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映像化“不可能”と言われ続けた小説「ぶっちぎりの大傑作だと思う」18年かけて“公開された”新作映画に大絶賛の声

  • 2026.9.17
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満島ひかり(C)SANKEI

打海文三によるミステリー小説の映画化『時には懺悔を』が8月28日に公開された。『告白』や『下妻物語』などで知られる中島哲也監督による、8年ぶりの監督作品だ。公開されるとともに、「今年ぶっちぎりの大傑作だと思う」「すごく刺さった」「エネルギーに圧倒された」など感想が飛び交い、注目を集めている。

※以下本文には作品内容が含まれます。

一つの誘拐事件から紐解かれる親子の生き様

“死んだほうがマシな人間”と呼ばれる探偵の米本洋一(佐藤二朗)が刺殺遺体で発見された。元同僚の探偵・佐竹三雄(西島秀俊)と、修行中の助手・中野聡子(満島ひかり)が調査を開始する。やがて明らかになるのは、9年前の新生児誘拐事件との関係だ。米本が死の間際に追っていたのは、失踪して今は父親の明野哲夫(宮藤官九郎)と二人で暮らす、重い障がいのある少年・新(しんすけ)だった。

聡子は暴力を振るう夫を刺した罪で受刑し、娘からは絶縁されている。仕事をしながら娘との接点を持とうと必死だが、すべてが空回りしていた。一方、佐竹は重い障がいを持つ息子を受け入れられないまま息子に先立たれ、後悔を抱え続けている。二人が明野と新の生活を監視する中で浮かび上がるのは、貧しくても心を通わせ、親子の絆がいかなる血縁よりも深い場所で成立している姿である。

生にしがみつく、食べるという営み

本作を貫く表現として目立つのが、食べるシーンの多用だ。満島演じる聡子が、苦しい労働環境でも脇目もふらず、偵察中やバイトの休憩中に大きな口をあけて頬張る。味わうというより、エネルギー補給という意味合いが見た目に伝わる。愛する娘から拒否され、生活費のために必死に働く彼女の日常には、一見、希望や喜びは見当たらない。だが、その食べる営みは苦悩や葛藤の中にあっても、生命そのものへの執着を映し出しており、「生にしがみつく人間らしさ」をここに見る。

沈黙と鎧に包まれた罪悪感

対照的なのが、西島演じる佐竹だ。彼は食事よりも酒を飲む姿が印象的で、さらにほぼ全てのシーンで黒いレザージャケットを着用している。眉間に皺を寄せ、多くを語らない。自らを断罪するかのような暗い空気に包まれ、同シーンで登場する他の人物の服装が薄着な場合でも、佐竹はジャケットを着込み、ギシギシと音を立てる。もはや彼にとって自身を包む鎧にも見える。

佐竹は、新と明野の日々に触れるうちに、息子の存在を拒絶した自身への罪悪感に苛まれていく。ラストシーンで佐竹は、酒瓶から直接酒を口に含み、精神病棟に入院する妻の部屋の前で息を飲む。この後、彼がどんな行動をとったのか。妻に何かを伝えたのか。本作はそこまで想像させて終える。私たちに「自分ならばどうするか」という問いを残すのだ。

映像化不可能から必然へ

西島や満島をはじめ実力派俳優に加え、重度の障がいをもつ新役にはスペシャルニーズの少年を起用している。中島監督によると、本作は構想から約18年をかけて完成に至ったという。完成披露試写会で、監督は以下のようにコメントしている。「原作に出会った当時は、障がい児の方に出ていただくこのような映画など不可能だと否定されました。それがこの時代になってやるべきだという事で、映画化に向かってちょっとずつ進んでいきました。僕一人ではなく、色々な人たちの想いが映画を完成させたと思います。俳優さんもスタッフも魂を込めて演じ、撮影しております」。長年の構想を形にするまでの道のりは、多くの関係者の信念と協働によってのみ可能だったのだろう。


出典:映画『時には懺悔を』ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント公式サイトより

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