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「口論かな…?」バスツアー中に何かを“言い合っている”年配夫婦→よく聞くと…予想外の言葉に「温かい気持ちになった」

  • 2026.9.9
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

元バスガイドのくろちびです。

真夏のバスツアーでは、外の暑さだけでなく、観光地を歩いたあとのお客様の体調や車内の温度にも気を配ります。

ある夏の日、お寺の見学を終えたお客様が、暑い外からバスへ戻ってきました。冷房の効いた車内で、皆さんほっとした様子で休まれています。

そんな中、あるご年配のご夫婦が何やら話し続けていました。

「あなたが当たったらいいじゃない」
「あなたのほうにこうしたら当たるじゃない」

柔らかな口調ではあるものの、何度も同じようなやり取りが続いています。

「もしかして、何かトラブルかな?」

私は少し気になり、お二人の様子を注意して見ることにしました。

「あなたが涼しくなればいい」――聞こえてきたのは、ケンカではなく譲り合い

よく聞いてみると、お二人はケンカをしているわけではありませんでした。

バスの上部にあるクーラーから出てくる風を、なんとお互いに譲り合っていたのです。

「あなたが風を受けたらいい」
「あなたのほうに向けたら、当たるじゃない」

どちらも、自分が涼みたいのではなく、相手に涼んでもらおうとしていました。

外から戻ってきたばかりですから、お二人ともきっと暑かったはずです。それなのに、「自分が風に当たりたい」とは言わず、「あなたが当たったほうがいい」と譲り合う。

最初は口論に聞こえた会話が、実は相手を思いやるためのやり取りだったことに気づき、私は思わず微笑んでしまいました。

長年一緒に過ごしてきたご夫婦だからこそ、相手を気遣うことが自然になっているのかもしれません。そんなことを感じた瞬間でした。

「何かあったのかな?」から「大丈夫そう」に。私が見守ることを選んだ理由

最初に会話を聞いたとき、私は「何か揉めているのでは?」と少し気になりました。

バスガイドとして、お客様同士のトラブルや体調の変化には早めに気づく必要があります。だからこそ、すぐに声をかけるのではなく、まずはお二人の表情や声の様子、会話の内容を確認しました。

すると、険悪な雰囲気はなく、むしろお互いに相手を気遣っていることが分かりました。

「これは介入する場面ではないな」と判断し、私はそのまま見守ることにしました。

もちろん、バス全体の車内温度やお客様の体調には引き続き気を配ります。でも、このお二人については、私が何かをしてあげるよりも、お互いを思いやる時間をそっと見守るほうがいいと感じました。

仕事中は「何か問題がないか」と注意してお客様を見ることが多いからこそ、この日は「問題ではない優しさ」に気づけたことを、なんだか嬉しく感じました。

「思いやり」は、何気ない言葉に表れる。ガイドとして改めて感じたこと

この出来事から、お客様の様子をよく見ることの大切さを改めて感じました。

ガイドとしては、車内温度や体調など、目に見える部分に気を配ることが大切です。

一方で、お客様同士の何気ない会話や仕草に、その人らしさや優しさが表れていることもあります。

一見すると「暑い・寒い」という小さなやり取りでも、そこには相手を思う気持ちが隠れていることがあります。

「何かあったのかな?」と注意して見ていた私が、最後にはその優しさに癒されていました。

お客様を安全に、快適にお送りするのがガイドの仕事。でも、旅の中で生まれるこんな温かな瞬間に立ち会えることも、この仕事の魅力なのだと思います。

暑い夏の日に見つけた、ご夫婦の「風の譲り合い」

真夏のバス車内で聞こえてきた、ご夫婦の小さな「風の譲り合い」。

最初は口論かと思った会話が、実はお互いを思いやる優しさから生まれていました。

相手を気遣う気持ちは、特別な言葉や大きな行動ではなく、日常の何気ない一言に表れるのかもしれません。

暑さで疲れた一日の中、私の心まで温かくしてくれたご夫婦。

「自分より相手を思う」――そんな優しさを、私も大切にしていきたいと思います。


ライター:くろちび

プロフィール
 バスガイドとして4年間、奈良・京都・大阪を中心に観光案内を担当。修学旅行や団体旅行、高齢者ツアーなど、さまざまなお客様をご案内してきました。現場で実際に経験した出来事や、旅行の裏側、接客を通して学んだことを、実体験をもとにお伝えしています。


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