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単独ヒットだけでは“終わらせない” アイドル界『二大勢力』が仕掛ける“次なる一手”

  • 2026.10.29
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日向坂46 (C)SANKEI

2026年8月に発表された青葉坂46は、乃木坂46、櫻坂46、日向坂46につながる新たなプロジェクトだ。オーディションで選ばれたメンバーは、青葉坂46として約1年間活動したのち、乃木坂46 7期生、櫻坂46 五期生、日向坂46 六期生のいずれかへ配属される。2027年には初披露イベントや冠番組、オリジナル楽曲のリリース、MV制作などが予定され、12月19日に日本武道館で行われる解散ライブでは、それぞれの配属先も発表される。

青葉坂46が作る、坂道シリーズの新たな育成ルート

青葉坂46で特徴的なのは、オーディション合格者をすぐに乃木坂46、櫻坂46、日向坂46へ加入させるのではなく、まず青葉坂46として約1年間活動させる点だ。これまでの坂道シリーズでも新メンバーオーディションはたびたび行われてきたが、今回はレッスン期間にとどまらず、オリジナル楽曲や冠番組を持ち、ライブにも出演する。実際の活動を重ねることで、歌やダンスだけでは見えにくい個性や表現力、ステージ上での見せ方なども含め、それぞれがどのグループにより適しているのかを見極める期間にもなりそうだ。こうした考え方は、研修生として経験を積みながら既存グループへの加入や新グループでのデビューにつなげてきたハロプロ研修生にも通じる。ただ、青葉坂46の場合は約1年間という活動期間と、その先に乃木坂46、櫻坂46、日向坂46への配属があらかじめ示されている点が特徴的だ。加入前の準備期間というより、ひとつのグループとして経験を積みながら、自身の強みや適性を確かめ、その後の活動につなげていく仕組みになっている。

9月には、青葉坂46オーディションのテーマソングとして「Audition」もリリースされた。同曲には乃木坂46、櫻坂46、日向坂46から5人ずつ、計15人による“坂道選抜”が参加。センターの井上和をはじめ、遠藤さくら、賀喜遥香、森田ひかる、山﨑天、小坂菜緒、正源司陽子らが顔を揃えた。既存の3グループからメンバーが集まって新たな世代を迎える形も含め、青葉坂46は4つ目の坂道グループを作るというより、坂道シリーズ全体で次世代を育てながら、それぞれに合った場所へつないでいくためのプロジェクトと言ったほうが近いだろう。

FRUITS ZIPPERの成功から広がったKAWAII LAB.

こうした“次を育てる”仕組みでいえば、現在のアイドルシーンで分かりやすい例のひとつがKAWAII LAB.だ。2022年にFRUITS ZIPPERがデビューし、「わたしの一番かわいいところ」がTikTokを中心に広がると、2023年にはCANDY TUNE、2024年にはSWEET STEADY、CUTIE STREETが誕生。さらにMORE STARも加わり、現在は5グループが活動している。その下には、KAWAII LAB.からのデビューを目指して活動するKAWAII LAB. MATESも存在する。

KAWAII LAB.の特徴は、FRUITS ZIPPERの成功をそのまま横展開するのではなく、それぞれのグループに異なる入口を作っている点にある。CANDY TUNEの「倍倍FIGHT!」、CUTIE STREETの「かわいいだけじゃだめですか?」のように、各グループからそれぞれ広く知られる楽曲が生まれてきた。FRUITS ZIPPERをきっかけにKAWAII LAB.全体へ興味を広げる人がいる一方で、個々の楽曲からCANDY TUNEやCUTIE STREETを知り、そこからほかの所属グループへとたどっていく流れも生まれている。

その一方で、「KAWAII LAB. SESSION」では所属グループが同じステージに立ち、プロジェクト単位でのベストアルバムやゲームなども展開されている。グループごとに違う入口を作りながら、最終的にはKAWAII LAB.という大きな枠でもつながっている。その構造は、=LOVE、≠ME、≒JOYがそれぞれ異なるグループ像を持ちながら、指原莉乃プロデュースという共通項で並べて語ることができる関係性にも近いものがある。

“人気グループを作る”から、“次が生まれ続ける”仕組みへ

青葉坂46とKAWAII LAB.では、次の世代を育てる方法は大きく異なる。青葉坂46は、新たなメンバーが約1年間ひとつのグループとして活動したのち、乃木坂46、櫻坂46、日向坂46へと加わっていく仕組みだ。一方のKAWAII LAB.は、FRUITS ZIPPERに続いてCANDY TUNE、SWEET STEADY、CUTIE STREET、MORE STARと新たなグループを生み出し、それぞれの個性を打ち出しながらプロジェクト全体を広げてきた。既存グループへ新しい世代をつないでいく青葉坂46と、新しいグループそのものを生み出していくKAWAII LAB.。アプローチは異なっていても、ともに“次”を継続的に育てる仕組みを作っている点は共通している。

両者に共通しているのは、ひとつのグループの人気に頼るのではなく、その先に続く世代やグループまで見据えていることだ。アイドルグループには、メンバーの加入や卒業、活動終了など、さまざまな変化が訪れる。だからこそ、ひとつの成功を次へどうつなげていくのかは、プロジェクト全体を長く続けていくうえで重要なポイントになる。

たとえば、FRUITS ZIPPERの成功を見てKAWAII LAB.に憧れる人が現れ、KAWAII LAB. MATESを経て新しいグループが生まれる。坂道シリーズを見て育った世代が青葉坂46のオーディションを受け、活動を経て乃木坂46、櫻坂46、日向坂46へ入っていく。そこには、現在活動しているアイドルが“憧れられる側”になり、その憧れが次の世代へとつながっていく循環がある。

もちろん、グループが増えれば、それぞれの違いをどう見せるかという難しさも生まれる。KAWAII LAB.であれば5グループそれぞれのカラーをどう作るのか、青葉坂46であれば1年間の活動を経たメンバーが3グループに入ったとき、そこでどのような個性を発揮するのか。仕組みを作るだけでなく、その先で一人ひとりをどう輝かせるかまでがプロデュースなのだろう。

青葉坂46とKAWAII LAB.の取り組みから見えてくるのは、ひとつのグループを成功させるだけでなく、その先に続く人材やグループまで継続的に育てていこうとする流れだ。新しい才能を発掘し、活動の場を用意し、次のステージへとつなげていく。青葉坂46が1年間の活動を経てどのようなメンバーを乃木坂46、櫻坂46、日向坂46へ送り出すのか。そしてKAWAII LAB.が今後どのようなグループを生み出していくのか。両者の取り組みは、アイドルシーンを長く続けていくための新たな仕組みのひとつとして、今後さらに注目されていきそうだ。


※記事は執筆時点の情報です。

ライター:川崎龍也
大学卒業後にフリーランスとして独立。現在はアイドル雑誌を中心に、取材・インタビュー/コラム執筆を主軸に活動している。主な執筆媒体は『BOMB』『MARQUEE』『EX大衆』『音楽ナタリー』『RealSound』など。
X(旧Twitter):@ryuya_s04

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