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タイピングって? 15年ぶりに社会復帰を決めた専業主婦の、不採用の連発とブランクにめげることなく奮闘する姿に元気をもらおう!【書評】

  • 2026.8.31

【漫画】本編を読む

『ママ、今日からパートに出ます! 15年ぶりの再就職コミックエッセイ』(野原広子/KADOKAWA)は、15年間専業主婦として家族を支えてきた40歳の女性が、再び社会へ踏み出すまでの日々を描いたコミックエッセイである。「働きたい」という思いだけではなかなか乗り越えられない現実と、それでも一歩を踏み出そうとする勇気が等身大の視点で描かれている。

主人公は40歳の専業主婦・鈴木ユリコ。子どもたちの成長を機に、家計を支えるためパートに出ることを決意する。しかし、15年というブランクは彼女が思っている以上に大きかった。履歴書の書き方に戸惑いながらも、仕事はすぐに決まると楽観的に考えていた。だが面接に行っては不採用が続いてしまう。そうしているうちに、ユリコは「社会はもう自分を必要としていないのではないか」という不安に押しつぶされそうになる。

それでもユリコはハローワークの職員に相談しながら、ある印刷会社への入社を決める。しかし緊張しながら迎えた初日、あまりにも自分が何もできないことにショックを受ける。PCの基本ソフトであるWordやExcelの使い方はおろかタイピングすらおぼつかないため、ひとりで仕事をせずに印刷に関する本を読み、タイピングを練習するところから始めるのであった。

家事や育児をこなしてきた15年間は決して「空白」ではなく、家族のための大切な時間だったことは間違いない。しかし"社会"が求めるスキルを身につけ、磨くことはできなかった。そんなユリコが自分の存在価値に迷い葛藤する姿に胸を打たれる。しかも働き出してもその戸惑いは終わらない。職場で失敗し、年下の同僚との距離に悩む。それでも諦めず、一歩ずつ経験を積み重ねながら前へ進むユリコの姿は、「完璧じゃなくても大丈夫」という安心感を与えてくれるだろう。

社会への復帰とは、自分自身をもう一度信じることでもあるのだろう。本作は、子育てを終えて新たな一歩を踏み出そうとしている人はもちろん、「もう一度挑戦したい」と思っているすべての人の背中を押してくれるはずだ。

文=時任邪武郎

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