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「定時で帰る新人は根性がないよね」に笑った私、取引先帰りのパン屋で目が合った相手

  • 2026.9.2
ハウコレ

取引先の帰りに寄った店で、私はレジ越しに思いがけない相手と目が合いました。翌日、いつもの給湯室で私が話したのは、噂の続きではありませんでした。

終業のチャイムが鳴ると、新人はいつものように席を立ちました。

「お先に失礼します」の背中

私は、春から新人教育を担当していて、配属されたその新人は、毎日決まって「お先に失礼します」と頭を下げて帰っていきます。私の課は締めの時期になると残業する人が増え、その日も半分以上の席に人が残っていました。

ドアが閉まると、給湯室にいた同僚の1人が言いました。

「定時で帰る新人は根性がないよね」

私もその場で笑いました。仕事を覚えている途中なのだから、もう少し残ってもいいのではないか。そんな考えまで持っていました。

けれど、彼がその日の仕事を残して帰っているのか、私は確かめたことがありませんでした。

商店街のパン屋で

数日後、取引先からの帰りに手土産を探して、商店街のパン屋へ入りました。店内には列ができていて、トレーを持った店員が棚とレジの間を行き来しています。

その横顔に見覚えがありました。会社の新人です。

粉のついたエプロン姿でパンを補充し、常連らしいお客さんに声をかけながら会計を進めていました。

レジで目が合うと、彼は少し間を置いてから言いました。

「夕方だけ、店に入ってるんです。両親2人で回してるので」

それ以上、自分の事情を説明することはありませんでした。

私は棚をひと回りしてからレジへ戻り、「クリームパン、2つください」と注文して店を出ました。

見直したのは退勤時間ではなく仕事でした

翌日、私は彼の担当している仕事を改めて確認しました。

処理済みの書類は期限ごとに整理され、翌日に続く案件に関しては引き継ぎのメモがついていました。質問された内容も自分用のノートにまとめられ、同じことを何度も聞くことはありません。

定時に帰る姿ばかり見て、そこまで確認していなかったのです。

翌日、給湯室でまた退勤時間の話になったとき、私は言いました。

「定時で帰ることと、仕事をしてないことは別だったね」

同僚は少し驚きながらも、分かってくれました。

そして...

今も彼は定時になると「お先に失礼します」と帰っていきます。

変わったのは、私が退勤時間だけで人を見なくなったことでした。

指導記録には、残っている時間ではなく、期限を守れているか、引き継ぎができているか、仕事をどこまで自分で進められているかを書くようになりました。

パン屋で彼を見かけなければ、私は今も「長く残っている人ほど頑張っている」と思い込んでいたかもしれません。

(30代女性・営業事務)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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