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「中1で短期留学なんて、どこのボンボンや!」と思っていましたが…長男を送り出してみました

  • 2026.8.30

「中1でアメリカに短期留学に行かせるなんて、どんなボンボンや~!行かせますかいな~!」

昔の私だったら、きっとそう思っていたでしょう。いや、今でもちょっと思っています。だって中学1年生ですよ。ついこの間までランドセルを背負っていたような子どもが、親から離れて海外へ行く。しかもアメリカ。いやいや、早くない? そんな経験、本当に必要? そして何より、いくらかかるん?しかも、家を買うことにした2026年8月現在の私なら、なおさら躊躇していたと思います。土地を買って、これから家を建てる。子どもは3人。教育費だってこれからどんどんかかる。そんな状況で「よし、息子をアメリカへ10日間!」と言われたら、たぶん私は、まず電卓を手に取ります。ところが、この短期留学の申し込みが始まったのは、この春のお話。まだ我が家が家を買うなんて、これっぽっちも考えていなかった頃です。そして、念願の中高一貫校に入学したばかりだったこともあり、私たち夫婦の中には、ちょっとした変化が起きていました。そう。「教育にお金を使いまっせ!」モードでございます。

中高一貫校に入ったら、親のテンションまで変わった

中学受験を終え、念願の中高一貫校に入学した息子。長かった受験生活が終わったこともあり、親である私たちも少し肩の力が抜けました。そして、「これから6年間あるのだから、勉強だけではなく、いろんなことを経験させてあげたい」という気持ちが、以前より強くなったのです。子どもだけではありません。私や夫自身も、「やりたいことがあるなら、できる範囲で積極的にやってみよう」という気分になっていました。もちろん、むやみやたらにお金を投下するわけではありません。我が家には子どもが3人おりますし、何度も言いますが、庶民中の庶民です。教育にお金を使うと言っても、使える金額には限界があります。そんな中、入学早々に学校から案内されたのが短期留学でした。学校が主催するプログラムで、勉強会や研修に参加し、現地ではホームステイをするというもの。中2、中3でも参加できるのですが、学年が上がると学校の成績なども加味されるらしいのです。ところが中1は、まだ学校の成績がありません。「あれ? それなら今、行けるかも?」本人に聞いてみると、「行きたい」と言う。学校のプログラムとして行ける。しかも中1なら成績も関係ない。そうなると、親としても「じゃあ、一度行ってみる?」となりました。ただし、申し込めば誰でも行けるわけではありません。志望動機として400字程度のレポートを書く必要がありました。ここで問題になるのが、我が息子、文章を書くのがとーっても苦手だということです。一方で、iPadは恐ろしく使いこなします。そこで本人が考えたのが、「しゃべったら文章になる」という方法でした。マイク機能を使って、自分の志望動機をダラダラと話し、それを文字に起こしてから、あとで読める文章に整える。教育的にはどうなんでしょう。母としては「自分で書きなさい」と言いたいところですが、本人なりに工夫しているので、まあ今回はよしとしました。そんなこんなで、メールでポチポチ送信。そして後日。選ばれました。

