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用件を書かずに1通だけ送り、返事を止めていた間、恋人の家族に頭を下げて頼み事をしていました

  • 2026.9.15
ハウコレ

折り返した通話を10秒で切ったのは、これ以上話せば当日まで黙っていられないと思ったからです。準備していたのは、休みの1日と、小さな箱でした。

打ちかけた文面を全部消して、代わりに短い1通だけを送りました。返事はすぐに来たのに、俺はそれ以上打てないまま画面を伏せました。何をどこまで話すのか、自分の中で決まっていなかったからです。

先に頼まなければいけない相手がいました

付き合って3年になる彼女とは、毎日メッセージのやりとりを続けていました。その日の俺は、彼女の母親に電話をかけていました。休みの日に妹さんと一緒に来てもらえないか、店の名前まで伝えて頼み込んだところでした。折り返しで了承の連絡が入り、日にちが決まりました。

彼女に送る文面は、休みを空けておいてほしいことから書き始めました。けれど読み返すと、理由の手前で止まっていて不自然です。全部消して、その勢いのまま送ってしまったのが、「話があるから電話していい?」の1通でした。普段は通話をほとんど使わない俺にとって、電話をかけたいと書くだけでも思い切りが必要でした。

返事を書けないまま、スマホを裏返しました

「いいよ、今からでも大丈夫」

返信はすぐに届きました。ところが、そこから先に進めません。今かければ、彼女は必ず用件を聞いてきます。俺は隠し事が下手で、聞かれれば順番を飛ばして話してしまう気がしていました。伝えることを一度整理してからにしようと決めて、画面を伏せました。かけ直すのは翌日でいいと思っていました。

翌日、未読のままの2通が残っているのに気づきました。「まだ起きてる?」と、「何かあった?」です。返信のない画面を彼女が何度開いたのか、そのときの俺は考えていませんでした。

10秒で切ったのは、こらえる自信がなかったからです

言うことを3つに絞ってから、通話ボタンを押しました。

「今度の休み、1日空けておいて」

「話って何?」

「それは当日。じゃあね」

用意していた残りの2つは、口に出せませんでした。これ以上聞いていたら、当日まで持たないと思ったからです。そのあとに届いた「それだけ?」には、「それだけ。ごめん」と返しました。打ちながら、また同じことをしていると気づきました。

そして...

休みの日、車で彼女を迎えに行き、家族が待つ店の個室へ向かいました。かばんから出そうとした箱は、内ポケットの角に引っかかってなかなか出てきませんでした。

「順番が逆になったけど、受け取ってほしい」

箱を開けた彼女は、指先でふちをなぞってから顔を上げました。

「あの日、全然眠れなかったんだからね」

頭を下げながら、俺があのとき選んだのは彼女を待たせるやり方だったのだと、ようやくわかりました。今は、用件を1通目に書き切ってから送るようにしています。返事が遅くなるときは、遅くなるとだけでも先に入れます。

(20代男性・営業職)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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