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「客が満足するまで食わせるのが宿じゃないのか?」朝食ビュッフェでいくらを大量に取った男性。だが、責任者が正論をぶつけた結果

  • 2026.9.12
「客が満足するまで食わせるのが宿じゃないのか?」朝食ビュッフェでいくらを大量に取った男性。だが、責任者が正論をぶつけた結果

楽しみにしていた、朝食のいくら

温泉宿の朝食会場は、開いて三十分ほどでかなり混み合っていました。

私は孫の茶碗を持って料理を取りに行きました。孫が前の晩から楽しみにしていたのが、朝食ビュッフェに出るといういくらです。

その台には十人ほどが並んでいました。少しずつ取っては次の人へ場所を譲り、列はゆっくり進んでいました。

ところが突然、横から年配の男性が前へ入ってきたのです。

近くにいた若い父親が、戸惑ったように声をかけました。

「あの、すみません。みんな並んでますよ」

男性は振り返り、少し面倒そうな顔をしました。

「ちょっと取るだけだから、いいだろ」

そう言うと、大皿を自分のほうへ引き寄せ、いくらを何度も茶碗にすくい始めました。

「そんなに取ったら、後ろの人の分がなくなっちゃいますよ」

父親がもう一度言うと、男性は眉をひそめます。

「こっちは金払って泊まってるんだよ。好きなだけ食べたっていいだろ」

周囲の人たちも困ったように顔を見合わせていました。

そこへ若いスタッフが駆け寄ってきました。

「お客様、申し訳ありません。皆様に召し上がっていただきたいので、少しずつお取りいただけますか」

すると男性は、さらに声を大きくしました。

「なんだよ、それ。高い宿泊費払ってるんだぞ。客が満足するまで食わせるのが宿じゃないのか?」

スタッフは一瞬言葉に詰まりました。

責任者が男性に伝えたこと

騒ぎに気づいたのか、奥から責任者らしき人が出てきました。

スタッフから短く事情を聞くと、男性の前に立ちます。

「お客様、楽しみにしてくださっているところ申し訳ありません」

男性はまだ納得していない様子でした。

「だったら、もっとたくさん出せばいいだろ」

責任者は落ち着いた声で答えました。

「できるだけ多くのお客様に召し上がっていただけるよう準備しております。ただ、数には限りがございますので、一度にたくさん取るのはご遠慮いただいているんです」

「そんな話、聞いてないよ」

「入口にもご案内を出しておりますが、分かりにくかったのでしたら申し訳ありません。ただ、後ろで皆様がお待ちですので、ご協力いただけますでしょうか」

男性はそこで初めて後ろを振り返りました。

十人近い人が、自分の順番を待ったまま立っています。

「……分かったよ」

男性は小さくそう言うと、茶碗を持って自分の席へ戻っていきました。

スタッフは男性が触れていた大皿をいったん下げ、ほどなくして新しいものを運んできました。

「お待たせして申し訳ありません。どうぞ」

「いえ、大丈夫ですよ」

前にいた父親がそう答え、列がまた静かに動き始めます。

私も孫の茶碗にいくらを少しのせて席へ戻りました。孫は何も知らず、嬉しそうにご飯を食べています。

せっかく楽しみに来た旅行先だからこそ、自分だけではなく、周りの人も気持ちよく過ごせるようにしたい。そんなことを改めて感じた朝でした。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた60代以上男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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