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『国民的美少女グループ』の“顔”から“歌の顔”へ 『圧倒的エース(21歳)』が“2年連続”で証明する確かな実力

  • 2026.10.11
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乃木坂46井上和 1st写真集「モノローグ」刊行記者会見 (C)SANKEI

乃木坂46の井上和が、10月29日に東京ドームで開催される『MTV VMAJ 2026』に出演し、r-906の「匙ノ咒」をソロ歌唱する。同イベントでボカロ楽曲を一人で披露するのは、2025年の稲葉曇の「リレイアウター」に続いて2年連続。グループでは表題曲センターを何度も経験しながら、近年はソロで歌を任される機会も増え、乃木坂46の“歌の顔”として存在感を強めている。

加入当初から注目されてきた井上和の歌声

井上は2022年2月に乃木坂46へ加入した5期生メンバー。2023年に33rdシングル『おひとりさま天国』で初めて表題曲センターに抜擢されると、2024年の『チートデイ』でもセンターを担当。2025年には中西アルノと『ネーブルオレンジ』でWセンターを務めるなど、早くからグループの中心メンバーとして活動してきた。

その一方で、井上の大きな武器として加入当初から注目されてきたのが歌だ。5期生が出演した『新・乃木坂スター誕生!』(日本テレビ系)では、初回からAIの「Story」をソロ歌唱。その後も昭和、平成、令和と時代をまたいださまざまな楽曲に挑戦し、力強く伸びる高音や、芯のある歌声を披露してきた。

なかでも印象的なのが、井上の歌声の強さだろう。大人数で歌う乃木坂46の楽曲でも声が埋もれず、一音一音をはっきりと届けることができる。一方で、ただ声量で押すタイプではなく、楽曲によって声の質感や表情を変えられることも特徴だ。柔らかな楽曲では息を含ませるように歌い、強さを求められる場面では声を前に出す。その表現の振れ幅は、さまざまなジャンルの楽曲を歌ってきた経験の中で広がってきた。

2025年には、その歌唱力がグループの外でも発揮される機会が増えた。中西と出演した『THE FIRST TAKE』では、「君の名は希望」と「ネーブルオレンジ」を披露。ステージ演出やダンスがない、一発撮りの空間で歌声そのものと向き合った。繊細な声のニュアンスを持つ中西に対し、井上は安定感のある太い声で楽曲を支える。タイプの異なる2人が並んだからこそ、井上の歌声が持つ強みもより鮮明になった。

『VMAJ』をきっかけに深まったボカロとの接点

そして同年の『MTV VMAJ』では、「リレイアウター」をソロで披露した。乃木坂46の楽曲でも、往年のヒット曲でもなく、ボーカロイドによって歌われることを前提に作られた楽曲。速いテンポの中で細かく言葉を刻み、高低差のあるメロディを一人で歌い切らなければならない。井上にとっても、それまでとは異なる種類の歌唱力を求められるステージだった。

2026年4月には『Nagi Inoue (Nogizaka46) meets VOCALOID MUSIC -Special Live & Document-』が放送され、ぬゆりの「命ばっかり」とpiccoの「Melty Magic」を歌唱。どちらも井上自身が選曲した楽曲である。

内省的な言葉と陰のあるサウンドが特徴的な「命ばっかり」と、ポップでかわいらしい世界観を持つ「Melty Magic」。まったく方向性の異なる2曲だが、その両方を歌ったことにも井上らしさが表れている。ボカロ曲を“自分の声に合う曲”だけで捉えるのではなく、異なる楽曲の世界へ自ら入っていこうとしているからだ。

もともと井上自身もボカロに親しんできた。学生時代、人間関係に悩んでいた時期には、ボカロならではの無機質な声や、必ずしも前向きな言葉だけではない歌詞に救われたという。だからこそ、彼女にとってボカロ曲を歌うことは、単なるカバー企画とは少し意味合いが違う。自分がかつて聴いていた音楽を、今度は自身の声で届ける側に回っているのだ。

今回の『MTV VMAJ 2026』で披露する「匙ノ咒」は、そんな流れの延長線上にある。前年の「リレイアウター」に続いて2年連続で同じ役割を任されたということは、井上の歌が一度の話題性だけではなく、一人でステージを成立させられる表現として評価されていることの表れでもあるだろう。

表題曲センターから乃木坂46の“歌の顔”へ

現在の乃木坂46には、中西や奥田いろはをはじめ、それぞれ異なる強みを持った歌唱メンバーがいる。その中で井上が特徴的なのは、表題曲センターとしてグループの中心に立ちながら、同時にソロ歌唱でも外部へ出ていることだ。

乃木坂46の楽曲を歌うときにはグループの中心として存在し、一人でステージに立てば、自身の声だけで楽曲の世界を作る。さらにボカロという乃木坂46とは異なる音楽文化にも足を踏み入れている。こうした活動の広がりを見ると、井上は表題曲のセンターにとどまらず、“歌”の面でも乃木坂46を牽引している。

表題曲ではグループの顔として、ソロステージでは歌い手として。井上和は乃木坂46の“歌の顔”としても、着実にその存在感を広げている。


※記事は執筆時点の情報です。

ライター:川崎龍也
大学卒業後にフリーランスとして独立。現在はアイドル雑誌を中心に、取材・インタビュー/コラム執筆を主軸に活動している。主な執筆媒体は『BOMB』『MARQUEE』『EX大衆』『音楽ナタリー』『RealSound』など。
X(旧Twitter):@ryuya_s04

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