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3か月間トマトペーストを食べたら「注意力と記憶力」が向上し脳も変化した

  • 2026.9.14
3か月間トマトペーストを食べたら「注意力と記憶力」が向上し脳も変化した
3か月間トマトペーストを食べたら「注意力と記憶力」が向上し脳も変化した / Credit:Canva

スペインのバルセロナ大学などの研究チームは、健康な中年の成人がトマトペーストを3カ月間毎日食べると、注意力と一部の記憶課題の成績が改善したと報告しました。

さらに、少人数で行った脳スキャンでは、脳の領域同士が連動するパターンにも変化の兆しが見つかりました。

さらに、一部の参加者の脳画像では、脳の各部分の活動が連動する様子にも変化の兆しがみられました。

注目されたのは、つながりが一様に強まるのではなく、一部では弱まっていたことです。

研究チームは、情報のやり取りが整理された可能性を考えています。

研究は2026年5月19日付の科学誌『Antioxidants』に掲載されました。

目次

  • 同じ人で「食べる3カ月」と「控える3カ月」を比較
  • なぜトマトで注意力や記憶力が上がるのか?

同じ人で「食べる3カ月」と「控える3カ月」を比較

同じ人で「食べる3カ月」と「控える3カ月」を比較
同じ人で「食べる3カ月」と「控える3カ月」を比較 / Credit:Canva

今回の実験で確かめたかったのは、トマトを食べる習慣そのものが、注意力や記憶に影響するかということです。

研究チームは健康な40~55歳の成人を募集し、試験を完了した42人のデータを主に解析しました。

参加者は、トマトペーストを毎日食べる期間と、トマトやスイカなどリコピンを多く含む食品を控える期間を、それぞれ3カ月ずつ順番を無作為にして過ごしました。

違う人同士を比べるのではなく、「食べた自分」と「控えた自分」を比べる仕組みです。

またペーストの量は体重に合わせて決め、平均で1日約35gでした。

結果、注意力テストでは平均170〜190点前後だった「集中成績(必要な情報だけを正確に拾う力)」と「処理速度(時間内にどれだけ多くの情報を処理できるか)」において、それぞれ平均7.2点、8.3点大きくなっていました。

また顔と名前の組み合わせを覚える記憶テストでも12点満点で、トマトペーストを摂っていた時期は平均0.8点上回りました。

研究チームが注目しているのは、今回の変化が、高齢者ではなく健康な中年の成人でみられた点です。

これは、認知機能が衰えてから対処するだけでなく、健康なうちから食事で脳を支えるという考え方につながります。

なぜトマトで注意力や記憶力が上がるのか?

なぜトマトで注意力や記憶力が上がるのか?
なぜトマトで注意力や記憶力が上がるのか? / Credit:Canva

研究チームが仕組みの候補として注目するのが、リコピンの抗酸化作用です。

リコピンは、血液から脳へ入る物質を選別する関門を通過できる成分です。

先行研究では、リコピンが脳の酸化ストレスや炎症を抑える可能性が示されています。

いわば、神経細胞が働きやすい環境づくりに関わるのではないか、という考え方です。

今回も、トマトを食べた期間には血液中のリコピンが増えました。

両方の食事期間のデータを合わせると、リコピンの増加が大きいほど、集中力や処理の速さの改善も大きい傾向がありました。

食べた成分が脳の環境に関わるとして、情報処理の仕方にはどんな変化が起きるのでしょうか。

その手がかりを探すため、研究チームは14人の協力を得て、脳の働きを画像化する「fMRI」という検査を行いました。

この解析で注目したのは脳の形ではなく、離れた領域の活動がどの程度一緒に変動するかという「連動」です。

するとトマトを食べた後には、注意を調整するネットワークや音の処理に関わるネットワークで、一部の領域との連動が弱まる兆しがみられました。

一見すると、つながりが弱まるとかえって働きが悪くなりそうにも思えます。

しかし研究チームは、必要のないやり取りを減らすことで、目の前の課題に集中しやすくなった可能性を挙げています。

会議でも、全員が一斉に話すより、必要な発言が通るほうが話を追いやすい、というイメージです。

もっとも脳画像の解析は少人数でのみ行われた結果であり、脳の効率化が起きたと断言できるまでには至っていません。

また、トマトにはリコピン以外の成分も含まれるため、今回の変化を赤い色素だけの手柄にはできません。

それでも身近なトマトペーストを食べることで注意力や一部の記憶課題の成績に改善がみられたことは重要な結果です。

これまでの臨床試験では、トマトをほかの食品や成分と組み合わせて調べることが多く、トマトそのものがどこまで役立つのかは見えにくいままでした。

研究チームは今後、より多くの人を長期間調べ、今回の改善が持続するのか、さらに年齢とともに進む認知機能の低下を防ぐことにつながるのかを調べるべき課題として挙げています。

元論文

Tomato Intake Improves Cognitive Performance and Modulates Functional Brain Networks in Healthy Adults: A Randomized Crossover Clinical Trial
https://doi.org/10.3390/antiox15050644

ライター

川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。

編集者

ナゾロジー 編集部

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