「選ばれた!」から始まった、ゆるすぎる留学準備

もちろん、本人は大喜びです。ただ、どうやら今年は応募者が少なかったようです。世界情勢もいろいろありましたし、海外へ中学生を送り出すことを控えたご家庭も多かったのでしょう。ですから、ものすごい倍率を勝ち抜いたというより、我が家としては「たまたま滑り込めた」という感覚に近いのですが、それでも選ばれた以上、準備はしなければなりません。そして母は、ここぞとばかりに便利な言葉を手に入れました。「留学するんだから、英語頑張らないとね」これを印籠のように掲げ、留学が決まってからは、ほぼ毎日のようにWeb英会話を25分間やってもらいました。中学受験が終わってから、週2回程度のペースでは続けていたのですが、正直なところ、英語力が劇的に伸びているわけではありません。「Hello!」とか「How are you?」とか、そういう基本的なことは言えます。でも、外国人と自由自在に会話できるわけではない。学校で習う英語を少しずつ身につけているくらいで、「これでアメリカに行って大丈夫なの?」というのが、母の本音でした。それでも、日々の習慣というのは馬鹿にできません。毎日25分、先生と話しているうちに、英語そのものが上達したというより、「英語で何とか意思疎通する」ということへの抵抗感が少しずつなくなっていったようです。困ったときは、知っている単語を並べる。文法が多少間違っていても、とりあえず口にする。What、Why、Whereなどの5W1Hは、なんとなく使えるようにしておく。完璧な英文を作ろうとして黙ってしまうより、間違っていても伝えてみる。そんな、ものすごくゆるい準備でした。そして、あっという間に出発の日。家族みんなで関西国際空港まで長男を送り届けました。中学生の海外留学ということもあって、空港にはたくさんの家族が見送りに来ています。大きな荷物を持った中学生たち、その後ろで心配そうに見つめるお父さんやお母さん。もちろん我が家も、その中の一組です。私は「本当に大丈夫なのかな」とドキドキしながら息子を見ていました。

関空から送り出す母。ホストファミリーには事前にメール

出発前には、ホームステイ先の情報もいただいていました。そこで私は、お世話になるご家庭に事前にメールを送りました。「この期間、お世話になります」「英語はまだまだですが、この留学のために頑張ってきました」といったことを、母なりに一生懸命、英語で書いたのです。さらに、「本人はホームステイをとても楽しみにしています」「お手伝いもすると言っていますので、どうぞよろしくお願いします」とも書きました。海外のご家庭にいきなり12歳の日本人男子を送り込むわけですから、せめて「この子、ちゃんと楽しみにしていますよ」ということだけでも伝えておきたかったのです。すると、このメールが思いのほか好評だったようで、ノリノリの返信が返ってきました。息子が現地に着いてからも、「ママとパパによろしく!」と言われたらしく、帰国後に本人からその話を聞いて、「ああ、事前にメールしておいてよかった」と思いました。ほんの一通のメールですが、親としては、それだけでも少し安心できるものです。さて、場面を関西国際空港に戻しましょう。いよいよ出発です。長男は緊張しているのか、ずっと固い表情をしています。いつもなら弟たちとふざけているような子なのに、その日は妙に大人しい。家族と一緒に搭乗手続きのところまで行き、留学ご一行様と一緒にゲートの向こうへ吸い込まれていきました。その背中を見ながら、「本当に行っちゃった…」と、急に実感が湧いてきました。さっきまで「頑張っておいで!」なんて笑っていたのに、姿が見えなくなると、親というのは勝手なものです。元気にしているかな。ちゃんと食べられているかな。困ったことがあったら、ちゃんと誰かに言えるかな。英語が分からなくて困っていないかな。いろんな心配が、次から次へと出てきます。とはいえ、親が心配してもアメリカには届きません。10日間の留学生活は始まりました。

10日間、息子から届いたメッセージが「弟の写真を送って」だった

さすがに10日間ですから、親としては気になります。元気にしているのか、ちゃんと食べているのか、ホストファミリーとうまくやっているのか。こちらから頻繁に連絡するのもどうなんだろうと思いながら、スマホを何度も確認していました。すると、たまに息子から写真やメッセージが届きます。「おお、元気そうや!」と思って開いてみると、「弟たちの写真を送って」……。え?さらに、「弟たち元気?」……。どうやら我が息子、両親へのホームシックというより、弟たちに会えないことのほうが寂しかったようです。うちの長男は、とにかく弟が大好き。普段は兄弟げんかもしますし、「うるさい!」などと言うこともありますが、離れてみると弟たちが恋しくなったのでしょう。私は連日のように、次男と三男の写真を撮っては、せっせとアメリカへ送っていました。「今日の弟」「今日の弟その2」といった感じで、もはや海外向け兄弟通信です。一方で、息子の現地での様子は、ホストファミリーから教えていただきました。これが本当にありがたかった。親としては、本人からの短いメッセージだけでは分からないことも多いので、「今日はこんなことをしていた」「元気に過ごしている」と知らせてもらえるだけで、かなり安心できます。そして10日間。長いようで、終わってみればあっという間でした。

