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「ほら、帰るよ。ランドセル持って」授業中に突然入ってきた母親。数分後、追いかけた先生が見せた対応

  • 2026.8.30
「ほら、帰るよ。ランドセル持って」授業中に突然入ってきた母親。数分後、追いかけた先生が見せた対応

後ろのドアが、大きな音を立てて開いた

娘が小学生のころ、授業参観がありました。

教室の後ろには、十人ほどの保護者が並んでいました。子どもたちが手を挙げ、先生が一人ずつ当てていく、いつもの授業です。

私も娘の後ろ姿を見ながら、できるだけ物音を立てないようにしていました。

そのときでした。

ガラッ、と後ろのドアが勢いよく開き、一人の母親が入ってきたのです。

少し息を切らしながら教室を見回すと、まっすぐ一人の男の子の席へ向かいました。

「ほら、帰るよ。ランドセル持って」

男の子は驚いたように母親を見上げました。

「え…今?」

「うん、今。早くして」

母親の声には、かなり焦っている様子がありました。

男の子が戸惑ったまま立ち上がると、母親は「ほら、行くよ」と促し、そのまま一緒に廊下へ出ていきました。

教室には、なんとも言えない静けさが残りました。

子どもたちも保護者も、何が起きたのか分からないままです。開いた教科書が残された机を見ながら、私も「何か事情があるんだろうな」と思うことしかできませんでした。

先生は、静かに廊下へ出ていった

担任の先生は少しだけ廊下のほうを見たあと、子どもたちに声をかけました。

「みんな、ちょっと待っててね。今のところ、もう一回読んでおいて」

いつもと変わらない声でした。

そして先生は、そのまま廊下へ出ていきました。

少し離れたところから話し声が聞こえましたが、内容までは分かりません。

しばらくすると、先生が先に教室へ戻ってきました。その後ろには、さっき出ていった母親と男の子がいました。

先生は男の子に、やわらかく声をかけました。

「大丈夫。席に戻って、続きからやろうか」

男の子は小さくうなずき、自分の席へ戻りました。

すると先生は、母親にも静かに言いました。

「お母さんも、よかったらこのまま見ていってください」

母親は少し迷ったようでしたが、

「…すみません」

と小さく頭を下げ、保護者の列の端に立ちました。

先生はそれ以上、何も言いませんでした。

「じゃあ、みんな。続きからいこう」

その一言で、止まっていた授業がまた動き始めました。

少しすると、子どもたちの手も再び上がり始めました。

隣に立っていた保護者が、ほっとしたように小さくつぶやきました。

「……よかったね」

私も思わず、うなずきました。

先生が廊下で何を話したのか、私は今でも知りません。

ただ、戻ってきた親子にその場で事情を説明させたり、母親を責めたりすることはありませんでした。

何があったのか分からなくても、戻ってきた人をそのまま受け入れる。先生のあの対応を見て、そういう接し方もあるのだと感じました。

授業が終わるころには、教室にはいつもの空気が戻っていました。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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