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「俺が夫です」と名乗った階段で、俺の両手は空いたままでした

  • 2026.9.11
ハウコレ

妻にベビーカーと手さげを任せたまま、俺は先に階段を上がりました。なかなか来ないと思って戻ると、知らない人がうちのベビーカーを持っていました。それでも俺は、横に立っただけでした。

上で待っていればいいと思っていました

出かけた帰り、妻は眠った子どもを乗せたベビーカーを押し、肩には手さげを掛けていました。俺は何も持っていません。

エレベーターの前に列ができていたので、俺は階段を使うことにしました。

「上で待ってる」

そう言って先に上がり、通路で改札の表示を見ていました。妻がベビーカーをどうやって運ぶのかまでは考えていませんでした。

戻った理由も、手伝うためではありませんでした

妻がなかなか上がってこないので、階段を降りました。心配して迎えに行ったというより、遅いと思ったからです。

途中まで降りると、知らない人がベビーカーの前側を持ち、妻が後ろを支えていました。俺はその横で足を止めました。

手を伸ばせば届く距離です。それでも、すでに2人で持っているから大丈夫だろうと考え、俺は何も持ちませんでした。

「ご家族じゃないのかと思いました」

ベビーカーを支えていた人が、妻に「お知り合いの方ですか」と聞きました。

俺は横から「俺が夫です」と答えました。そのときは、夫だと分かれば話は終わると思っていました。

返ってきたのは、「あまり手を貸す様子がなかったので、ご家族じゃないのかと思いました」という言葉でした。「周りの人にも、あなたが夫だとは思われていませんよ」という一言付きです。

知らない人がベビーカーを持ち、妻が手さげを掛けて後ろを支え、夫の俺だけが両手を空けて立っていました。名乗ったところで、その並び方は変わりませんでした。

そして...

電車に乗るために列に並んでいる時、俺は妻の手さげを受け取りました。何を言えばいいのか考えるより、ようやく自分の手が空いていることが気になりました。

次に出かけたときは、階段の前でベビーカーへ先に手を掛けました。

「ベビーカー、俺が持つ」

一度荷物を持っただけで、あの日のことがなくなるわけではありません。ただ、階段の前で妻が何を持っているかを見るようにはなりました。あのとき知らない人が持っていた場所へ、今度は自分の手を伸ばしています。

(30代男性・会社員)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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