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『修学旅行で仲良くないグループに入りました』がBL戦国時代を勝ち抜くかもしれない理由|横川良明の「沼の中心で愛をさけぶ」Vol.11

  • 2026.8.31
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世はBLドラマ戦国時代。その数は年々増え続け、ついに1クール10本以上のBLドラマが制作されるようになりました。一方、本数が増えた分、各作品に対する注目度も分散。黎明期のように特大ヒット作が生まれにくくなっています。

そんな中、昨年、大きくバズったのが『修学旅行で仲良くないグループに入りました』です。一軍イケメン×モブ男子という鉄板のカップリングに、修学旅行の班分けという誰もが身に覚えのある定番イベント、そして爽やかでピュアなストーリー展開が合わさって、ファンのハートをわしづかみ。主演を務めた藤本洸大と簡秀吉もファッション誌の表紙を飾るなど、一気にブレイク俳優への道を切り開きました。

©ABC

その熱は1年経っても冷めることなく、ついに10月からシーズン2の放送が決定! そこで今回は、“今ならまだ間に合う! 『修仲』への旅のしおり”をご紹介。沼というよりも心地良すぎてここは温泉。浸かるだけで幸せになれる『修仲』の魅力を語ります。

“過保護イケメン”界の最強エース、それが渡会紬嵩

『修学旅行で仲良くないグループに入りました』とは、タイトル通り、クラスに一人も友達がいない地味めの男子が、修学旅行の班分けでこれまでまったく接点のなかった一軍イケメン集団のグループに入ったことから始まる青春学園ラブストーリー。お話の流れとしては、これだけわかっていればオッケー。あとはもう可愛すぎるキャラクターたちにニコニコキュンするドラマです、これは。

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少女漫画の世界でも、何の取り柄もない平凡な女の子がなんか知らんがイケメンから愛されるという構図は、それはもうJ-POPにおける「瞳を閉じて」と「君を探して」くらい、さんざん使い倒されてきました。大阪人の「関西電気保安協会」くらい原体験として細胞に刷り込まれているやつです。

でも、なぜでしょう。そんな究極のベタにこんなにも新鮮にドキドキできるのは。それは、『修仲』の世界があまりにも眩しすぎて、僕の荒んだ心を吉住渉とか椎名あゆみあたりを夢中になって読んでいた250万乙女の頃に引き戻してくれるから。

最近はドラマを観るときも「ここの伏線回収が〜」とか「刹那的快楽でしか己を満たせない主人公の人物造形は、昨今の消費型社会の象徴であり〜」とか、ついどうでもいい深読みをしてしまいがち。「んなこたぁいいから、大人しくときめきロマンティックしときなさい」と言わんばかりの『修仲』のキュンのパワーは、ただ純粋にドラマの世界にのめり込む楽しさを思い出させてくれるのです。

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まずは何と言っても、一軍イケメン・渡会紬嵩(簡秀吉)の溺愛っぷりが可愛すぎる! いつからでしょうか。“過保護イケメン”なる属性に、世間がこれほど熱狂するようになったのは。面倒見が良くて、甲斐甲斐しくお世話をしてくれて、好きな人に尽くしすぎるあまり、心配性で、独占欲の強い愛重め男子が、BLに限らず、この手のラブコメを席巻! 渡会紬嵩は、そんな“過保護イケメン”界における最強エースです。

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物語は、クラスの中でも目立たない存在の日置朝陽(藤本洸大)が、校内のみならず他校の女子の間にも熱狂的なファンを持つ“四天王”こと渡会紬嵩、守崎尚哉(桜木雅哉)、仲里晴輝(福田歩汰)、堀田颯斗(清水海李)の一軍イケメン集団から声をかけられるところから始まります。

この時点で渡会が日置にクソデカ恋心を抱いていることは明白なのですが、それはそれ。むしろこうしたBLの楽しみ方は、やたら距離の近いイケメンに振り回されている主人公を微笑ましく見守りながら、もう一つの目で「今この瞬間、イケメンは何を考えているのか」「クールな顔して、実は心臓バクバクに違いない」とイケメンサイドの深層心理を想像し、幸せを味わうところにあるのです。

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特に渡会のような無口な溺愛男子は、多くを語らない分、行間が読み放題。たとえば、第1話。修学旅行の出発日、渡会は日置に「昨日寝れた?」と尋ねます。ここだけ切り取れば、沈黙を埋めるための何でもない会話です。でも、渡会が日置に恋しているとなると話は違ってくる。

昨日寝れたか聞くということは、渡会は眠れなかったということ。待ちに待った日置との修学旅行。何を話したらいいんだろう。一緒にどこを回ろう。そんなことを布団の中で妄想してドギマギしているんだと思ったら、何を考えているのかよくわからない仏頂面が、いきなり一人称が僕から俺になった思春期の甥っ子くらい可愛く思えてくる!

