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始まりは、20年前に生まれたこの小さなワインショップから。広島〈hanawine〉

  • 2026.9.16

世界遺産を擁し、国内外から多くの人が訪れる広島。旅人と、強い郷土愛で結ばれた地元民とが交ざり合い、街も酒場も活気に満ちている。年季の入った大衆酒場や無数のお好み焼きの合間で、ゆるやかに増えてきたのがナチュラルワインの酒場。今回は、八丁堀の〈hanawine〉を訪ねた。

photo: Yoshiko Watanabe / text: Emi Fukushima

広島〈hanawine〉外観
BRUTUS

広島駅前から県庁や広島城方面へ。街の中心部を東西に貫く目抜き通りを一本入ると現れるのは、軒先にワインボトルが吊された気軽な店構え。

大きく開かれたガラス扉からは、カウンター席と、奥にずらりと並ぶ、個性豊かなエチケットのボトルがよく見える。地元客のみならず、外国人客もふらっと立ち寄る様子は、名勝の縮景園や県立美術館にも程近いこの店の日常風景だ。

〈ハナワイン〉は、広島でここ10年ほどの間にナチュラルワインの酒場が増える、きっかけとなった一軒。欧州産を中心に約500種を揃えるこの店の本分は、卸や店頭販売を行うワインショップだ。

しかし「やっぱりワインは、実際に味わってもらってこそ」との店主・久保田雅秀さんの思いから、店内にはバースペースが設けられ、購入したボトルをその場で飲めるほか、常時15種類ほどのグラスワインをフードとともに楽しむことができる。“角打ち”と呼ぶにはあまりの充実ぶりだ。

オープンは2005年。醸造家・大岡弘武さんのル・カノンや、新井順子さん率いるドメーヌ・デ・ボワ・ルカのソーヴィニヨン・ブランをきっかけに「新しい扉が開いた」と久保田さん。酒販免許の自由化に背中を押され、大手酒販店から独立開業した。とはいえ、ちまたにナチュラルワインが浸透するのは10年以上先。

〈hanawine〉に置かれているワインの一部
店主注目の6本。左から4本目は大岡弘武さんが岡山で造る「小公子2024」。
広島〈hanawine〉店主・久保田
久保田さんは、開業20周年を機に、ワインにまつわるZINEの制作もスタートさせた。

「最初は誰も良いとは言ってくれなくて。“濁ってて酸っぱくて、こんなの飲めない”と突き返されることもしょっちゅうでした」。しかし逆境の中でも、複雑でしっかりした余韻があること、ブドウ本来の力を感じること、というセレクトの軸を貫き、裾野を広げてきた。

フードは常時20〜30種類ほど。「あくまで主役はワイン。日ごとに替えるグラスワインを想定しながら、豊富なバリエーションを意識しています」。

その言葉の通り、生ハムやチーズなどの軽めのつまみから、旬野菜を使ったバーニャカウダや苺(いちご)の白和え、海老(えび)の蒸し春巻きなどの気の利いた一品、牛ホホ肉の赤ワイン煮などのメイン料理まで。痒(かゆ)いところに手が届くような幅広さに、思わずもう一杯、と手が伸びてしまう。

広島〈hanawine〉バーニャカウダ
東広島の農家から仕入れた新鮮な旬野菜を使ったバーニャカウダが人気。1,300円。

オープンから20年以上を経た今、ここでの研鑽を経て独立するスタッフも増えてきた。〈ハナワイン〉出身者が開いた飲食店やバーは、今や市内に何軒も。さらには、それらの店が新たな客や店を呼び、ムーブメントはさらに枝葉を伸ばしている。

「今のような状況を意図していたわけではないけれど、結果的に“広島には良いナチュラルワインが飲める店がある”という認知が広がってきたのは嬉しいことです。一方で“ナチュラルワイン”というワードばかりが一人歩きして、人を呼ぶ状況は本意ではないんです。“おいしいから飲みに行く”と思ってもらえるのがやっぱり筋。各店がそれぞれの“おいしさ”を追求しながら、自然と地域が盛り上がればいいですね」。

久保田さんがまいた種は今、広島の酒場カルチャーの中で、新たな花を確かに咲かせている。

広島〈hanawine〉外観
カウンター8席と2、3掛けのソファ席が1つのこぢんまりとしたバーエリア。爽やかな風を感じながらの昼飲みも気持ちが良い。

Information

hanawine

住所:広島県広島市中区上八丁堀4-28
TEL:082-222-6687
営:ショップ、バー共に14時〜22時
休:日曜・月曜

グラス1,000円〜、ボトル3,000円台〜、抜栓料1,500円。店名は「花を飾るように日常の食卓にワインを」との思いから。

※20歳未満の者の飲酒は法律で禁止されています。

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