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東大に入れば幸せになれると思っていた。現役東大生が気づいた「偏差値教育」の落とし穴

  • 2026.8.29

幼い頃から勉強を続け、東京大学へ進学した東郷泰河さん。しかし、東大に入ってから違和感を覚えたといいます。順風満帆に見える人生で、なぜそんな思いを抱いたのでしょうか。今回は、探求学習の習い事「ScholarJump(スカラージャンプ)」代表の現役東大生、東郷泰河さんに、幼少期から東大進学までの歩みと、そこで感じた「偏差値教育」への違和感についてお伺いしました。

勉強ができることが、自信になっていた

すみれ: 幼少期はどんな教育を受けられていましたか?東郷さん: 2歳から学研に通って、小2で中学受験の塾に入りました。最初から、受験が目的だったわけではありません。引越しなど環境が変わったタイミングで、軽めの強迫症状が出てしまって。医師の助言で、自信をつけさせるために、よりレベルの高い塾に通わせたのがきっかけだったそうです。すみれ:勉強は好きでしたか?東郷さん:ゲーム感覚というか、友達と競って勝つことが楽しかったと思います。勉強しかしてこなかったので、それが自信にもなっていました。実は、地域のソフトボールをしていたんですが、めちゃくちゃ下手で。「得意なことは人それぞれ」と考えられれば良かったんですが、当時の僕は、「勉強ができる自分の方が価値がある」と思っていました。それで、自分の価値を保っているような小学生時代でしたね。なので、より勉強にのめり込んでいきました。

理想的な黄金ルートを歩いた中高時代

すみれ: 中学や高校時代はどうでしたか?東郷さん:小学生の頃は、「医師になりたい」と言っていたんです。僕が住んでいた地域では、「医学部に行くなら、附属中学から公立高校」という「進学の黄金ルート」があって、何の疑問もなくそこを進みました。高校では最初こそ上位でしたが、まわりは東大へ現役合格するような優秀な同級生がたくさんいて。順位も大きく落ちましたね。でも僕は彼らほど、勉強へのモチベーションが高くなかった。僕にとって勉強は、ただ自信になるからやってきたものだったので。「勉強しなかったら、自分に価値がなくなる」というマイナスな気持ちで、大学受験を走り切りました。すみれ:黄金ルートを進むことに、違和感を感じた瞬間はありましたか?東郷さん:全くなかったです。当時の僕は、「勉強ができること」だけが自分の価値だと思っていましたし、高校はそこを評価してくれたので、うまく合致していたんだと思います。

東大入学後に感じた「違和感」とは?

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東郷さん:違和感を感じ始めたのは、大学1年生の頃です。僕は、親に「やりたいことを探す」と言って、東大に行かせてもらいました。なので、東大に入ったら、何か頑張らなきゃと思っていたんです。でもいざ入学してみると、自分のやりたいことが何もなかったんですよね。本当に僕は何もなかった。まわりの友達も、将来のキラキラした展望などを話す子は、ほとんどいなくて。みんな僕と同じで、「意外と普通だな」と感じました。違和感が大きくなったのは、就職活動を始めた大学3年生の頃。みんな同じような業界を選ぶんですよ。それぞれの学部で、いろんな勉強をしているはずなのに、結局コンサルや銀行、商社など、社会的に評価の高い企業へ進んでいくんです。自分で意思決定をしているのではなく、流されるまま決めていると感じました。そこに違和感を感じつつも、僕もその波から逃れられなかった。自分が望んでいるかわからないまま、みんなが正しいって言うから、同じように進もうとしたんです。無限に広がる選択肢を前にしても、「自分で自分の人生を選べない」という状態でした。入学前に、親と約束した「やりたいこと」を見つけられていない。決して安くはない学費を払ってもらったにも関わらず、親への申し訳なさをすごく感じましたね。

偏差値教育がもたらした「弊害」とは?

すみれ:なぜ、自分で選べなかったと感じますか?東郷さん:自分の軸が備わっていなかったから、と思っています。僕は、小中高ずっと「偏差値教育」を受けてきました。与えられた教科を勉強し、人と比較されて、評価される。そこに主体性なんてなく、「言われた通りに、誰よりも多く正解を獲得すれば評価される」という教育でした。そんな僕が、無数の選択肢を見た時に、自分で選べるわけがなくて。結果として、社会的に良いとされる「就職偏差値の高い企業」を選ぶ。大学受験が終わったのに、また偏差値を追いかけていると、僕も含めてまわりの友人にも感じました。

選択肢が広くても、人は幸せになれない

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東郷さん:僕には、高校を中退した友人がいるんですが、久しぶりに会うと、すごく楽しそうに見えたんですよね。僕とは一体何が違うんだろうと。友人はおそらく、僕らほど将来の選択肢は広くない。でも、その中で自分のやりたいことを選べたと思うんです。一方僕らは、選択肢は広いけれど、自分で選べないから、社会に選んでもらっている。でもせっかくなら、自分のやりたいことを見つけられる方が幸せだし、その道で社会に認められるのが最良だよなと感じました。社会が定めた幸せもあるけれど、それと同じくらい、自分で選んだ幸せがきっとあるから。それを、一人一人見つけられる方が幸せですよね。僕は見つけられなくて、親に対して申し訳ないと思っていたので。ご自身の葛藤を赤裸々に語ってくださった、東郷さん。わが家も中学受験を経験してきたからこそ、東郷さんの言葉が強く胸に残りました。次回は、これからの時代を生き抜くために必要な「第3の教育戦略」について、お伺いします。

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Instagram:すみれ(@suuuumam0513)

著書:「【幼児教室では身につかない】小学校受験 家庭でできる22のこと」(Amazon kindle)

ブログ:お金をかけずに頭のいい子を育てる方法

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