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昇進を言えずにいた俺が、彼女に呼び出された席でようやく開いた手帳

  • 2026.8.29
ハウコレ

延期の連絡を送るたび、返ってくる言葉は短くなっていきました。彼女に呼び出されたのは、伝えられないままの計画が形になり始めた頃でした。

不動産サイトの保存リストが、俺のスマホには20件を超えて並んでいました。

言えないまま増えていく延期

彼女と付き合って2年。そろそろ一緒に住みたいと考えていた頃、上司から昇進の候補に入っていると告げられました。給料が上がれば、部屋の選択肢も広がるはずです。ただ、確定までは結果を出し続ける必要があり、残業と休日出勤が一気に増えました。確定してから胸を張って伝えたい。その考えが、俺の口を重くしました。誘いを断るたびに打つのは「またこんど」という短い返事で、理由を聞かれれば「ごめん。今は仕事が大事な時期なんだ」とくり返すだけです。久しぶりに会えたカフェでも、面談の日程を知らせる通知が入り、俺は手帳を閉じて先に席を立ちました。後ろめたさで、彼女の顔をまともに見られなかったからです。

延ばした先で失いかけたもの

延期の連絡を送るたび、返信までの時間は延びていきました。既読はつくのに、届く言葉は短くなる。今頃あきれさせているのだろうか。想像はしても、確かめるための連絡を打つ勇気が出ませんでした。断られて計画ごと壊れるのが怖かったのだと、今なら分かります。仕事帰りの電車で保存リストだけが増えていき、彼女に伝える言葉は1つも形になりませんでした。

呼び出された席で開いた手帳

彼女からの連絡で、いつものカフェへ向かうと、正面に座った彼女がこちらを見て言いました。「無理して会わなくていいよ。終わりにしたいなら、そう言って」。終わりという響きを聞いてようやく、伝えられていないままの計画が彼女をここまで追い込んでいたのだと理解します。俺は鞄から手帳を出し、貯金の数字と物件情報の切り抜きを貼ったページを開きました。「昇進の話が出てて、決まってから言うつもりだった。順番を間違えてた」。それは説明というより、遅すぎる白状でした。

そして...

「一緒に悩ませてほしかった」。その言葉を、俺は手帳の中身よりも重く受け止めています。確定していない話を口にできなかったのは、格好をつけたかっただけでなく、彼女の答えを信じ切れていなかったからかもしれません。今は保存リストを隣で一緒に開き、彼女の字で書き足された物件から順に、見に行く算段を立てています。

(20代男性・営業職)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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