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「ちょっと怖い。移ろうか」電車でスマホの画面を見たまま床を踏み鳴らす男性。隣に座った私も声をかけられなかった

  • 2026.9.19

友人に送れたのは、一行だけだった

降りた駅のホームで、待ち合わせている友人にメッセージを送った。

さっき車内であったことを説明しようとしたのに、うまく言葉がまとまらない。

結局、打てたのは一行だけだった。

「隣の人が画面を見たまま、電車の床を3度強く踏み鳴らした」

私は電車の席に座っていた。

隣には大きな黒いリュックを膝に抱えた若い男性がいる。

男性はイヤホンをつけ、携帯を横向きにして夢中で画面を触っていた。

最初は特に気にならなかった。ところが二つ目の駅を出た直後だった。

「あー、もう!」

突然、男性が声を上げ、踵を床へ打ちつけた。

ドンッという音に、私は思わず肩をすくめた。向かいの席にいた人たちも、一斉にこちらを見る。

近くの女性が、隣の知り合いらしき男性へ言った。

「え…びっくりした」

「うん…」

女性はもう一度こちらを見てから、さらに声を落とした。

「ちょっと怖い。移ろうか」

誰も注意しないまま、駅だけが過ぎていく

男性は、周囲の視線を気にする様子もなく画面を見続けていた。

しばらくして、また顔をしかめる。

「うそだろ…」

ドンッ。

二度目は、さっきより大きな音だった。

斜め前にいた学生の一人が、隣の友人にささやいた。

「あれ、大丈夫かな」

「…やめとこ。見ないほうがいいって」

私も声をかけることはできなかった。

すぐ隣にいるのだから、「やめてもらえますか」と言えばいい。

頭ではそう思う。それでも、こちらを向かれたらどうしようと考えると、口が開かなかった。

そして少しして、

「ああ、またかよ!」

三度目の音が床に響いた。

何人かが男性を見たが、すぐに視線をそらした。

私も文庫本を開いたまま、ほとんど内容が頭に入ってこなかった。

やがて、降りる駅のアナウンスが流れた。

私は本をかばんにしまい、そのまま通路へ出た。隣の男性は一瞬だけこちらを見たが、すぐに画面へ目を戻した。

ホームに降りると、ようやく肩の力が抜けた。

閉まりかけたドアの向こうには、まだ携帯を握ったまま前のめりになっている男性が見えた。

発車ベルが鳴り、電車は次の駅へ走っていった。

注意できなかったことは少し引っかかった。それでも、あの距離で声をかける勇気は出なかった。

ほどなく友人から「大丈夫?」と返事が届いた。

私は短く、「大丈夫。今降りた」と返した。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた20代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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