くなってもらわんと、自分たちの給料(土地)が上がらん!」と、みんなで社長を盛り立てて出世競争をしている。その構図で見ると、すごく理解しやすいし、現代のサラリーマンにも通じる面白さがあります。何でこんなに身内同士で揉め事を起こして、裏切り合っているのか。サラリーマンなら、「うわ、これうちの会社でも似たような派閥争いあるわ」と、めちゃくちゃ共感しながら読めるはずです。

歴史を学ばない人は、先人たちの失敗を繰り返す

――当たり前のことかもしれませんが、鎌倉時代の人たちも、現代を生きる我々と同じように悩んで苦しんで、そうして出した答えが合ってたり間違ってたりしながら、なんとかかんとかやっていたんだということを、本書を読んで痛感しました。

奥田:彼らは150年という時代の中で、本当に何度も、全く同じパターンの身内の権力争いや自滅を繰り返しています。驚くほどに先人から学んでいない(笑)

――人間には、ある「愚かさ」が基本性能として備わっているのかもしれないですね。

奥田:僕らは「昔の人たちを教訓に進歩している」って思い上がりがちですけど、現代の社会や政治でも全く同じことが言えると思うんですよ。今でも、政治家とか企業の偉い人たちが「この小細工、絶対に誰にも見抜かれへんやろ」とか「このやり方、我ながら天才的なオリジナルアイデアや」と思って、堂々と悪いことや不祥事、裏工作をやってるじゃないですか。でも、歴史を知っている人間からすれば、「いやそれ、1100年代に北条家がやって大失敗したやつと全く一緒ですよ。今さらオリジナル顔でやってるの、めちゃくちゃ恥ずかしいですよ」って一瞬でわかる。

――鎌倉時代は最初から最後まで、ずっと政治というか権力争いですもんね。

奥田:はるか昔に先人が通って、見事に大コケした轍(わだち)を、全く同じようにドヤ顔で踏んでいるだけなんです。歴史を学ぶことは、先人たちの膨大な失敗のデータベースにアクセスすること。それさえ知っておけば、現代社会を生きる上で、同じようなダサい大失敗を回避し、スマートに生きることができるはずなんですけどね。

ゲラゲラ笑いながら無法者たちの生き様を楽しんでほしい

――『喋る!鎌倉時代』は、一冊の中に鎌倉時代150年間を詰め込んでいるじゃないですか。それによって鎌倉時代全体がよくわかるということと同時に、「鎌倉時代は単なる過去じゃなく、現代の一部なんだな」というような、繋がりみたいなものを感じたんです。

奥田:教科書の歴史は「点と点」、いわば「新聞の切り抜き」を並べただけやから、どうしても退屈に思われがちです。でも、歴史は本来、地続きの「グラデーション」なんです。そこを繋げて見ていくと、現代の僕らと全く変わらない、欲にまみれ、悩み、時にお茶目で愛おしい大失敗をする生身の人間たちが生きていたことがわかります。

――そこに話のプロである、奥田さんの手による歴史上の人物たちの会話が、ふんだんに散りばめられているので、いっそう身近に感じました。

奥田:一応、自分なりに解釈したうえで会話を想像して書いていますけど、僕らとは違う常識を生きている方々の会話ですから、的外れなものもあるでしょう。こればかりは答え合わせはできないですが……。言い訳になりますけど、この本は、「正しい歴史専門書」ではないんです。あらかじめ言っておきます。僕が思う「楽しい歴史」を詰め込んだ本なんです。

――学び以前に、エンタメとして楽しいから歴史が好き、って思える本になっていると思いますよ。

奥田:まさに僕がそうなんで。勉強として歴史を学んだことはないんです。でも「楽しい」を積み重ねることで、専門家の先生が書かれた難しい本も、めちゃくちゃ楽しく読めるようになりました。だからこの本が入り口の本になってくれて、さらに興味を持ってもらえたなら、大学の先生の書かれた正しい本に進んでもらえたらいいなと思うんです。『喋る!鎌倉時代』は僕の漫才を聴くような感覚で読める一冊です。歴史に苦手意識がある人にこそ、肩の力を抜いて、ゲラゲラ笑いながら、当時の愛すべき無法者たちの生き様を楽しんでもらえたら嬉しいですね。

撮影=渡辺秀一、取材・文=栗山春香

【書籍情報】

書名:ガクテンソク奥田の 喋る!鎌倉時代

著者:奥田修二

定価:2,200円 (本体2,000円+税)

発売:2026年9月24日(木)

発売・発行:株式会社KADOKAWA

https://www.kadokawa.co.jp/product/322504001313/

【イベント情報】

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東京会場:芳林堂書店

https://livepocket.jp/e/jmn9t

大阪会場:TSUTAYA EBISUBASHI

https://ameblo.jp/tsutaya-4900/entry-12972217319.html

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