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「あなたのため」という”母の呪い”…15歳で整形、服も進路も友達も母が選ぶ。母の支配から抜け出すまでを描く

  • 2026.9.14
少しでも母の意に沿わないことをすると飛び出すこの言葉。 画像提供:(C)グラハム子
少しでも母の意に沿わないことをすると飛び出すこの言葉。 画像提供:(C)グラハム子

「一重はかわいそう」そう言われ、15歳のときに母親の意向で二重整形をすることになったエリカ。服や髪型、習い事、友達、進学先まで、彼女の人生に関わるあらゆることを母親が決めていた。「これで人生楽しくなるわよ!」と言われるまま、自分の意思を持つことさえ難しくなっていった少女の実体験を描いた、グラハム子(@gura_hamuco)さんの漫画「親に整形させられた私が母になる エリカの場合」を紹介する。

「あなたのため」という支配

「親に整形させられた私が母になる エリカの場合」1 画像提供:(C)グラハム子
「親に整形させられた私が母になる エリカの場合」1 画像提供:(C)グラハム子
「親に整形させられた私が母になる エリカの場合」2 画像提供:(C)グラハム子
「親に整形させられた私が母になる エリカの場合」2 画像提供:(C)グラハム子
「親に整形させられた私が母になる エリカの場合」3 画像提供:(C)グラハム子
「親に整形させられた私が母になる エリカの場合」3 画像提供:(C)グラハム子

幼いエリカには、祖母からもらったお気に入りのクマの服があった。しかし母親は「子どもにはおしゃれな服を着せたい」と考えており、エリカが「これがいい!」と譲らなかったことで、目の前で服をビリビリに破いてしまう。「エリカが言うことを聞かないから、クマさんがこうなったのよ」。母親はそう言って娘を責め、自分の考えに従わせた。

着る服、習い事、髪型、友達まで、エリカの行動は母親によって決められていった。自分の意見を伝えても否定されるため、いつしか「母親が決めたことをやればいい」と思うようになったという。「あなたのためよ」という言葉とともに、プライベートや人間関係にも干渉は及んでいった。

そして中学校を卒業した春休み、エリカは母親に連れられ、二重整形の手術を受ける。「これで人生楽しくなるわよ!」。母親がそう言うから、自分もそうなのだと思った。こうして母親主導で生きてきたエリカは、次第に自分の意見や判断に自信を持てなくなり、周囲の顔色や反応をうかがうようになっていく。

感情を感じないようにしていた

「親に整形させられた私が母になる エリカの場合」は、グラハム子さん自身の体験をもとにした作品だ。母親の価値観を当たり前のものとして育ったため、大人になってからも恋人の見た目を変えようとしたり、友達の進路に干渉したりと、自分も母親と同じように価値観を押し付けてしまったことがあったという。

母親に違和感を抱き始めたのは、高校生のころだった。「『おかしいかも…?』くらいだったら、高校生くらいから薄々気付いていました」とグラハム子さん。しかし、それが確信に変わったのは25歳ごろだったという。「ある日、急に気づいた!というわけではなく、じわじわと違和感が溜まって気づいていきました」と振り返る。

当時の気持ちについて尋ねると、「それが、当時は感情がなかったんです。感情が麻痺していたというか」と語る。「感情を感じてしまうと辛くなるのがわかっていたから、自分で押し殺していたんだと思います」。生まれたときから管理されることが当たり前だったため、反抗しても「管理してくれるのが良い親なのだ」と、自分に思い込ませていたという。

「好きな色」さえ選べない

母親の価値観の中で生きてきた影響は、自分で何かを選ぶ場面にも表れていた。「もう、ほとんどのことが決められませんでした」とグラハム子さん。好きな色を尋ねられるだけでも、「この色が好きだと言ったら、他人にどういうイメージを持たれるかな?良いイメージを持たれるためには、何色と答えるのが正解かな?」と考えてしまったという。

自分が何を好きなのかではなく、相手がどう受け取るかを基準に選ぶ。他人の反応によって、ほとんどすべてを決めていた状態だった。

そんな状況から抜け出すきっかけになったのが、大学進学だった。上京して母親と離れて暮らし始めたことで、母親以外の人と過ごす時間が増え、これまで知らなかった価値観に触れる機会が生まれた。「母といる時間が少なくなった分、他の人(友達など)と一緒にいる時間が増えて、母以外の価値観にたくさん触れることができたのが、気づくきっかけになりました」と明かす。

大人同士になった母と娘

現在、グラハム子さんは母親と年に1回、お正月に日帰りで会う距離感を保っている。「私としては、今がベストな母との距離感です」と語り、会話も挨拶や必要最低限にとどめているという。

その関係を「職場にいる自分とは合わない人」と表現するグラハム子さん。けんかをしたり、無視をしたりしているわけではない。「職場やクラスに自分に合う人も合わない人もいるように、家族であっても合う合わないはあります」と話す。親子ではあっても、今は大人同士。「私と母はもう大人同士だし、これで良いんだと思っています」と、自分なりの距離を見つけている。

同じような環境で育った読者からも共感の声が届いているという。「ありがとうございます。この話を読んで少しでも心が揺れてくれたのなら、それはとても嬉しいです」とグラハム子さん。

「あなたのため」という言葉に守られているように見えて、いつの間にか自分の気持ちを見失ってしまうこともある。本作は、親との関係に息苦しさを感じながらも、その理由がわからない人にとっても、自分自身の気持ちを見つめ直すきっかけになるかもしれない。

取材協力:グラハム子(@gura_hamuco)

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