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「ああ、また残ってる」ゴミ集積所で誰も触れなかった袋。だが、気まずさを変えたきっかけとは

  • 2026.9.1

みんな、残った袋を避けるように置いていた

引っ越してきてから、朝のゴミ出しが少し苦手でした。集積所は、通りの角にある網かごのところです。

収集日の朝に行くと、ときどき前の日から置かれている袋が残っていました。

その日に回収されるものとは違うゴミが入っていて、収集車が来たあとも、そのままになっていることがあります。

ある朝、同じ時間によく顔を合わせる方が、残っている袋を見て小さくため息をつきました。

「ああ、また残ってる…。これ、今日のゴミじゃないんですよね」

「そうなんですか?」

引っ越してきたばかりだった私は、まだ曜日ごとの分別を完全には覚えていませんでした。

その方は袋を見ながら、少し困ったように笑いました。

「たぶん、曜日を間違えたんでしょうね。…でも、これ、どうしたらいいんだろう」

私も返事に困りました。

「勝手に動かすのも、ちょっと迷いますよね」

「そうなんですよ。触ったら、そのまま自分が片づけることになりそうで」

責めるような言い方ではありませんでした。

誰が出したのか分からない以上、声をかける相手もいません。

そのうち、残った袋のまわりを避けるように、みんな少しずつ隙間を空けて自分のゴミを置くようになりました。

結局、いつも同じ方が最後まで残り、散らかった袋を寄せてから帰っていきます。

私は何度か「手伝おう」と思ったのに、声をかけるタイミングを逃していました。

「おはようございます」

言えるのは、それくらいでした。

朝のほんの数分のことです。それでも、集積所へ向かうたびに「今日は何も残っていなければいいな」と思うようになっていました。

「誰か一人に任せるのは、やめませんか」

その年の秋、自治会の集まりで集積所の話が出ました。

誰が間違えて出しているのかを探す話になるのかと思いましたが、会長が口にしたのは別のことでした。

「出した人を探しても、なかなか分からないでしょう。それより、残ったときにどうするか決めませんか」

何人かがうなずきました。

すると、いつも袋を整えていた方が少し遠慮がちに言いました。

「私も気づいたら寄せてるんですけど…毎回となると、正直ちょっと困ってて」

その言葉を聞いて、私は申し訳ない気持ちになりました。ずっと気づいていたのに、任せきりにしていたからです。

会長は少し考えてから言いました。

「じゃあ、回収されなかった袋は横の箱に一度入れましょう。次の収集日に出すのは、その週の掃除当番ということでどうですか」

「それなら、一人だけに任せなくて済みますね」

誰かがそう言うと、その場の空気が少しやわらぎました。

次の週から、集積所の横に蓋つきの箱が置かれました。回収されなかった袋はそこへ移し、その週の当番が次の該当日に出すことになりました。

最初のころは何度か箱を使いましたが、そのうち曜日を間違えた袋を見かけることも少なくなりました。

ある朝、以前よく袋を整えていた方と一緒になりました。

その方は箱をちらりと見て、笑いました。

「最近、ここ開けることも減りましたね」

「ほんとですね。前は来るたびに、ちょっと緊張してました」

そう言うと、その方も笑っていました。

今では、集積所の前で誰かが困ったように立ち止まることはほとんどありません。

あのころ気を遣っていたのは、誰かを責めたかったからではありませんでした。ただ、残ったゴミをどうするのか、決まっていなかっただけだったのだと思います。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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