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【ルームツアー】ナポリ湾を望む絶景邸宅!歴史ある海辺の住まいをリノベーション

  • 2026.9.7
Andrea Ferrari

イタリア南部ナポリ湾を望む地、ポジリポの邸宅を建築家のジュリアーノ・アンドレア・デル・ウーヴァが再構築。失われていた眺望を取り戻し、海と豊かな暮らしが穏やかに響き合う住まいを実現した。『エル・デコ』2026年8月号より。

Andrea Ferrari

リビングの小空間にアートと個性的な家具が集う

イタリア南部カンパニア州に位置する丘陵地ポジリポ。ナポリ湾を見下ろすこの地は、古代ローマ時代から休息のための場所として愛され、18世紀にはナポリの貴族たちが競うように海辺に別荘を築いた。その由緒ある美しい海岸線に佇む一軒の住まいを、建築家のジュリアーノ・アンドレア・デル・ウーヴァが現在の暮らしに合わせて再生した。

住まいへは、道路から外れ、入り組んだ階段や通路を下りながらアプローチする。海へ向かって傾斜する地形と黄色い凝灰岩の岩盤がつくり出す独特の景観は、この地域ならではのものだ。デル・ウーヴァは語る。 「私はこの地区で育ちました。ここには、より穏やかで海との結び付きが深い“もう一つのナポリ”があります。この地での仕事はいつも私に特別な喜びを与えてくれるのです」

<写真>心地よく包まれるアルコーブで視線を引き寄せるのは、正面に飾られたジュリオ・パオリーニの作品『デット(ノン)ファット』。半円形にレイアウトしたソファは、フランチェスコ・ビンファレがデザインした「エドラ」の“エッセンシャル”。センターテーブルはルイジ・カッチャ・ドミニオーニによる“ファッシャ・スペッキアータ”。

Andrea Ferrari

夏の家と地中海を緩やかにつなぐテラス

この住まいが立つ場所には、かつて「ロ・スコーリョ・ディ・フリージオ」というレストランがあった。大きなテラスを備えたその店は、ナポリの文化人やヨーロッパ各地からの旅人たちが集う社交の舞台だったという。ポジリポ派の画家たちもこの風景を描き残しており、1785年にはサヴェリオ・デッラ・ガッタがこの建物をドンナンナ宮殿とヴェスヴィオ火山を背景に描いている。

<写真>パーゴラがつくり出す日陰の下で、スペクタクルな眺望をかなえてくれるテラス。チェアはガエ・アウレンティが60年代にデザインし、現在は「エクステタ」から復刻されている“ローカス・ソルス”。テーブルはオーダーメイド。ソファは座面が低くマッシブなシルエットの、「バクスター」の“アイリーンアウトドア”をセレクト。

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木とアイアンが白いダイニングを彩る

「今回の改修では、建築だけでなく、この場所に宿る“もてなしの精神”も取り戻したいと考えました」とデル・ウーヴァは続ける。施主のエルマンノ・ザニーニはカプリ・パレス・ジュメイラの総支配人を務め、ホスピタリティを生業とする人物だ。夫妻が自然に人を迎え入れる姿勢は、この家の空気にも反映されている。

<写真>ナポリ湾を望むダイニングの主役は、マリオ・チェローリによる70年代のテーブル“ローザ・デイ・ヴェンティ”と、アフラ&トビア・スカルパがマクサルトのために80年代にデザインしたチェア“アフリカ”。壁面のアイアン素材のシェルフには、19世紀に創業したブロンズ工房、キウラッツィ鋳造所で制作された作品が並ぶ。

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70年代の造形美がアーチ状の空間を彩る

住まいは1970年代に一度改修されていたが、細かな間仕切りによって海への眺望が遮られていた。そこで今回の計画では、視線が海へと抜ける空間構成を最優先とした。高い扉が連続し、ヴォールト天井の部屋が次々と現れる構成によって、住まい全体に伸びやかな奥行きが生まれている。

<写真>右奥は70年代のスチール製暖炉。正面の壁の作品はロリス・チェッキーニによる『ウォールウェーブス・ヴァイブレーションズ』シリーズ。ラグはジャーマンズ・エルミクスによる「CCタピス」の製品。ブラジルのヴィンテージチェアには70年代に発表されたガエ・アウレンティのテーブル“ジャンボ”を合わせた。

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ベッドルームからの光と風が家の中を通り抜ける

寝室からも視線は途切れることなく海へと導かれ、小さな入り江と水面を望む。テラスの先にはナポリ湾が広がり、海はまるで室内へ入り込んでくるかのようだ。

<写真>リビングから主寝室を見る。手前の70年代の「ポルトロノーヴァ」のアームチェアとソファ“ストリンガ”は、ガエ・アウレンティの作品。円錐形のペンダントライトとフォルマ&チェメントのナイトテーブルはいずれもオーダーメイド。ベッドは「ザノッタ」の“ニクス”。テーブルランプはルイジ・カッチャ・ドミニオーニのデザイン。

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アートと食が交わる創造的なキッチン空間

アートもまた、この家を語る重要な要素だ。ジュリオ・パオリーニやロリス・チェッキーニ、ジョヴァンニ・アンセルモらの作品が共存し、土地の歴史と現代性を結び付ける。キッチンにはデイヴィッド・トレムレットによる作品が壁から天井へと広がっている。「キッチンは巨大な花崗岩の彫刻として構想しました。強い存在感を持ちながらも、この空間の均衡を壊さないよう配慮しています」とデル・ウーヴァ。

<写真>キッチンは“箱”をつくるように構想された。主役はガレリア・エレナが製作した彫刻的なキッチンユニットだ。花崗岩にブラッシュ仕上げが施されている。天井のドローイングは、デイヴィッド・トレムレットによるもの。カウンターに並んだ50年代のフラテッリ・カルデローニのスープ鉢は、ジオ・ポンティのデザイン。

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歴史を宿す風景に土地の物語が息づく

海、歴史、芸術、そして人を迎え入れる精神。その全てが穏やかに重なり合い、この住まいはポジリポという土地の記憶を現代へと受け継いでいる。

<写真>ナポリ湾岸は古代ギリシャ人によって植民都市ネアポリスが築かれた場所。また、古代ローマ人が保養地として好んだことでも知られている。松林の向こうに見えるヴィラ・パヴォンチェッリは、この地の歴史を物語るランドマークとして著名な建造物。エルマンノ・ザニーニの住まいは、その麓にあったレストランの跡地に建てられている。

Realization:FRANCESCA BENEDETTO

Photo:ANDREA FERRARI

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『エル・デコ』2026年8月号



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