「迎えはいらない」と言われ、帰国した息子は一人で家まで帰ってきた

帰国の日が近づくと、私は当然、関空まで迎えに行くつもりでした。10日間も海外にいた12歳の息子ですから、家族で「おかえり!」と迎えてあげるものだと思っていたのです。ところが本人は、「迎えはいらない。真昼間だし。関空からシャトルバスとか電車で帰れるから。」と言う。しかも平日。夫婦ともにフルタイム勤務で、弟たちは学校や学童に行っています。迎えに行けないことを申し訳なく思いつつ、本人が「大丈夫」と言うので、ここは任せることにしました。そして本当に、一人で帰ってきました。帰宅した息子に、「どうやった?」と聞くと、笑いながら、「関空に家族が迎えに来てないの、僕だけやったわ。みんな感動の再会してた。」と言うのです。ご、ごめん。お母さんもお父さんも仕事やったんです。なんなら、父は出張で明後日まで帰ってきません。おう…共働きのリアルでございます。…でも、本当にありがとう。一人で無事に帰ってきてくれて。出発前は、「12歳で海外なんて大丈夫かな」と心配していたのに、帰国してみれば、自分で荷物を持ち、電車に乗り、家まで帰ってきました。たった10日間の経験ですが、「自分でやるしかない」という環境に身を置いたことで、少しずつ何かが変わったのかもしれません。そして、私が一番驚いたのは、そこからでした。帰国した息子が、なんとなく丸くなっている。もちろん、別人のように変わったわけではありません。反抗期が終わったわけでもないし、急に何でも自分から積極的にやるようになったわけでもありません。でも、確実に何かが違う。

英語よりも、息子の「人との関わり方」が変わった

一番分かりやすかったのが、以前よりよく話すようになったことです。もともと自分のことをあまり話さないタイプで、思春期特有の「もう自分のことは自分でするから、あんまり関わらんといて」という雰囲気がありました。親としては、「まあ、そういう時期よね」と思いつつも、ちょっと寂しい。小さい頃は何でも話してくれたのに、中学生になった途端、こちらが聞かなければ何も話さない。そんな日も増えていました。ところが帰国してから、以前より自分から話すようになりました。そして、何より、「ありがとう」と言う回数が増えた。これが母には、ものすごく嬉しい。「短期留学に行ったから、人格が劇的に変わりました!」というほどではありません。でも、少しずつ、確実に丸くなっている。トゲトゲしていたところが、ほんの少しだけ柔らかくなったように感じます。ホストファミリーの家では、当然ですが、親がいません。「いつものお母さんなら分かってくれる」という環境ではないのです。例えば、「ケチャップつける?」と聞かれたとき、日本の家庭なら、親が子どもの顔を見て「たぶん、いらないやろ」と判断することもあります。でも、ホストファミリーには分かりません。自分で「Yes」か「No」を答えなければならない。「今日は疲れている」「これは好き」「これは苦手」「こうしたい」そういうことを、自分で相手に伝えなければいけません。英語が完璧じゃなくても、自分のことは自分で説明するしかない。そして、相手の言っていることが分からなければ、聞き返す。伝わらなければ、別の言葉で伝える。困ったら、助けを求める。たった10日間ですが、そんな経験を何度も繰り返したのだと思います。だから、今回の留学で身についたものは、英語力だけではないのかもしれません。むしろ私が一番大きいと思っているのは、「自分でなんとかするしかない」という経験。そして、「自分でも、意外となんとかできた」という感覚。これは、親がいくら言葉で「自分でやりなさい」と言っても、なかなか身につかないものです。もちろん、この短期留学といえども費用は高かった。我が家が、おいそれと出せる金額ではない。でも、親も勇気を出してよかったです。次も行くのか?…まあ、次の留学案内が来たら、「で、いくらかかるん?」と電卓をたたいてから、考えるとします。ではまた!

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