簡秀吉の彫刻顔がたじろぐ瞬間が最高に可愛い

嫉妬心の塊であるところも、渡会の趣深いポイントです。日置に近づく者は、虫一匹たりとも許さねえ。普通、こういうラブコメの場合、イケメンが嫉妬を燃やす相手というのは、いわゆる当て馬だと思うんです。軽々しく声とかかけてきてね。「可愛いね」とか言って気安く髪なんかさわったりしてね。それはもう嫉妬してもしょうがない。バチバチにバトってくださいという話です。

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でも、渡会は違う。渡会がメラメラと嫉妬の炎を燃やすのは、ただの友達です。しかもこの友達の辻谷(山田健人)というのが、どこからどう見ても本当にただの友達。お調子者で、おバカで、日置とのやりとりなんてTHE男子高生という感じ。色気なんてゼロ。なのに、渡会は「何を話してるんだろう」「俺の日置にそんなに近づくなんて!」という顔をしている。市原悦子か星明子かっていうくらい、カメラのピンが当たっていないところでも、じっと覗き見している。

なんなら途中からは二人の会話に割り込んで、辻谷にマウントをとったりする。正直、リアルにこんな人がいたら面倒くせえとしか言いようがない。でも、BLって主人公に自己投影するものではないので、嫉妬のあまり様子がおかしくなる渡会のことを、ただ鑑賞物としてキャッキャウフフできるのです。

そんな渡会を演じるのは、『仮面ライダーギーツ』で主演を務めた簡秀吉。本当によくもまあBLドラマというのは、こういう彫刻顔のイケメンを見つけてくるなあと感心するくらい惚れ惚れする彫刻顔。この世の生き物を人間かダビデ像かの2種類に分けたら、確実にダビデ像のほうにくくられるタイプです。お顔の彫りが深すぎて、瞼の下あたりに貯水湖とかつくれそう。

お芝居としても、クールに見えてウブな渡会を実に生っぽく表現しています。渡会がいつもつけているヘアオイルの匂いを無邪気に「好き」と言う日置に、いちいち狙撃されて動揺しているところとか、とてもNo.1イケメンとは思えないくらい愛くるしい。ちょっと強引な渡会に日置が振り回されていると思いきや、本当に振り回されているのは渡会のほうで、そのことに気づいた瞬間、簡の演じる渡会を応援してあげたくなるのでした。

笑いとキュンを生み出す藤本洸大のモノローグ

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そして、そんな天然ガチ恋製造機・日置朝陽の存在こそが、『修仲』をヒットに導いた最大の起爆剤です。演じた藤本洸大といえば、泣く子も黙るジュノンボーイ。しかも、栄えあるグランプリ受賞者です。つまり、どう解釈を捻じ曲げたところで、とびきりのイケメンに違いないわけです。

にもかかわらず、このドラマではちゃんと冴えないモブに見える。ちなみに別のドラマで自殺した母親の復讐に手を染める男の子を演じていたんですけど、途中までマジで藤本洸大だと気づかなかった。ねえ、役者って役によって顔を変えられるの……? 月影先生、千の仮面って本当にあったの……?

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BLドラマというのは、往々にして主人公のモノローグが入りがちなのですが、このモノローグがうまいかどうかで観ている側の温度感は640℃くらい変わってくる。これが藤本洸大は抜群にうまかった。

バスの隣が自分だと知って露骨にガッカリする女子に「すみませんね、イケメンじゃなくて」とぼやいたり、隣で眠る渡会に「にしてもやっぱ近くない? 何なの? イケメンって距離感バグなの?」とうろたえたり。ツッコミの緩急がうますぎて、ほぼキートン山田。藤本洸大、散歩番組のナレーションとかやってほしい。絶対似合う。

