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家賃のいらない彼女の祖父母の部屋に、別れたあとも住めると思った俺が合鍵を返すまで

  • 2026.8.31
ハウコレ

彼女から同棲の解消を告げられたとき、最初に考えたのは、駅から近い部屋を失うことでした。彼女の家族が玄関にそろった日、自分に残る権利などなかったと認めることになります。

合鍵をテーブルへ置いたとき、俺は初めて、別れたあとまで住み続けられる部屋ではなかったと理解しました。

家賃のかからない暮らし

彼女の祖父母が所有するマンションで、同棲を始めました。家賃はいらないと聞いたときは、毎月の負担が減ることを素直に喜びました。

生活費は彼女と半分ずつ出し、最初は家事も分担していました。けれど、何度か当番を忘れても、彼女は代わりに片づけてくれました。

仕事で疲れている。生活費は出している。明日やればいい。そうやって理由をつけ、家事を後回しにする日が増えました。

彼女が何も言わないことを、困っていない証拠だと受け取っていました。実際には、言われないことを利用していただけだったと思います。

買わなかったスポーツドリンク

彼女が発熱して寝込んだ日、「スポーツドリンクだけ買ってきてほしい」と頼まれました。

俺は「わかった」と答えましたが、結局、買いに行きませんでした。

忘れていたわけではありません。外へ出るのが面倒で、寝ていれば治るだろうと勝手に判断しました。リビングで動画を見ながら、寝室から彼女が出てきたことにも気づいていました。

それでも、俺は声をかけませんでした。

翌日になっても彼女は何も言わず、その後は頼み事をしなくなりました。俺は関係が悪くなっているとは考えず、何も言われない暮らしに慣れていきました。

別れたあとも残れると思っていた

夕食のあと、彼女が言いました。

「同棲を解消しよう」

そのとき頭に浮かんだのは、彼女との関係ではなく、この部屋を失うことでした。

駅から近く、家賃もかかりません。長く暮らしたことで、別れたあとも自分には住み続ける権利があるように考えていました。

だから、最初に出た言葉がこれでした。

「お前が出て行くんだよな?」

彼女は、「出て行くのは、あなたのほうだよ」と答えました。

俺は生活費を半分払ってきたことを持ち出しました。しかし、それは同棲中の生活費であり、彼女の祖父母が所有する部屋へ残れる理由にはなりません。

乗っ取るつもりはなかったと言っても、自分の居場所を守るために、所有者の孫である彼女を追い出そうとしたことは変わりません。

そして...

数日後、玄関のチャイムが鳴りました。部屋へ入ってきたのは、彼女の両親と祖父母でした。

祖父から、この部屋を今後も俺へ貸す意思はないと伝えられました。続けて、彼女の父親が言いました。

「今日中に荷物をまとめてもらえるか」

俺は短く返事をし、自分の物を箱へ詰めました。家具も食器も、ほとんどは彼女や祖父母が用意したものです。自分の荷物だけを集めると、この部屋に持ち込んだ物は想像していたより少ないと分かりました。

最後に合鍵をテーブルへ置き、家族が並ぶ玄関を通って外へ出ました。

今は家賃を払って、1人で暮らしています。その日の食器をその日のうちに洗うようになりましたが、それで彼女にしたことが消えるわけではありません。

誰かが用意してくれた暮らしを、自分の権利だと思わないこと。言われないから許されていると決めつけないこと。合鍵を返したあとで、ようやく考えるようになりました。

(20代男性・営業職)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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