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アルバムの最後の曲は、細野晴臣だった。アヴァランチーズ新作の全31曲

  • 2026.9.3

アヴァランチーズの6年ぶりのアルバム『ノー・バッド・メモリーズ』が10月16日に発売されると発表されたのは、8月初旬のことだった。9月3日、そのアルバムの中身が明らかになった。全31曲のトラックリストと参加アーティストが公開され、最後に置かれた曲には細野晴臣の名前がある。(フロントロウ編集部)

最後の曲「The Pavements Light」に細野晴臣

アルバムを締めくくる31曲目は「The Pavements Light (feat. Haruomi Hosono)」。イエロー・マジック・オーケストラの創設者である細野晴臣が、名手として招かれた。

日本からの参加はもう一人いる。グリッチトロニカの先駆者、池田亮司だ。しかもこちらは1曲ではなく、2曲目「Xerox Altalink B8055」、13曲目「Unicorn Quest™」、そして「Break Out Corporate Tag」の3曲にクレジットされている。コピー機の型番がそのまま曲名になっているあたりに、このアルバムが何を素材にしているかが表れている。

ほかの参加者も幅が広い。Jamie xx、パンダ・ベア、バリー・キャント・スウィム、ウィーザーのリヴァース・クオモ、マイク・パットン、Vegyn、そしてチュニジアのフットワーク界の異端児カディジャ・アル・ハナフィ。すでに公開されている「Blue Shadows」にはカレン・Oが、「One More Fantasy」にはカーリー・サイモンが、「Our Love Is Alive」には電子音楽作曲家のスザンヌ・チアーニが参加している。俳優のハーレイ・ジョエル・オスメントの名前も、2曲に見つかる。

広告の音が、いつのまにか記憶になっている

『ノー・バッド・メモリーズ』は、広告や有名ブランドのテクノロジーが魔法のように、そして時に巧妙に私たちの記憶へ入り込んでいくことから着想を得た作品だという。CMソング、ブランド独自の起動音、そして忘れ去られたオーディオ・ロゴ。そうした商業的なサウンドが呼び起こすノスタルジーへの、複雑な思いを描いている。

その文脈で見ると、スザンヌ・チアーニの起用は狙いがはっきりしている。彼女のようなアーティストは、オーディオ・アイデンティティを創り出す仕事を通じて、現代の広告における音響言語そのものを定義づける役割を担ってきた張本人だからだ。「El Dorado TV Spot」「Superfun!™ TV Spot」「Break Out Corporate Tag」といった曲名が並ぶのも同じ理由だろう。ハーレイ・ジョエル・オスメントは、日本のレンタルビデオ店を舞台にしたトレーラー映像にも出演している。

もっとも、アルバム自体は皮肉一辺倒ではない。メロディーにあふれ、温かみのある歌と、純粋な希望に満ちている、というのが本作の説明だ。3,500枚以上のレコードから900曲以上をサンプリングした2000年のデビュー作『シンス・アイ・レフト・ユー』以来、この3人組が続けてきたのは、誰かが捨てた音の断片から幸福感を組み立てる作業だった。今回はその素材が、広告に置き換わった。

アヴァランチーズ
photo credit: Dean Podmore

フォーマットごとに、入る曲が違う

収録内容はフォーマットで分かれる。「He Lives In The Old World」「El Dorado TV Spot」「Total Recall」「Final Credits」の4曲はデジタルアルバム限定。一方でレコード盤、CD、カセットには、Vegynを迎えた限定トラック「Evergreen Altar」が収められる。どちらか一方では全曲そろわない構成だ。

アヴァランチーズは、ロビー・チャター、トニー・ディ・ブラシ、アンドリュー・セケレスによるオーストラリアのエレクトロミュージック・グループで、これまでに100万枚以上のアルバムセールスと7億回以上のストリーミングを記録してきた。2016年の『ワイルドフラワー』はビルボードのアナログ・アルバム・チャートで初登場1位、オーストラリアの2016年度アルバム・チャートでも首位に立った。フジロックには2016年の出演がキャンセルとなり、翌2017年にリベンジ出演を果たしている。

前作『ウィ・ウィル・オールウェイズ・ラヴ・ユー』から6年。2026年5月に発表された「Together」から始まった再始動は、10月16日の日本盤・デジタル同時リリースで一区切りを迎える。

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