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この藤本洸大のポップな心の声があることで、視聴者はどういうテンション感でこのドラマを楽しめばいいのかを決めることができた。ドラマの方向性を決定づけるという意味でも絶大な役割を果たしていたと思います。

平凡なのに可愛い。だから、日置朝陽は罪深い

もちろん日置のキャラクター自体も、最高にキュート。こういうBLドラマの場合、いわゆる“受け”は女子っぽい可愛らしさを求められることもあるのですが、個人的にはあくまで男の子としての可愛さを見せてくれるもののほうが好みです。その点、日置はどこまでもごく普通の男の子だった。

渋谷たち友人と絡んでいるときの、ちょっと雑な感じのコミュニケーションはいかにも男子。文化祭でハロウィンカフェをしたときの「あ、一応、狼だけど」という言い回しも、クスッと笑える男の子らしさがあります。その上で可愛いから、渡会が独り占めしたくなるのも無理はない話。あざとくない、普通の男の子から漏れ出る可愛さにのたうち回って僕は生涯を終えたいのです。

何より渡会からの無償の愛を浴びることで、ただの平凡な男子高生がお姫様みたいに可愛くなっていくというグラデーションを丁寧に演じあげていたところに、俳優・藤本洸大のポテンシャルを感じずにはいられません。

その真骨頂が、第9話の屋上のシーン。日置の手首を掴んで迫る渡会。無防備だった日置の表情に、恍惚とした色気が立ちのぼる。怯えたように伏せていた目を上げた瞬間、今までの日置とは別人みたいに、繊細で、儚くて。絞り出すような「お手柔らかにお願いします」という言葉に、純情そうで意外と肝の据わったところが垣間見える。このくだりだけで、たぶんこの第9話を無限ループする生き霊を200万人くらい生み出したと思う。藤本洸大、あまりにもギルティすぎる。

この秋の幸福度は『修仲』で決まります

もちろんカップリング以外にも『修仲』の魅力はたくさんあります。まず一つはシチュエーション。

・コンタクトが外れた日置のために、渡会が手を引いて旅館の部屋まで連れていく(介護かよ!)

・先生の手違いで、日置と渡会が同じベッドで一夜を共にする(先生グッジョブ!)

・みんながすぐそこにいる中、カーテンにくるまって二人で抱き合う(学校のカーテンは、恋人たちがくるまるためにある)

何回クッションを投げればいいかわからないくらい、王道のシチュエーションが満載。一人で思う存分奇声をあげるのもいいけれど、『修仲』は同好の士とツッコミを入れながら観るのも楽しそう!

守崎、仲里、堀田の友達3人がすごくフラットでいいやつなのも安心材料の一つ。日置を下に見るような素振りはしないし、渡会が日置のことを好きだと察してもバカにしたりしない。だから、日置と渡会だけでなく、『修仲』のキャストみんなを箱推ししたくなるのです。

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あと、地味にめちゃくちゃありがたいと思っているのは、しんどい展開がないことです。こういうBLは得てして終盤で二人の関係が引き裂かれるような事件を放り込んでくるのですが、正直、あれを僕は望んでいない。最初から最後まで幸せ。それでいいのです。

日置と渡会の場合、多少すれ違い的なこともありはしますが、その回のうちに誤解を解くので次の回までブルーな気持ちを引きずらずにすむ。オタクの精神衛生に非常に優しいつくりです。二人ともコミュニケーションが上手なんですよね。変にもったいぶったり、言葉が足りないみたいなことがない。おかげで何度全話を見返しても、「この回は飛ばそう」的な回がないのです。

だから、『修仲』を観ていると、温泉に浸かったみたいに身も心もポカポカする。シーズン2のスタートは10月17日(土)から。まだまだたっぷり時間はあるので、軽く3周はできるはず。未履修の方も今からチェックすれば、日置や渡会たちと一緒に胸キュンの秋を過ごせます。2026年ラスト3ヶ月の幸福度は、『修仲』を観るか観ないかにかかっているのです。

『修学旅行で仲良くないグループに入りました』

2026年10月17日より毎週25時~ABCテレビ(関西ローカル)でシーズン2が放送開始。放送後 、 TVer ・ ABEMA で見逃し配信。FODでは独占見放題配信
9月19日にシーズン1全話を映画館で見れる「全話イッキ見祭」あり。詳細はこちら
Blu-raybox発売中。詳しくは番組HPまで

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