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「息子から、39年も生きてて、好きも分かんないの? って(笑)」【紗羅マリー インタビュー】

  • 2026.9.8

「私が思うその人の魅力を、クリエイター同士の自由な化学反応で、ファッション誌だからできる表現で見せたい」と語るスタイリスト長澤実香さんの連載。
 
秋冬シーズン到来に先駆け、スタイルの要となるIT BAGを携える紗羅マリーさん。モデルという枠に収まらない活躍、そのスタイルある生き方が魅力的な紗羅マリーさんへのインタビューをお届けします。
 
写真 熊谷勇樹

“紗羅マリーってどんな人?”

——13歳からモデルのお仕事を始めて、現在39歳。今年の12月には40歳の節目を迎えますね。改めて振り返ってみて人生のターニングポイントだったなと思う出来事は?
 
最初は母が美容室で読んでいた雑誌で、モデルエージェンシー・エリートが主催するコンテストelite MODEL LOOKの募集を見つけて応募したこと。それでモデルになるまでは、ただの人見知りの女の子だった。次は結婚をしたことだと思う。そこで生き方が変わったから。
 
——どう変わったの?
 
私は結構“石橋を叩いて渡る”っていうか、こうなんでもかんでも最初は様子を見て、情報を集めてから動くタイプなんだけど、彼は真逆の人。なんかもう花火みたいで、火がついたら飛ぶまでが速いし、パーンってなったと思ったら、すごい広がるじゃんみたいな。生き方があまりにも違い過ぎて、すごく刺激になった。心配し過ぎても意味がない、考え過ぎるより、まずはやってみようって考え方になったし、結婚後すぐに妊娠したことで、仕事のペースも変わった。大きな転換期だったと思う。

バッグ〈バンブー ヴェンデッタ〉[H20×W29×D10㎝]¥715,000、コート¥484,000、ニット¥291,500、パンツ¥368,500、(全てグッチ/グッチ クライアント サービス)courtesy of GUCCI

バッグ〈バンブー ヴェンデッタ〉[H20×W29×D10㎝]¥715,000、コート¥484,000、ニット¥291,500、パンツ¥368,500、パンプス¥181,500(全てグッチ/グッチ クライアント サービス)courtesy of GUCCI

——モデル、歌手、ラジオパーソナリティ、バンド活動、ブランドディレクター、ひとつに留まらないキャリアは意識して選んできた?
 
私は“慣れ”がすごく苦手で。若いころからモデルをやっているから、たくさんの大御所の方たちに撮ってもらったり、メイクしてもらったり、スタイリングしてもらったりもしてきちゃったし。なんか誰と会っても緊張もしない。現場に入ったら、目をつぶっててもポージングできるけど、それもなぁなぁっていうか、緊張感がないっていうか、ヒリヒリしない。これ以上、成長する余地がないように思うことがすごく嫌だったんです。
 
——なんか、分かります。自分の成長の限界に対するジレンマ。
 
で、モデル以外で自分のできることを探したらディレクションやデザインのお仕事ができて。それをやりながら、たまにモデルの仕事をすると、あまりにも新鮮で、自分の不格好さが感じられて。その自分に対してのひりつきがすごく好きというか。あ、まだ全然いける場所があるじゃん!  っていうのが分かるから、今がすごく楽しい。惰性で生きていっちゃうと楽だし、それでお金をもらっていくともっともっと変な風に楽していくと思うんだよね。それは嫌だ。

バッグ〈ウィスカー スモール〉[H19×W26×D9㎝]¥487,300、トップス¥200,200、パンツ¥1,028,500※全て予定価格、リング¥126,500(全てロエベ/ロエベ ジャパン クライアントサービス)courtesy of LOEWE

——潔い!  でも、落ち込むこともある?
 
辛いことが起こるのは当たり前じゃん!  人生、生きていたらもう息をするかのように、ささいなものからドカンと大きなものまで、辛いことにぶつかるんですよ。“悲しい”も“苦しい”も大事な感情だけど、そこを誇張させる必要はなくて。悲観するよりは、それをどうやって楽しもうかって考えるほうが人生100倍面白い。しょうがない、今はこのタイミングなんだね、オッケー、オッケー、よし、何して遊ぼうみたいな(笑)。
 
——最高!  人生を楽しむ才能があると思う。逆に幸せを感じるのはどんなとき?
 
息子とゲームをしたり、明日は休みだから好きな時間まで寝れるね〜、最高だね〜って、夜更かししたり、朝ベッドでほげってしてるとき。

バッグ〈アルカディ〉[H10.5×W22×D7.5㎝]¥649,000、ジャケット¥1,001,000、ドレス¥830,500、シングルイヤリング¥125,400※全て予定価格(全てミュウミュウ/ミュウミュウ クライアントサービス)courtesy of Miu Miu

——子どもから教えられることはある?
 
たくさんあるよ!  最近は“好きとは何か”っていうのを教えていただきました。
 
——なんですか、それ!  可愛い♡
 
私は離婚後、全然彼氏がいなくて、日々楽しいから、それに対して不満も渇望もないんだけど、最近ちょこちょこ「彼氏作んなよ」って言われるわけ。「でもさ、ママちょっと好きとかがよく分かんないんだよ」って言ったら「39年も生きてて、好きも分かんないの?」って(笑)。「ごめんなさい。教えてください、師匠」ってお願いしたら「好きっていうのは、次の日も会いたいってことだよ」って。毎日、今日も明日も会いたいっていう気持ちが好きってことだよって教えてもらっちゃって。ちゃんとそれを胸に頑張ります。
 
——うわー、きゅんとしますね。最後に、自分ってどんな人だと思う?
 
人間嫌いの人間好き。基本、人間より動物とか植物のほうが好きなの。ピュアだなって感じるから。だけど、そういうことを考えている時点で、結局私は人間っていうものを欲しているんだよね。関わりだったり、出会いだったりを。それに、大人になってから出会っている人たちにあまりにも素敵な人が多くて、なんか人間も捨てたもんじゃないや、みたいな(笑)。なので、最近はすごく人間が好きです。

バッグ〈ランデヴー〉[H19×W26×D8㎝]¥522,500、ジャケット¥1,001,000、ドレス¥830,500※全て予定価格(全てミュウミュウ/ミュウミュウ クライアントサービス)courtesy of Miu Miu

Profile_紗羅マリー(さらまりー)1986年愛知県生まれ、39歳。13歳でモデルデビュー。数多くのファッション誌で活躍後、俳優・音楽活動もスタート。ファッションブランドIROJIKAKE、アイウェアブランドSAUVAGE EYEWEARのクリエイティブディレクターも務める。日本のApple Podcast Ranking 2026年上半期ベスト10、Spotifyの今注目するポッドキャスターにも選ばれたことのある「紗羅マリーのひみつの小部屋」はぜひチェックして。

Profile_長澤実香(ながさわ・みか) 札幌生まれ。地元の広告代理店でのOL経験を経て、ファッションに携わることを目指し上京。モードをリアルなスタイリングに落とし込む達人として、コンサバ誌からモード誌まで幅広く活躍する人気スタイリストに。説得力のあるスタイリングポリシーと、切れ味のよい軽快な語り口が魅力で、トークショー、ブランドとのコラボレーション、ディレクションなどオファーは多岐にわたる。

direction & styling_MIKA NAGASAWA
hair_JUN GOTO[Republish-ota office]
make-up_YUMI ENDO[eight peace]
model_SARA MARY text_NAO MANITA
 
otona MUSE 2026年10月号より

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