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100年先へ紡ぐデニム——「TANAKA」が東京・NY・パリをつなぎ、世界へ挑む理由

  • 2026.9.11

東京とニューヨークを拠点に、日本の伝統的なデニム技術をコレクションに取り入れ、現代的に落とし込んだタイムレスな服作りを続けるブランド「TANAKA」。先日発表された「Fashion Prize of Tokyo 2027」の受賞を機に、2027年1月と6月に、一般社団法人日本ファッション・ウィーク推進機構のサポートのもとパリ・メンズ ファッション・ウィークでショーを開催する。

「TANAKA」デザイナー、タナカ サヨリ氏(右)と「TANAKA」クリエイティブディレクターのクボシタ アキラ氏(左) ©Japan Fashion Week Organization

発表の翌日2026年9月6日、ソーホーハウス東京にて、ブランドを手掛けるデザイナー・タナカサヨリ氏と、審査員を務めたクリエイティブディレクター、長尾悦美氏によるトークイベントが開催された。世界中にネットワークを持つクリエイティブな人々が集うメンバーシップクラブの会員たちを目の前にして、 ブランド創業の背景から、NYと日本のスタイルの違い、デニムへのこだわり、そして世界へと挑むこれからの展望について語った。

Hearst Owned

NYで芽生えた“日本人としてのアイデンティティ”

タナカサヨリ氏 (左)と長尾悦美氏(右) Hearst Owned

「TANAKA」の「Fashion Prize of Tokyo」受賞に、異論を唱える者はまずいないはずだ。これまで培ってきたキャリアや確かな実績、そしてデニムにこだわった独自性の高いクリエーションは以前からメディアで高く評価されており、着実にファンを魅了し続けている。審査員を務めた長尾悦美さんも、「海外でのセールス体制やチームとしての覚悟が最後の一押しになった」と語り、世界で挑戦する準備が明確にできていたことを最大の理由として挙げていた。

今回受賞しなかったとしても、世界に向けてチャレンジしようと考えていたと、デザイナーのタナカサヨリさんは語る。

「念願の賞だったので正直にうれしかったです。もし今回受賞できなかったとしても、このタイミングで海外には挑戦したいと考えていました。この機会をきっかけに、世界中のより多くの方にブランドを知っていただき、好きになっていただくこと、そして期待を超えるコレクションを提示し続けていくことが使命だと思って準備を進めています」

2017年にNYでブランドを創業し、現在はNYと東京を拠点にしつつ、岡山や広島でデニムを生産するという、多拠点でクリエーションを行っている「TANAKA」。

「前職のデザイナー時代にNY駐在を経験したのがきっかけで、この街のエネルギーや多様なカルチャー、自由さに魅了され、『この場所からブランドをスタートしたい』と思ったんです。同時に、異国にいるからこそ、日本人としてのアイデンティティや、自分が長年携わってきた日本のモノづくりの素晴らしさを再認識しました。NYからは常に新しいインスピレーションを得て、岡山や広島の職人さんたちが妥協のない手仕事でそれを形にしてくれる。そこに東京の鋭い感性と市場が合わさる。この3つの拠点があるからこそ、今の『TANAKA』らしいバランスが保たれているのだと思います 」

国内外のファッション関係者をはじめ、世界中にネットワークを持つクリエイティブな人々が集うメンバーシップクラブの会員が参加。 Hearst Owned
クラブ バーでは、シグネチャーカクテルをはじめ、スタイリッシュなドリンクを提供。 Hearst Owned

「TANAKA」を語るうえで欠かせないのが、デニム。「TANAKA」のデニムの魅力について、長尾さんはこう語る。

「 デニムはどうしてもワークウェアやカジュアルな印象が強いアイテムですが、『TANAKA』のデニムはドレスやエレガントな領域へ見事に昇華されています。引き算の美学やディテールの美しさがあり、モノを知り尽くした人が作っていることが一目で伝わる。この“洗練”こそが、グローバルな舞台で戦うために不可欠な要素です」

「TANAKA」のデニムは、生地にストレッチが入っていないのに自然な伸縮性があるのではき心地が良く、しゃがんでも腰まわりが浮かない抜群のフィット感に定評がある。タナカサヨリさんは、ニューヨークで出会ったパタンナーとともに、美脚に見えるシルエットを研究し、ヒップラインやはき心地に徹底的にこだわっているという。

デザインはもちろんですが、着用した時のフィット感やスタイルが良く見えるか、脚がきれいに見えるかという点においては絶対に妥協しません。実は、熟練のパターンメーカーと共に作り上げた“尻ぐりの黄金比率”があるんです。2017年の創業時から変わらない『TANAKA』秘伝のレシピですね。あと、デニムはすべてユニセックスで展開しています。いいものに男性用とか女性用って区別はないなと思って。なので1つのデザインをサイズで選んでもらう。性別や体形を問わず、きれいに着こなせるユニセックスのパターン設計こそ、普遍的であり100年先も残るものだと思っています」

イベントでは、短編映画『I see something new』も上映された。 Hearst Owned

これからの100年へ——パリの舞台で残す「爪痕」

8月には東京にアトリエ兼ストアとなる「TANAKA ATELIER STORE」を新たにオープンし、ブランド設立して10年の節目として「TANAKA と DENIM」展を開催。展示ではニューヨークで撮影された短編映画も公開された。ニューヨークのフィルムディレクター、Quincy Ledbetter/ ML-NEBULAが表現したのは“時間とつながり”。

「時代を超える普遍性と、人と人のつながりをテーマに、『I see something new』という3部構成の短編映画を作ってくれたんです。『人は自分らしく自由に表現できる時、より自然に他者とつながることができます。ありのままの自分を見せることで、互いの本質を見つめ合うことができるからです』というメッセージをもらい、ブランドの本質をすごく理解してくれていると感激しました」とタナカさん。

また、2027年のパリでの発表に向けて、「TANAKA TO PARIS」と題したコンテンツも始動。 普段は見えない「服が生まれるまでの物語」をリアルタイムに発信し、パリへとたどり着くまでの時間も共に旅をしながら見守ってほしいというメッセージが込められている。

「マメ クロゴウチ」「オーラリー」「ターク」「CFCL」をはじめとする「Fashion Prize of Tokyo」の過去受賞者をはじめ、世界での快進撃が止まらない日本人デザイナー。「TANAKA」が日本を代表するデザイナーズ・デニムブランドとして、世界に大きな爪痕を残す瞬間を楽しみにしたい。

トークセッションの後のカクテルでは、NYを拠点に活動するShing02(シンゴツー)さんのパフォーマンスも。 Hearst Owned
タナカサヨリさん(中央)とダンサーの皆さん。「TANAKA」のデニムをまとってエネルギッシュなダンスを披露した。 Hearst Owned
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