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【2026-27秋冬オートクチュール】シャネルとディオール。クチュール新時代の扉を開く、二人の異才

  • 2026.9.7
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モードの最前線は、今世紀最大の変革期を迎えています。その中心にいるのが、シャネルのマチュー・ブレイジーと、ディオールのジョナサン・アンダーソン。時代を牽引する二人の異才が、ほぼ同時にフランスを代表する二大メゾンを率いるだけでも十分に事件です。しかも、この二つのメゾンは創業者の時代から、対照的なスタイルでモードを切り拓いてきた歴史があるのです。コルセットから身体を解放したガブリエル・シャネルと、“ニュールック”で身体を造形したクリスチャン・ディオール。 異なる美学で時代を動かしてきた二大メゾンがいま、二人の異才によって同時に生まれ変わろうとしています。その瞬間をリアルタイムで目撃できるなんて、私達はかなり幸運なのかもしれません。

アイコンを現代化させ、夢を日常へ。シャネルが紡ぐ新たな冒険

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マチュー・ブレイジーのシャネルが鮮烈なのは、あまりにも有名でアイコン化されたメゾンのコードを、現代の感覚と呼応するスタイルへと更新していること。素材やプロポーションを変え、時に大胆に崩すことで、軽やかさと自由な空気を吹き込んでいます。そのアプローチは、女性を窮屈な服から解放し、ジャージーやトラウザーを取り入れることで、身体に動きやすさをもたらしたガブリエル・シャネルの精神と通じるもの。

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ブレイジーにとって2度目となるオートクチュールでは、ガブリエルの蔵書から見つけた童話集を着想源に、「ガブリエルと豆の木」と題した一篇の寓話を紡ぎました。象徴的なツイードスーツは透けるほど繊細なシルクモスリンで再構築され、カメリアは棘をもつ“毒花”へと変貌。蔓や白鳥、羽根、童話の登場人物をかたどったバッグなど、ファンタジーの断片をディテールの随所に忍ばせました。

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しかし、これほど幻想的でありながら、彼のクチュールは現実から切り離された“夢のドレス”には終わりません。テーラリングやチュニック、トラウザーなど、実際に身につけ、動き、生活するための服が物語の核にあります。ブレイジーが掲げる「日常の冒険」という言葉の通り、非日常を遠い夢として眺めるのではなく、日々の暮らしへと持ち帰るためのクチュールなのです。

未知なる表現を切り拓くディオール。伝統を進化させる“アイデアの実験室”

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一方のディオールは、現代美術やクラフトへの造詣が深いジョナサン・アンダーソンの美学が色濃く反映され、よりラディカルで実験的。メゾンの歴史を完成された規範ではなく、創造の出発点と捉え、アトリエをさながら“アイデアの実験室”のように機能させています。服の可能性を押し広げるその姿勢には、ディオールの刷新にとどまらず、服づくりの既成概念を書き換えようとする気概さえ感じられます。

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今季のオートクチュールでは、アメリカ人彫刻家リンダ・ベングリスの作品に着想。自然に完成形がなく、絶えず変化し、環境に適応していくように、クチュールもまた、伝統を保存するだけでなく、時代とともに進化する「生きた知識」として捉えました。素材を流し、折り、結び、立体へと変えるベングリスの手法は、緻密なプリーツや大胆なノット、ドレープへと翻訳。シルクシフォンは豊かな量感を帯び、シルバーラメは彫刻的な結び目を描きます。象徴的なバー ジャケットさえ、ツイードやほつれたフリンジ、誇張されたボウによって現代的に昇華されました。

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アンダーソンの無謀とも思えるアイデアを具現化させるのが、アトリエの職人たち。長年培われた刺繍やドレーピングなどの技巧は、過去を再現するためではなく、まだ見ぬものを生み出すために駆使されます。伝統を固定せず、変化し続ける力へ——その発想こそが、アンダーソンのディオールを未来へと動かしているのです。

※この記事は2026年9月7日時点のものです。

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